【おおぶね】農林中金<パートナーズ>長期厳選投資を徹底評価!高い利回りで評判だが2023年もやばい投資信託の実態に迫る。

日本中の投資信託を分析

【おおぶね】農林中金<パートナーズ>長期厳選投資を徹底評価!高い利回りで評判だが2023年もやばい投資信託の実態に迫る。

2022年4月24日

農林中金は農家専門の銀行というように思われていますが、実態は大きくことなります。農林中金は集めた資金を世界のあらゆる市場で分散投資をしている機関投資家としての側面を強く有しています。

農林中金の運用資産は実に62兆円に及び、GPIFとまではいいませんが国内最大規模の機関投資家となっています。

 

農林中金の運用資産額

 

そんな農林中金の関連会社である農林中金全共連アセットマネジメントが運用しているファンドが農林中金<パートナーズ>長期厳選投資「おおぶね」です。

あまりにも名前が長いので以下では「おおぶね」とします。今回は「おおぶね」について紐解いていきたいと思います。

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「おおぶね」はどんな投資信託?

まずは「おおぶね」がどのような投資信託なのかみていきましょう。

長期投資ができる銘柄を選定

「おおぶね」が投資対象とする銘柄は以下です。

おおぶねは長期投資ができる銘柄を選定

付加価値の高い産業 商品・サービスの提供を通じて様々な問題を解決することで高い収益をあげている産業
圧倒的な競争優位性 高い技術や独自のサービスを通じて他者が真似できないビジネスを展開している
長期的な潮流 高齢化や環境問題など社会の変化に伴う市場拡大が期待できる

 

まあ、このような銘柄がしっかりと選べれば苦労しないわけですがね。

 

投資対象は米国銘柄

「おおぶね」が投資対象とするのは日本株ではありません。世界経済を索引している米国株式です。

おおぶねの投資対象は米国銘柄

米国株式ですので米ドル建になりますので為替リスクをおうことになりますが、原則為替ヘッジはしない方針としています。

 

「おおぶね」の構成上位銘柄

以下は定点観測している筆者が更新するたびに見た構成上位銘柄の推移です。どの年末でも入っている銘柄があり、ある程度長期投資していることがわかりますね。

 

2023年4月末 2022年11月末 2021年12月末 2020年12月末
1 MCCORMICK & COMPANY MCCORMICK & COMPANY The Walt Disney Walt Disney
2 THE WALT DISNEY CO. THE WALT DISNEY CO. AMPHENOL VISA
3 COSTCO WHOLESALE CORP AMPHENOL CORP-CL A TEXAS INSTRUMENTS BECTON DICKINSON
4 TEXAS INSTRUMENTS INC TEXAS INSTRUMENTS INC MCCORMICK & COMPANY TEXAS INSTRUMENTS
5 AMPHENOL CORP-CL A VISA INC-CLASS A SHARES VISA NIKE
6 S&P GLOBAL INC NIKE INC -CL B TJX COMPANIES INC CHURCH&DWIGHT
7 VISA INC-CLASS A SHARES TJX COMPANIES INC COSTCO SHERWIN-WILLIAMS
8 CHURCH & DWIGHT CO INC CHURCH & DWIGHT CO INC SHERWIN-WILLIAMS COLGATE-PALMOVIE
9 SHERWIN-WILLIAMS JACK HENRY & ASSOCIATE NIKE MCCORMICK
10 JACK HENRY & ASSOCIATE SHERWIN-WILLIAMS CHURCH&DWIGHT COSTCO

 

最新の2023年4月末時点の「おおぶね」の構成上位銘柄は以下となります。

2023年4月末 業種 組入比率(%)
1 MCCORMICK & COMPANY 生活必需品 6.7
2 THE WALT DISNEY CO. コミュニケーション・サービス 6.5
3 COSTCO WHOLESALE CORP 生活必需品 6.4
4 TEXAS INSTRUMENTS INC 情報技術 5.6
5 AMPHENOL CORP-CL A 情報技術 5.4
6 S&P GLOBAL INC 金融 5.3
7 VISA INC-CLASS A SHARES 金融 5.2
8 CHURCH & DWIGHT CO INC 生活必需品 3.9
9 SHERWIN-WILLIAMS 素材 3.9
10 JACK HENRY & ASSOCIATE 金融 3.8

 

米国市場を先導しているのはGAFAをはじめとしたハイテク企業ですが、ハイテク銘柄の比率が非常に低くなっています。

G:Google
A:Apple
F:Facebook
A:Amazon

伝統的な銘柄に集中投資しているということが言えますね。

 

産業別の構成比率は伝統銘柄に大きな配分となっている

より詳しくポートフォリオの中身を見ていきましょう。

以下は「おおぶね」のセクター別の構成比率とS&P500の構成比率を比較したものです。

おおぶね
構成比率
S&P500
構成比率
資本財・サービス 20.5% 8.7%
生活必需品 17.0% 7.2%
ヘルスケア 16.2% 14.2%
金融 15.7% 12.9%
情報技術 12.6% 26.1%
一般消費財 7.5% 10.1%
コミュニケーションサービス 6.5% 8.1%
素材 3.9% 2.6%

 

S&P500指数で多くの比率をしめている情報技術、コミュニケーションセクターや一般消費財でアンダーウェイトとなっています。

情報技術:マイクロソフト、アップルを含む
コミュニケーションセクター:FB、Googleを含む
一般消費財:アマゾンを含む

その代わり伝統銘柄が多く存在する資本財や生活必需品の比率が高くなっています。

 

比較的低い「おおぶね」の手数料

「おおぶね」はアクティブ型の投信の中では比較的低い手数料体系となっています。

購入手数料:2.2%(税込)
信託手数料:年間0.99%(税込)

購入手数料が2.2%、信託手数料が0.99%というファンドが多い中で比較的低い手数料で運用されているということができますね。

 

気になる「おおぶね」の運用成績とは?

では肝心の「おおぶね」の成績について見ていきましょう。

5年で基準価格は2倍になっている

以下は「おおぶね」が設定開始された2017年7月からの基準価格の推移です。3年間で1.5倍となっています。

おおぶねの基準価格の推移

 

1-3月期 4-6月期 7-9月期 10-12月期 1-12月期
2022年 -0.74% -5.35% 2.46% 1.62% -2.19%
2021年 8.35% 4.13% 1.10% 11.05% 26.67%
2020年 -14.46% 13.88% 9.98% 7.69% 15.36%
2019年 11.99% 1.44% 2.03% 8.81% 26.12%
2018年 -7.73% 6.94% 11.74% -11.50% -2.42%

 

5年で2倍となっていれば素晴らしい成績のように思えますが、単体の成績だけでみるのは不十分です。因みに米国株に投資しているので円安になるとリターンは向上します。直近、世界的な株安の中でも耐えているのは明らかに円安の影響です。

30%ほど円安が進んだ中で、2022年は-2%のリターンなのですから、本来ファンドの実力としては、-20〜30%程度のマイナスが出ていてもおかしくなかったのです。

米国株に投資しているので米国株指数と比較していきましょう。

 

ナスダックには劣後するもS&P500指数(円建)に劣後

以下は「おおぶね」と3つの代表的な米国株指数を比較したものです。

ドル建のS&P500指数にはかっていますが、「おおぶね」は円建なので比較すべきは円建のS&P500指数となります。

そして、「おおぶね」は円建のS&P500指数に劣後した成績になっているのです。

青:おおぶね
緑:S&P500(円建)

赤:S&P500(ドル建)

「おおぶね」は円建のS&P500指数に劣後した成績になっている

 

【S&P500】

S&P社が選定した米国を代表する約500銘柄の時価総額加重平均指数。近年ハイテク銘柄の台頭によってハイテクの比率が上がってきている

 

 

S&P500(ドル建)とS&P500(円建)の差からわかるとおり円安の威力を感じますね。

そして、「おおぶね」はS&P500指数(円建)に劣後しているので、優れたアクティブ投信ではないのです。

→ アクティブ運用型投資信託とパッシブ(=インデックス)運用型投資信託のどちらが優れている?リターンに加えシャープレシオや手数料水準から徹底比較!

 

投資信託「おおぶね」の今後はやばい?

重要なのは今ではなく今後です。

今後の「おおぶね」は以下二つの観点からリスクが高いと考えています。

米国のリセッション入りに伴って企業収益が下落する

まず現在の状況をおさらいします。米国のインフレ率は1970年以来の水準となりました。日本は3%程度ですんでいますが、米国は8%-9%の猛烈なインフレが発生しました。

米国のインフレ率の推移

 

そのため米国の中央銀行であるFRBが金融引き締めを行い利上げと量的緩和の逆の量的引締めを実行しています。金融緩和は株価の上昇要因ですが、逆に金融引き締めは株価がの下落要因になります。

株価の動きは金利が7割、業績が3割です。インフレが高止まりしているうちは金融政策は引き続き引き締めが継続します。

2023年5月時点でまだまだ年率5%と目標とする2%まで距離があり道半ばです。

 

そして、利上げを続けていることで間違いなく経済は失速します。高金利期間が長ければ長いほど、下落時のインパクトは大きくなります。結果として企業収益は下がり株価にも下押し圧力となってきます。

実際、企業収益の見通しは以下の通り下落しています。今後企業収益悪化を見込んで株価は下落していきます。

 

米国の企業収益の見通しは低下し続けている

 

 

今後も円高がさらに「おおぶね」のリターンを毀損する

さらに現在、おおぶねを支えていた円安もいつか大きく反転します。それは米国経済が利上げの結果として景気後退に陥り金利が下落に転じる局面です。

そうなってくるとドル円は急激に巻き戻しが発生して「おおぶね」の基準価額は地に沈みます。

 

前回円買い介入を行なった1998年には145円から一気に100円割れの水準にまで円高が進みました。そして今回もドル円は152円まで急激に進展してから130円割れるところまで急激に円高に調整されてきています。今は米国の経済指標が強めに出ていますので少々反転していますが、円高に転換するのは時間の問題です。

ドル円の推移

更にここから米国の景気後退で米金利が低下し、日銀総裁植田氏の方針転換で日本の大規模緩和が解除されるとの思惑で円高は進行していきます。

ここからは企業収益の観点からも為替の観点からも「おおぶね」に投資するのは危険なのです。

以下ではどのような市場局面でも安定した収益をだしてくれるファンドについてまとめていますのでご覧いただければと思います。

 

【2023年】日本国内のおすすめヘッジファンドを一覧にしてランキング形式で掲載!投資する際に気をつけたいポイントなど網羅的に解説。

 

 

まとめ

農林中金の関連会社が運用する「おおぶね」は米国株に投資をしているアクティブ型の投資信託です。

ポートフォリオは伝統的な銘柄が多く、勢いのあるハイテク比率は低くなっています。

 

円建のS&P500指数に負けておりアクティブ投信としては優れたものではありません。

また、今後は米国の金融政策の引き締めが続くことによる収益の低下と、円高によって厳しい展開が想定されます。

最後に:資産を飛躍的に増やす方法は明確に決まっている

積み重ねる運用

 

 

資産を大きく増やすにはどうすれば良いのでしょうか?

上場小型ベンチャー株に力一杯、資金を投入。一か八か、株価の急騰を願ったり、信用取引でレバレッジを思いっきりかけてみるのも良さそうです。仮想通貨の草コインも人生一発逆転があるかもしれません。

断言します。上記のような思考の方は一生資産が増えません。

そもそも一発の取引で大儲けを狙えるというのは、同じく容易に資金を溶かす可能性も高いということです。そんなものは投資とは言えません。投機と考えても質が低いです。もう少し丁寧に資産の扱い(延いては人生)を考えてみましょう。思考をガラリと変えてみましょう。

 

大事なのは「リターンが小さくても確実にプラスを、時間をかけて積み重ねていく(複利を生かす)」ことです。世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏も投資で最も大切なのは以下の2つのルールとしています。

 

  1. 絶対にお金を損しないこと。
  2. 絶対にルール1を忘れないこと。

 

 

この「損をしない」「プラスリターンを確実に積み重ねていく(複利を生かす)」という重要性を理解したところで資産運用は始まります。好きな企業の株、高配当・優待目当てなど、あなたの資産を減らしてしまう運用はやめましょう。「Classic」且つ「質実剛健」な資産運用を行なっていくべきです。

 

私も資産運用歴は既にかなり長いです。そしてこの思考に辿り着き、プラスリターン×複利運用を実施してからの資産増加スピードは圧巻でした。この哲学を実践している、私のポートフォリオに入っているファンドも今回まとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。

 

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