資産5000万円といえば「準富裕層」と言える水準です。5200万世帯中、上位260万世帯つまり上位5%の水準となっています。
資産5000万円を構築された皆さんの中には、セミリタイアを視野に入れる方もいらっしゃるかと思います。
本日は、5000万円を築くことが出来た場合に、セミリタイア(早期リタイア)を行うことが出来るのかという点を以下の点を中心にお伝えしていきたいと思います。
今回のポイント
- 資産5000万円あれば何年暮らせるのか?
- セミリタイアやリタイアするにはいくら必要あるのか?
- 具体的に目標達成するためにはどうすればよいのか?
関連:貯金5000万円を超えたら資産運用を行い精神的余裕がもてる老後のリタイア生活(FIRE)を目指そう!
セミリタイア(早期リタイア)の定義とは?
まずはセミリタイアとはそもそもどのようなものなのかということについて定義していきたいと思います。セミリタイアは定年退職(リタイア)する迄に、早期に会社を退職して好きなことをしながら悠々自適に生活することを指します。
60歳の定年まで、主に40代から50代に会社を辞めて少しは働いて収入を得ながら、自分の趣味等に打ち込む皆が憧れる生活というわけです。
私のもと所属していた総合商社でも50代にもなってくると早期リタイアする方が、続々とでてきています。近年急速に増えてきた生活スタイルであるということが出来るでしょう。(2020年以降の株式バブルが大きく影響しているとは思いますが)
また、直近では30代中盤の筆者の同期も資産7000万円を構築して早期リタイアして配当生活を送っています。
ただ、彼は子供もいるので実家の田舎に帰っており、家賃がかからないから実現可能という状態にあります。
資産5000万円あれば何年暮らせる?早期リタイアに必要な資産の算定!
まずは結局いくら必要なのかという点を考えていかないといけません。
老後生活で必要な年間支出とは?老後2000万円問題の本質とは?
老後の夫婦で必要な資産は総務省統計局から以下と算定されています。
月間54,519円なので年間65万円が不足することとなります。30年間生存することを考えて65万円を掛け合わせると約2000万円です。
上記の支出を金額ベースで書き出すと以下となります。
項目 | 支出 |
税金・保険料 | 28,240円 |
食費 | 64,521円 |
住居 | 13,658円 |
光熱・水道 | 19,309円 |
家具・家事用品 | 9,419円 |
被服費 | 6,593円 |
医療費 | 15,541円 |
交通・通信 | 27,551円 |
教育 | 24,961円 |
その他消費支出 | 53,924円 |
合計(月間) | 6.4万円 |
老後で既にローンを払い終えていると考えると妥当な金額ではないでしょうか。年間65万円の不足であれば、5000万円あれば77年間は生活することができます。
つまり、65歳時点で5000万円あれば十分精神的な余裕を持って老後生活を送ることができるということになります。
勤労世帯で年間に必要な支出とは?5000万円では10年も暮らすことが出来ない?
60歳から最低5000万円かかるのに、それ以前に退職してしまっては当然足りなくなるのは目に見えていますよね。
以下は平均的な勤労世帯の家計収支です。
年金や税金である非消費支出と消費資質を合計すると月間41.2万円となります。
しかし、あくまでこれは全国平均です。各支出を金額毎に出すと以下の通りとなります。
項目 | 支出 |
非消費支出(税金等) | 112,634 |
食料(25.40%) | 78,605 |
住居(6.40%) | 19,806 |
水道・光熱(6.90%) | 21,353 |
家具・家事用品(4.10%) | 12,688 |
被服費(3.40%) | 10,522 |
保険医療(4.20%) | 12,998 |
交通・通信(16.00%) | 49,515 |
教育(6.20%) | 19,187 |
教養娯楽(8.90%) | 27,543 |
その他の消費支出(18.50%) | 57,252 |
上記の支出をみると明らかにおかしな数値がありますよね。特に住宅費は都内であれば15万円から20万円は必要となります。
食費も子供が二人いたら100,000円は見ておきたいところです。これらのことを加味すると月間564,328円、年間ベースだと680万円が必要となります。
項目 | 支出 |
食料(25.40%) | 100,000 |
住居(6.40%) | 200,000 |
水道・光熱(6.90%) | 21,353 |
家具・家事用品(4.10%) | 12,688 |
被服費(3.40%) | 10,522 |
保険医療(4.20%) | 12,998 |
交通・通信(16.00%) | 49,515 |
教育(6.20%) | 50,000 |
教養娯楽(8.90%) | 50,000 |
その他の消費支出(18.50%) | 57,252 |
合計(月間) | 564,328円 |
仕事を辞めた場合は収入がなくなるので年間680万円の支出を見込む必要があります。資産5000万年あったとしても7年から8年しか生活することが出来ません。
仮に、子供が独り立ちした後の支出は以下の通り月間464,328円となります。年間に必要となる支出は550万円となります。
子供が巣立った後でも資産5000万円では9年間しか生活することができません。
項目 | 支出 |
食料(25.40%) | 50,000 |
住居(6.40%) | 200,000 |
水道・光熱(6.90%) | 21,353 |
家具・家事用品(4.10%) | 12,688 |
被服費(3.40%) | 10,522 |
保険医療(4.20%) | 12,998 |
交通・通信(16.00%) | 49,515 |
教育(6.20%) | 0 |
教養娯楽(8.90%) | 50,000 |
その他の消費支出(18.50%) | 57,252 |
合計(月間) | 464,328円 |
配当金生活を行うために必要な金額とは?
配当金生活を行う際に安全な金額を導き出していきたいと思います。
日本株の中には5%以上の高配当を狙える銘柄が存在しています。しかし、今後収益が下落すれば配当金自体が下がる可能性があります。
そのため、安定的に配当生活を送るということを考えると十分ではありません。
ただ、米国には25年以上連続して増配している配当貴族という銘柄があります。
配当貴族に投資をすれば、毎年配当金の総額を増やしていくことが可能となります。安定した配当金生活という観点であれば最適ですよね。
代表的な配当貴族銘柄と配当利回りは以下となります。
銘柄 | Ticker | 配当利回り |
AT&T Inc | T | 6.05% |
Exxon Mobil Corp | XOM | 3.25% |
IBM | IBM | 4.78% |
Abbvie Inc | ABBV | 4.03% |
Coca-Cola | KO | 2.95% |
3M Co | MMM | 4.76% |
Procter & Gamble | PG | 2.71% |
McDonalds | MCD | 2.23% |
AT&Tだけは高いですが、これは無理のある水準です。借り入れを行なって配当をだすという状況になってしまっています。
株価は右肩下がりなので、いずれ増配を諦めると思います。そのため他の銘柄で分散させて税後で3%の配当利回りを狙うのが合理的となります。
つまりそれぞれのケースで必要な金融資産は以下となります。
必要な金融資産 | |
老後世帯 | 2200万円 |
勤労世帯(子育て中) | 2億2600万円 |
勤労世帯(子供が巣立った後) | 1億8300万円 |
追加投資を行いながら安全に運用できる投資先と殖やしていこう!
次に折角5000万円というお金を持っているのだから、お金に働いてもらおうじゃないかという考えがよぎります。トマピケティの21世紀の資本論が発表されて以来、資産運用の重要性が認識されています。
5000万円を仮に10%程度で運用できた場合、毎年500万円の運用収益を獲得することが出来ますからね。
元本が大きくなってきたら労働収入だけでなく資本所得も味方につけて資産を増やしていくのが合理的です。
年率10%のリターンを確保できるのであれば資産5000万円で50歳時点で早期リタイアして退職金と合わせて7000万円を運用して毎年700万円を得ることができます。
700万円あれば子供が巣立った後であれば、十分生活費を賄うことができるのでリタイアは可能となります。
しかし、マイナスの運用成績となってしまうと運用で資産が減少して更に取り崩しにより1年間で大きく資産を失ってしまいます。
そのため、資産5000万円ではリタイアはせずに労働収入を元本に追加しながら運用で殖やしていくことをおすすめします。
複利で資産運用を行う必要性とおすすめの投資先とは?
資産運用は資産を増やすのに非常に有用な選択となりますが、それは複利効果を味方につけることが重要な要因となります。
5000万円を運用して毎年10%運用したとしても毎年運用益500万円を引き出せば永遠に元本5000万円は増えていきません。
その為、いつまでたっても500万円しか受け取ることができないのです。更にマイナスの運用成績を出してしまえば、元本が減少するため受け取る運用益も少なくなってしまいます。
しかし、5000万円の10%の運用益を取り崩さずに複利で運用していけば資産は飛躍的に増加していきます。
資産 | |
元本 | 5000 |
1年後 | 5500 |
2年後 | 6050 |
3年後 | 6655 |
4年後 | 7321 |
5年後 | 8053 |
6年後 | 8858 |
7年後 | 9744 |
8年後 | 10718 |
9年後 | 11790 |
10年後 | 12969 |
11年後 | 14266 |
12年後 | 15692 |
13年後 | 17261 |
14年後 | 18987 |
15年後 | 20886 |
16年後 | 22975 |
17年後 | 25272 |
18年後 | 27800 |
19年後 | 30580 |
20年後 | 33637 |
5000万円という資産の運用益を生活費にして回すことを考えるよりは暫く我慢して、複利で運用して確固たる資産を築いたほうが安全であるといえるでしょう。また、大きな資金を運用する際に皆さんが気にされることは暴落耐性だと思います。
2000年代前半のITバブルの崩壊、2008年のリーマンショック、2014年から2015年のチャイナショック、2020年のコロナショック と様々な暴落を経験してきました。
時には資産が半分以下になった方も多くいらっしゃいます。
筆者もせっかく大切に育ててきた資産を失うのは耐え難い気持ちになりますので、下落耐性が高く右肩あがりのチャートを描くヘッジファンドに資産を預けています。
「ヘッジファンド」とは投資信託のような証券会社経由で公募している形態ではなく、個別に投資を募っている私募ファンドのことを指します。
ヘッジファンドは欧米の機関投資家や富裕層に愛好されており、日本ではまだまだ黎明期ではありますが、「オルタナティブ投資」の中の一つのカテゴリーとして長い歴史を持ちます。
2020年時点で運用残高は3.6兆ドル(約500兆円)となっており、その運用残高は年々増えています。
ヘッジファンドへ投資できる人は限られており、機関投資家や富裕層に限定されています。その影響で、特に日本ではなかなかヘッジファンドの詳細情報は出てきませんが、近年は少しずつその存在感が大きくなってきたようにも感じます。
アジアではシンガポール、香港で富裕層を対象に幾つか有名ヘッジファンドが存在し、追随するように日本でもヘッジファンドの知名度が増してくるでしょう。
元ポイント72アセット・マネジメントのアジア責任者が率いる香港のヘッジファンド運営会社、ポリマー・キャピタル・マネジメントは2022年に運用資産が17億ドル(約2540億円)増えた。市場の不安定な動きを背景に香港の内外でヘッジファンドから資金が流出する状況に逆行する動きだ。
筆者の場合は、海外ヘッジファンドではなく、10年来国内の老舗ヘッジファンド・BMキャピタルへ運用を任せています。巡り合わせで早期に投資の機会に恵まれました。最低出資額は今の所、1000万円となっています(将来的には最低1億円などになるのかもしれません)。
10年前はまだまだ小さなヘッジファンドでしたが、毎年コンスタントにリターンをあげ、ファンド規模は当時と比してかなり大きくなりました。
BMキャピタルの特に着目すべき点は下落耐性の高さで運用期間中以下5回の市場暴落局面もプラスのリターンを確保しています。特に大きい下落は以下です。
2015年〜2016年:チャイナショック、原油急落ショック(TOPIX(※)は約21%下落)
2018年:世界同時株安の連発(TOPIXは約18%下落)
2020年:コロナショック(TOPIXは約30%下落)
2021〜2022年:後半からの調整相場(TOPIXは15%下落)
以下は筆者が運用を任している期間のTOPIXの動きですが、赤丸の通り幾度もの調整または暴落を経験しています。
BMキャピタルの概要は以下ですが、常に情報はアップデートされているため、興味のある方はファンド担当者と面談してみるのも良いかと思います。
まとめ
5000万円という資産で会社をやめてセミリタイアするのは労働収入や運用収入だけでは難しいことが分かります。仮にセミリタイアするのであれば、運用益と労働収入を組み合わせることにより可能になります。
しかし、5000万円を複利で運用することによって安全な1億円から2億円の資産を形成してから堂々とリタイアする方が安全であると思います。まとまったお金があるからこその選択肢も存在します。
以下、安全に資産を形成するのにおすすめの投資先をランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。