日本には数多くの直販型の独立系の投資信託が存在します。当サイトでも今まで以下の投信について分析してきました。
これらの独立系投資信託の中で最も早くから運用を開始しているのが「さわかみ投信」です。
「さわかみ投信」は1996年に設立された老舗の独立系投資信託です。
今回はさわかみ投信を評判の「ひふみ投信」と比較して評価していきたいと思います。
さわかみ投信とひふみ投信の共通項
さわかみ投信とひふみ投信の共通項についてまず述べていきたいと思います。
独立系の投資信託
まずこの二つの投資信託の共通項としては、独立系投資信託という点です。
普通は野村アセットマネジメント等の大手の資産運用会社が運用をして、販売は証券会社に委託という形態をとっているのですが、
独立系投資信託は運用から販売まで一貫して行っています。
この独立系投資信託の駆け出しと言われるのが「さわかみ投信」です。
アクティブファンド
日経平均やTOPIXのような指数(インデックス)に連動するような投資信託をパッシブファンドといいます。
一方、さわかみ投信やひふみ投信のように指数連動型ではなく、市場平均よりプラスの運用成績を追求するアクティブファンドといいます。
ただ、残念なことにアクティブファンドの平均的な成績は日経平均等のインデックスに長期的に負け続けているデータがあります。
両ファンドがどうなのかという点については追って詳しく分析していきます。
→ 投資信託で大損するリスクをわかりやすく説明!手数料よりも深刻な利回りの悪さ。〜投信営業マンの嘘を暴く〜
運用方針の違い
ひふみ投信については前回申し上げた通りグロース株投資です。
ただバリュー株投資も組み入れてバランスよく運営しています。
また組み入れ銘柄としては以下のように大型、中小型、海外株を柔軟に組み入れています。
追ってお伝えしますが、以前は「ひふみ投信」はファンドマネージャーの藤野英人氏が得意とする超小型株投資を中心としていました。
しかし、現在は規模が大きくなったことにより大型株中心のポートフォリオに変わってしまっています。
さわかみ投信については相場のうねりを利用した割安銘柄に投資をして、長期的に保有するバイ・アンド・ホールド戦略を謳っています。
組み入れ銘柄は現在88%が東証一部銘柄ということで、日本株の大型銘柄中心の構成となっています。
実際組み入れ銘柄第20位までをみると誰もが名前をしっているような企業がずらりと並んでいます。
現在の保有銘柄TOP20は以下のようになっています。(参照:さわかみファンド)
銘柄 | 組入比率 | PER | ROE |
日本電産 | 7.06% | 67.6倍 | 6.2% |
ダイキン工業 | 5.19% | 46.2倍 | 12.0% |
信越化学工業 | 4.36% | 26.7倍 | 12.3% |
浜松ホトニクス | 3.83% | 56.6倍 | 7.9% |
テルモ | 3.81% | 45.1倍 | 11.7% |
TOTO | 3.56% | 40.9倍 | 7.0% |
花王 | 3.49% | 27.3倍 | 17.6% |
ブリヂストン | 2.86% | - | 12.5% |
トヨタ自動車 | 2.64% | 14.4倍 | 10.5% |
三浦工業 | 2.43% | 61.0倍 | 10.6% |
デンソー | 2.13% | 60.0倍 | 1.9% |
ディスコ | 2.06% | 36.5倍 | 12.4% |
朝日インテック | 1.95% | 97.5倍 | 13.3% |
キッコーマン | 1.56% | 53.3倍 | 9.9% |
HOYA | 1.51% | 40.3倍 | 18.0% |
セブン&アイ | 1.43% | 24.2倍 | 8.5% |
本田技研 | 1.43% | 12.2倍 | 5.6% |
旭化成 | 1.34% | 18.6倍 | 7.6% |
日東電工 | 1.32% | 21.7倍 | 6.8% |
国際石油開発 | 1.24% | - | 5.5% |
参照:さわかみ投信の月次報告書
PERは比較的高くどちらかというとグロース株的な側面が強くなっています。
バリュー株投資を謳いながらも実態はグロース株投資になっているのです。
「さわかみファンド」と「ひふみ投信」の運用成績を比較
過去10年ひふみ投信の成績については非常に良好で、「さわかみファンド」や日経平均の成績を凌駕しています。
青:さわかみファンド
緑:ひふみ投信
赤:日経平均
「ひふみ投信」は「さわかみファンド」や「日経平均」を大幅に凌駕する成績となっています。
上記の日経平均は配当金を拠出した後のリターンとなります。
つまり実際はもう少し高いリターンとなっています。
「さわかみファンド」は日経平均を大幅に下回るパフォーマンスとなっているのです。x
ではもう少し短い期間で見てみましょう。以下は過去3年の3者の比較です。
青:さわかみファンド
緑:ひふみ投信
赤:日経平均
「ひふみ投信」も「さわかみファンド」も日経平均に劣後する成績となってしまっています。
相変わらず「さわかみファンド」は日経平均に劣後する成績となっていますね。
「ひふみ投信」は2017年までは本来の藤野英人氏が得意としていた超小型成長株投資で高いリターンをだしていました。
しかし、2017年にカンブリア宮殿に取り上げられ純資産が急騰しました。
結果的に超小型株投資だけでは運用できなくなり、大型株中心のポートフォリオに大幅にん変更しました。
結果的に日経平均と同様の成績しか出せない運用になってしまっています。
皮肉なことに成績がずば抜けていたことが災いして「ひふみ投信」の栄光時代は終わったといっても過言ではないでしょう。
手数料と分配金水準を比較
両方とも購入時と還元時の手数料は両方とも0です。掛かってくるのは年率で掛かってくる信託報酬のみです。
ひふみ投信の信託報酬は1.0584%ですが、長期投資を推奨している為5年経過したら一旦1.0584%の手数料を受け取り、
その中から0.2%分をひふみ投信を再購入。
10年経過した場合は0.4%分を再購入という、還元制度をとっています。
さわかみ投信の信託報酬は永年1.08%/年で不変です。
長期投資を行うのであればひふみ投信に分があると言えるでしょう。
まとめ
これまでの比較を通じて総括していきます。
どちらが魅力的か
重要なのは実績です。
今までの考察からわかる通り、常に日経平均に劣後している「さわかみファンド」に対して、
期間によりますが「日経平均」を凌駕している「ひふみ投信」の方が魅力的といえます。
しかし、残念ながら今の「ひふみ投信」は2017年までのように素晴らしいパフォーマンスを見込むことはできません。
大型株中心のポートフォリオになっているので今後もあまり期待することはできないでしょう。
ひふみ投信より魅力的な選択肢
ひふみ投信はグロース株投資として日本のファンドの中では高いパフォーマンスは出していましたが、
現在は残念ながら日経平均と同じ成績となっています。
これは人気を博したため、魅力的な運用先を元来得意としていた中小型株で運用することができなくなった結果です。
正直、筆者としては更に魅力的な選択肢を取る方がよいと考えています。
投資先は長期間、グロース株に対して超過リターンを挙げているバリュー株投資です。
(灰色:バリュー株 橙色:グロース株)
成績が良かった時の「ひふみ投信」もグロース銘柄だけを組み入れているというわけではなく割安銘柄を多分に組み込んでいることも忘れてはいけません。
本来、さわかみ投信が謳っているバリュー株投資を確りと実践しているのであれば、
相場下落時に日経平均・TOPIX共に下落せず下落したとしても最小限に抑えることが出来ます。
然し、実際に組み入れ銘柄をみるととても割安といえるような水準にはなっていません。
真のバリュー投資を実践しているファンドに投資することにより、どのような相場にも対応できるポートフォリオを構築することが出来ます
真のバリュー株ファンド
本当のバリュー株投資は投資の帝王ウォーレン・バフェット氏の師である、ベンジャミン・グレアム氏の手法に則った方法です。
簡単にいうと購入した瞬間に企業を清算するだけで利益を得ることができる状態の株を購入するということです。
買った瞬間利益確定というバーゲンセール状態の銘柄に狙いを定めて投資をするという手法なのです。
興味のある方は以下を参考にしてみて下さい。
ベンジャミン・グレアムの投資対象『ネットネット株』を分かり易く解説
グレアム氏自体の実証検証と上記のグラフを加味すると100年に亘って市場平均を上回るという歴史的にも証明された方法なのです。
日本にもこの投資手法を実践し創設以来投資家目線で10%以上の利回りを出し続けているファンドが存在しています。
過去10年間でマイナス運用の年は存在せず着実に利益を増やしてくれており、筆者が投資している6年だけでも資産を2倍以上に増やしてくれています。
おすすめファンドランキングにまとめておりますので、参考にしてみて下さい!