資産5000万円といえば準富裕層と言われる水準です。
子持ち世帯であれば5000万円でリタイアすることは無謀であると、以前以下の記事でお伝えしました。
→ 資産5000万円あったら何年暮らせる?配当金生活でセミリタイア(FIRE)できるのか?資産運用を行う必要性を解説!
本日は独身の方に向けてお伝えしていきたいと思います。
独身であれば自分を養えばよいだけなので難易度は格段に易しくなりますからね。
本日は50歳や60歳時点で独身で5000万円以上の資産があれば完全リタイアは可能なのか?
という点を中心にお伝えしながら、資産形成に必要な考え方や手法についてもお伝えしていきたいと思います。
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50歳〜60歳で貯金5000万を保有している割合とは?
それではまず、50歳から60歳で金融資産が5000万円を保有している方の割合についてみていきたいと思います。
ダイレクトなデータはなかったのですが金融庁が近いデータを出していたの共有いたします。
金融庁による「金融レポート」では40代と60代の資産分布が掲載されています。
50代はないので40代と60代のデータから類推データをまとめたものが以下となります。
やはり60代は退職金を受け取るので資産が跳ね上がっています。
40代 | 50代 推定 |
60代 | |
〜150万円 | 16% | 15% | 9% |
150〜600万円 | 32% | 25% | 19% |
600〜1200万円 | 25% | 22% | 18% |
1200〜2000万円 | 15% | 16% | 16% |
2000〜4000万円 | 9% | 17% | 22% |
4000万円〜 | 3% | 5% | 15% |
総務省の「全国家計構造調査」によると4000万円以上を保有する世帯のうち65%が5000万円の資産を保有しています。
このことから50代と60代で5000万円以上保有している世帯は以下と類推されます。
40代 | 50代 推定 |
60代 | |
5000万円〜 | 2% | 3% | 10% |
5000万円を保有している世帯の比率は退職金をもらう前の50代で3%、60代で10%ということになります。
ただ、上記は総世帯です。子育て関連に費用拠出がない独身世帯であれば比率は上記よりも高いことが想定されます。
50代と60代で独身の生活費とは?5000万円で何年暮らせる?
ではまず独身世帯の50代と60代の生活費についてみていきます。
50代独身のケース
まずは50代から見ていきましょう。「総務省の家計調査」によると勤労世代の単身世帯の生活費は平均で186万円となります。
消費支出 | |
食料 | 41,731 |
住居 | 22,118 |
光熱・水道 | 11,383 |
家具・家事用品 | 5,830 |
被服費 | 4,843 |
保険医療 | 7,703 |
交通・通信 | 18,916 |
教育 | 0 |
教養娯楽 | 17,654 |
その他の消費支出 | 24,860 |
合計(月額) | 155,038 |
合計(年額) | 1,860,456 |
上記はあくまで全国平均です。東京などの家賃が高い場所では上記のようにはいきません。
首都圏で平均的な生活を送った場合と、首都圏で豊かな生活を送った場合の生活費は以下となります。
基本的には独身の方は様々な場所を経験して楽しむために賃貸の方が多いので、以下の算定は賃貸を前提にしてお伝えしています。
全国平均 | 首都圏 通常 |
首都圏 裕福 |
|
食料 | 41,731 | 60,000 | 100,000 |
住居 | 22,118 | 90,000 | 120,000 |
光熱・水道 | 11,383 | 15,000 | 20,000 |
家具・家事用品 | 5,830 | 10,000 | 10,000 |
被服費 | 4,843 | 5,000 | 10,000 |
保険医療 | 7,703 | 8,000 | 8,000 |
交通・通信 | 18,916 | 18,000 | 25,000 |
教育 | 0 | 0 | 0 |
教養娯楽 | 17,654 | 18,000 | 30,000 |
その他の消費支出 | 24,860 | 30,000 | 50,000 |
合計(年間) | 155,038 | 254,000 | 373,000 |
合計(年間) | 1,860,456 | 3,048,000 | 4,476,000 |
5000万円で何年暮らせる | 27年 | 16年 | 11年 |
首都圏で裕福に暮らした場合は老後に突入すると同時に5000万円が蒸発してしまいます。
筆者も結婚前は東京で浪費しながら生活していましたが、月額37万円というのは多そうに見えて簡単に使ってしまう水準なのです。
60代独身のケース
次に60代のケースでみていきます。総務省のデータによると高齢単身世帯の平均的な生活費と年金収入の収支は以下となります。
先ほどと同様に首都圏で暮らす場合も算出しました。
全国平均 | 首都圏(通常) | 首都圏(裕福) | |
食料 | 36,322 | 50,000 | 80,000 |
住居 | 13,090 | 90,000 | 120,000 |
光熱・水道 | 12,610 | 15,000 | 20,000 |
家具・家事用品 | 5,077 | 10,000 | 10,000 |
被服費 | 2,940 | 5,000 | 10,000 |
保険医療 | 8,429 | 8,000 | 8,000 |
交通・通信 | 12,213 | 18,000 | 25,000 |
教育 | 0 | 0 | 0 |
教養娯楽 | 12,609 | 18,000 | 30,000 |
その他の消費支出 | 29,185 | 20,000 | 40,000 |
消費支出合計 | 132,475 | 234,000 | 343,000 |
年金収入 | 123,074 | 123,074 | 123,074 |
合計収支(月間) | -9,401 | -110,926 | -219,926 |
合計収支(年間) | -112,812 | -1,331,112 | -2,639,112 |
5000万円で何年暮らせる | 約440年 | 37年 | 19年 |
東京で豊かに暮らすケースを除けば、天寿を全うできそうですね。
ただ、病気になってから医療費が重くのしかかってくるので首都圏で暮らす場合も少しは余裕が欲しいところですね。
資産5000万円あったら独身であれば完全リタイアやセミリタイアは可能なのか?
それでは本題に入ってきいきたいと思います。完全リタイアというのは資産運用だけで生活費を賄っていく労働を伴わないスタイルのリタイアです。
一方のセミリタイアは現在の本業を退職して自分の人生を楽しみながら、若干の収入を得ながら生活していくリタイアのスタイルです。
50代での完全リタイアは避けた方が賢明
まず、先ほどの50代の生活費についてみていきましょう。
全国平均 | 首都圏 通常 |
首都圏 裕福 |
|
合計(年間) | 186万円 | 305万円 | 448万円 |
全国平均パターンですと年利5%の運用を実現すれば運用だけで生活費を賄うことができます。税後で200万円ですからね。
ただ、年利5%を必ず出さないといけないというギリギリの状態で収入をゼロにするのは非常にリスクがあります。
まだ完全リタイアをせずに200万円程度を労働で、稼ぎながら現在ある5000万円を60歳までに1億円にすることが出来れば余裕のある老後を暮らすことができます。
運用方法については追ってお伝えします。
首都圏の場合は現在の仕事を辞めずに退職まで続けるのが賢明かと思います。60歳まで働くことで満額で退職金を受け取ることができるので老後の生活が楽になります。
大卒であれば退職金は60歳まで働けば2500万円、高卒でも1900万円もらえますので一気に老後の資金に余裕がでてきますからね。
その間に運用で増やすことが出来れば更に余裕ができます。
既に50代を迎えている方でしたら60歳まで働いて余裕のある老後を迎えるために頑張るのが賢明かと思います。
60代であれば完全リタイアも十分可能
60代は年金収入があるので収支が改善します。先ほどの図を再掲します。
全国平均 | 首都圏(通常) | 首都圏(裕福) | |
消費支出合計 | 132,475 | 234,000 | 343,000 |
年金収入 | 123,074 | 123,074 | 123,074 |
合計収支(月間) | -9,401 | -110,926 | -219,926 |
合計収支(年間) | -112,812 | -1,331,112 | -2,639,112 |
首都圏でも通常の生活をするのであれば十分完全リタイアが可能ですね。
5000万円の資産から税後で130万円の配当金をえるためには3.2%程度の配当利回りのポートフォリオを組めばよいので十分実現可能です。
気をつける必要があるのは60歳から65歳までの5年間は年金を受け取ることができない点です。
60歳時点で5000万円しか構築していなければ再就職して65歳まで労働収入を得る必要があります。
ただ、裕福な老後を暮らそうと思うと厳しいという状況になります。
60歳以降も再就職を行い現役の時からは収入は減るかとは思いますが年間200万円〜250万円程度は稼ぐ必要があります。
首都圏で理想の老後生活を送ることを考えるのであれば年金が受け取れる65歳までに1億円以上の資産を構築しておく必要があります。
1億円あれば3.5%の配当金をえるだけで税後で約280万円の配当金を得ることができますからね。
本格的に日本でもインフレを意識する局面となってきた
インフレというのはモノやサービスの価格が上昇することですが、言い換えれば「お金」の価値が減少することを意味します。
今まで100円で購入できていたリンゴが200円になるという状況を考えてみてください。
リンゴの価値は一定なので「お金」の価値が減少していることになります。
バブル崩壊から2021年までは日本はインフレとは無縁の国でした。実際、筆者もインフレを実感したことはありませんでした。
しかし、2022年に発生した海外物価やドル円の急騰により輸入物価が急上昇して日本のインフレ率を押し上げていきました。
日本はエネルギーや食料を海外から輸入しているので海外の物価が上昇すると当然、コストプッシュで日本のインフレ率も上昇していきます。
実際、2023年現在日本のインフレ率は4%を超えてきています。バブル崩壊時のレベルになっているのです。
現在の4%は一時的だとしても2%-3%のインフレは恒常的に発生していくことが想定されます。
つまり毎年2%-3%の勢いで現金の価値が減っていくことになることを前提として考えておく必要があります。
豊かな老後生活を送るために40代〜50代から始める資産運用で重要なポイントとは?
今までの算定から地方や都内で普通の生活を送るのであれば65歳時点で 5000万円あれば足りることが判明しました。
ただ、先ほどもお伝えしたとおりインフレリスクを考えると5000万円をできる限り増やしておきたいところです。
また、残念ながら都内で豊かな生活をおくることはできません。
首都圏などの生活費の高いエリアで豊かな老後を送るためには年金が支給される65歳までに1億円の資産を構築している必要があるのです。
たしかに60歳時点で退職金を2500万円受け取ることができます。
しかし、退職金分は結局60歳から65歳の5年間で消化してしまうので退職金を受け取る前に1億円の資産が必要になってきます。
まず、40代から50代の資産形成で最初にまず思いつくのがインデックス投資かと思います。
2020年から2021年の米国株の上昇によって、米国株のインデックス投資が盛り上がりましたからね。
しかし、覚えておいて欲しいのですが、投資の世界では全員が実施し始めた時が天井です。
日本人の間で米国株のインデックス投資のブームがピークに達した2021年末から株価はダラダラと下がってきています。
以下は米国の代表的なインデックスであるS&P500指数の1928年の年次リターンの推移ですが頻繁に大きな暴落を経験しています。
中には3年から4年にわたり大きな下落が継続するという状況も経験しています。
米国のインデックスは30年以上投資を実行するとリターンは安定しますが、10年単位だとリターンが全くないどころか資産が減少する局面もあるのです。
実際、2000年代のITバブル崩壊からの下落とリーマンショックで1999年の高値を更新したのは2013年になってからのことでした。
現在、20代や30代の方であれば米国株のインデックスに投資して放置するという戦略も成立します。
しかし、ここから10年程度に老後に突入するという状況であれば、10年後に資産が減っているという状況は許容できませんよね。
かといって元本保証に近い金融商品ではインフレ率にさえ打ち勝つことはできません。
→ 1000万円を元本保証で運用する方法5選を紹介!低リスクに資産運用して1億円を目指す方法とは?
そこで重要なのがリスクを抑えながら安定して右肩あがりが狙える資産が狙える資産に投資をすることです。
投資におけるリスクというのは値動きの幅のことを意味します。
値動きの幅を抑えながら高いリターンが狙える投資先として最も有力な選択肢がヘッジファンドです。
以下の通りヘッジファンドは日経平均は言わずもがな、S&P500指数を大幅に凌駕するパフォーマンスを叩き出しています。
さらに特筆すべきはリスクの低さです。値動きの変動をS&P500指数や日経平均の3分の1程度に抑えています。
そのため、最大損失もリーマンショックを被弾した時ですら▲12%で損失を抑えています。
筆者もヘッジファンドに投資しながら安定した資産形成を実践して40代を目前に1億円に到達する直前という水準まできています。
筆者が投資しているファンドを含めて魅力的なものをランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
まとめ
今回のポイントを纏めると以下となります。
ポイント
- 5000万円を保有しているのは50代で3%、60代で10%という水準
- 50代は全国平均であれば27年暮らせるが首都圏だと11年〜16年しか暮らせない
- 50代で資産5000万円でればリタイアは辞めたほうがよい
- 60代は全国平均であればほぼ永遠に、東京でも19年〜37年しから暮らせない
- 豊かな老後を暮らすためには退職金受け取り前で1億円が必要になる
- インフレリスクも考える必要がある
- 株式指数は今後10年という期間で考えると必ずしも適しているとはいえない
- 安定したリターンが狙えるヘッジファンドという選択肢も視野に入る