日本中の投資信託を分析

【ブログ更新】2020年から2021年に高利回りと評判だった投資信託「企業価値成長小型株ファンド(通称:眼力)」を徹底的に評価!2022年以降の見通しは厳しい?

昨年眼力という愛称で親しまれている企業価値成長小型株ファンドという投資信託があります。

眼力は日本国内の利益成長が見込まれる小型株に投資してリターンを獲得することを目指す運用を行っています。小型株投資でリターンを上げてきたファンドとして、ひふみ投信ジェイリバイブがあります。

 

これらの投資信託は運用開始初期には高いリターンを叩き出していました。

しかし、近年は当初の運用ができなくなり日経平均と同等の成績に落ち込んでいます。

以下はひふみ投信ジェイリバイブ日経平均株価の株価推移の比較です。

ひふみ投信とジェイリバイブと日経平均株価の株価推移

 

今回取り上げる「眼力」は小型株ファンドとして魅力的な投資信託なのか?

日経平均や他のアクティブ型投資信託と比較しながら考察していきたいと思います。

 

企業価値成長小型株ファンド(通称:眼力)はどんな投資信託?

では、まず眼力がどのような投資信託か見ていきましょう。

投資対象銘柄は利益成長が見込める小型株銘柄

投資対象銘柄は以下の通りとしています。

 

銘柄選定にあたっては、利益成長による将来のROEの水準や改善に着目し、経営の健全性、 株価投資指標(バリュエーション)の割安度、期待される投資収益率なども勘案して決定し ます。

流動性、想定するリスク・リターンや投資シナリオの確度の高さなどを考慮し、個別銘柄の 投資比率を調整します。

参照:眼力の目論見書

 

ROEとは資本収益率のことで、株主が出資した分である株主資本でどれだけ純利益を生み出せるかという指標です。

➡︎ ROEとROAの計算・目安をわかりやすく説明

 

例えば、投資家が全体で100億円出資しており、純利益が10億円の場合はROEは10%ということになります。

日本は米国や欧州に比べてROEが低いことが経産省のレポートの中でも問題視されています。

 

日本の上場企業の低いROE

 

眼力は特にROEが高い銘柄を投資対象として選定しているということですね。更に財務安全性やPERやPBRなどの割安指標の数値を重視しているとしています。

➡︎ 重要指標PBRとPERとは?株式投資における重要指標をわかりやすく解説

 

 

何故ROEが重要な指標なのか?

その年に稼いだ利益の中から配当金を支払った後の資金は株主資本に追加されます。

そして、増加した株主資本でまたROEを掛け合わせた利益を生み出すことができると複利効果で年々利益の額が飛躍的に増加していきます。

例えば、ROEが10%であった場合、10年目の利益は最初の10億円の2.3倍となります。

 

ROE10% 株主資本
(億円)
純利益
(億円)
1年目 100.0 10.0
2年目 110.0 11.0
3年目 121.0 12.1
4年目 133.1 13.3
5年目 146.4 14.6
6年目 161.1 16.1
7年目 177.2 17.7
8年目 194.9 19.5
9年目 214.4 21.4
10年目 235.8 23.6

 

一方、ROEが20%となると10年後の利益は約5倍にまで増大するのです。

 

ROE20% 株主資本
(億円)
純利益
(億円)
1年目 100.0 20.0
2年目 120.0 24.0
3年目 144.0 28.8
4年目 172.8 34.6
5年目 207.4 41.5
6年目 248.8 49.8
7年目 298.6 59.7
8年目 358.3 71.7
9年目 430.0 86.0
10年目 516.0 103.2

 

利益の飛躍的な成長のためには高ROE自体が重要な条件ともいえるのです。

 

眼力の構成上位銘柄

それでは眼力の現在の構成上位銘柄を見ていきましょう。

2022年1末時点の上位10銘柄の構成比率合計は24.6%となっており、ある程度分散して投資をしていることがわかります。

 

銘柄名 ROE 構成比率
1 スノーピーク 10.98% 3.2%
2 セルソース 15.03% 2.8%
3 Sansan 4.88% 2.7%
4 エスプール 42.17% 2.7%
5 ウエスト
ホールディングス
23.30% 2.7%
6 テクマトリックス 15.03% 2.4%
7 MARUWA 11.03% 2.4%
8 ローランド 22.74% 2.4%
9 メドピア 16.89% 2.3%
10 トプコン 1.42% 2.3%

 

10銘柄は合計で25.9%という水準になっています。

投資銘柄は合計59銘柄となっており、ひふみ投信が230銘柄であることを考えると大分厳選されているということができます。

首位のスノーピークについてファンドマネージャーからのコメントは以下となっています。

 

アウトドア商品の製造・販売を行なっている。社会のデジタル化が進むにつれ、キャンプなどアウトドアの需要は高まると考える。国内事業の成長や収益性の改善に加え、米国事業のテコ入れや中国市場の成長にも期待

参照:月次報告書

 

 

売上高が急上昇しているので、今後に期待できる銘柄であるということができますね。

参考までに以下はスノーピークの業績推移です。

スノーピークの業績推移

売上は急拡大しながら利益水準も上昇しています。

決算期 売上高 営業利益 当期利益
2012/12 3,692 36 132
2013/12 4,486 113 177
2014/12 5,559 231 116
2015/12 7,854 568 284
2016/12 9,222 853 485
2017/12 9,910 -141 -251
2018/12 12,070 920 478
2019/12 14,260 924 425
2020/12 16,764 1,493 1,048
2021/12予 20,500 2,050 1,144

株価は以下の通り2021年に入って上抜けをして移行勢いよく上昇していっているのが見て取れます。

ただ、現在は世界的なハイテク株の調整の煽りを受けて調整をおこなっています。

スノーピークの株価推移

 

ちなみに2020年10月末時点では以下の通りとなっていました。ぱっとみるだけでも上位銘柄が入れ替わっているのがわかるかと思います。

必ずしも長期投資と決め込まず、リターンがでたり損失が大きくなれば銘柄を売却しているといえるでしょう。

 

銘柄名 ROE 構成比率
1 ギフティ 16.6% 2.8%
2 セルソース 19.82% 2.7%
3 カオナビ ▲30.49% 2.6%
4 メドピア 16.2% 2.6%
5 すららネット 5.0% 2.4%
6 BASE ▲18.8% 2.3%
7 マクアケ 25.0% 2.3%
8 プロレド
パートナーズ
20.5% 2.3%
9 エスプール 42.8% 2.3%
10 EDULAB 17.0% 2.3%

 

比較的高い眼力の手数料水準

眼力はアクティブ型の投資信託なので比較的高い手数料となっています。

購入手数料:3.3%(税込)
信託手数料:年率1.595%(税込)

初年度は5%近い手数料が発生することになります。

 

高い分配金は合理的なの?

眼力は2016年2月29日の運用開始時点の基準価格は10,000円でした。眼力は以下のように高い分配金を拠出しています。

 

2018年2月 1950円
2018年8月 1550円
2019年2月 850円
2019年8月 700円
2020年2月 1150円
2020年8月 2350円
設定来合計 11,070円

 

既に元本分以上の配当金を拠出しています。

眼力の場合は特別分配金を拠出していないので問題ありませんが、それでも税的に投資家は非効率的になっています。

 

一度、配当金を拠出してしまうと問答無用で20.315%の税金が徴収されてしまうからです。

基準価格が上昇していくファンドに関しては配当金を拠出しない方が合理的なのです。

 

眼力の成績は?利回りは高い?

では肝心の眼力の成績についてみていきたいと思います。

素晴らしいリターンを出した後に暴落

以下は設定来の眼力のリターンです。基準価格自体も1.5倍になっていますが、税引前配当金再投資後のリターンは一時5倍になりました。

しかし、そこからマザース総合指数が暴落するにしたがって基準価格は大暴落しています。2021年末から既に40%近く暴落しています。

 

投資信託の眼力の株価推移

 

コロナの後の小型グロース株の追い風にのりましたが、その後の世界的なグロース株の受難を受けて暴落してしまっています。

以下はグロース株の比率が多いマザーズ指数の株価推移です。

 

マザーズ総合指数の株価

 

特定の特徴を持った銘柄に集中投資する投資信託の危険性を見せつけられていますね。

 

以下の記述は2021年10月の暴落前に筆者が記載していた記述ですが、まさに懸念通りの結果となりましたね。

(更に以下の要因にプラスしてマザーズの大暴落という要因も大きいですが..)

次の項目の後に解決策についても記載していますので読み進めて頂けますと幸いです。

 

懸念は変動幅の高さと純資産の拡大

右肩あがりで急騰しており堅調にみえる眼力ですが懸念点が2つあります。

1つは値幅の大きさです。コロナショックの下落幅は日経平均や他のファンドの下落率よりも激しくなっています。

小型グロース株投資は、株価上昇局面では力強いのですが、一度不景気が到来すると暴落する傾向にあります。

 

2020年10月現在、世界的にコロナの再拡大が懸念されており株価は下落基調にあります。

このまま本格的な不景気に突入した場合、下落幅は大きくなることが想定されます。

 

眼力は運用を開始した時の「ひふみ投信」や「ジェイリバイブ」のような力強さを見せていますが、成績堅調による急激な純資産の増加が懸念されます。

「ひふみ投信」や「ジェイリバイブ」といった小型成長株ファンドについては純資産が200億円を超えるレベルまでは堅調に推移していましたが、人気がでると本来の小型グロース株投資を行うことができなくなります。

 

結果的に大型株投資も行うこととなり、日経平均と変わらない成績になってしまう傾向があるのです。

 

眼力も堅調な成績を受けて、急速に純資産が拡大しておりスタイルの変更を余儀なくされ成績が悪化するリスクにさらされる水準まできています。

今年の5月時点では200億円だった純資産が現時点では300億円まで急騰しました。

以下はジェイリバイブの純資産と株価の関係ですが、純資産が300億円を超えたあたりから基準価格が下落基調に転じています。

ジェイリバイブ の純資産価格の急騰と基準価格下落の関係

 

今後、眼力は今までのような成績をだせるかの岐路にたっているといえるでしょう。

 

相場環境に左右されない成績を出すファンドに投資しよう

眼力のように小型の成長株に限定的に投資するファンドは相場の環境を大きく受けます。

マザーズ全体が下落するような局面では大きな下落を被ってしまうのです。

安定した資産運用を行うために重要なことは相場環境に左右されない銘柄選びと、

圧倒的な安全域を有している銘柄に投資をしているファンドに投資をすることをおすすめします。

 

筆者が投資しているBMキャピタルは50年以上の歴史を誇る伝統的かつ本格的なバリュー株投資を行い下落余地がほとんどない銘柄に投資を行い安定したリターンをだしています。

さらに、それに加えて能動的に株価を引き上げるスパイスも加えて運用してくれています。

詳しくは以下にまとめていますので参考にしていただければと思います。

 

まとめ

投資信託の眼力は高ROEや今後成長が見込める新興銘柄に投資している投資信託です。

2016年以来の成績は非常に堅調で投資家の資産を3倍ほどに増加させています。

しかし、基準価格のボラティリティが高く大儲けすることもあれば、大損する可能性があることは頭に入れておきましょう。

また、純資産が急騰しており「ひふみ投信」や「ジェイリバイブ」のように純資産急騰後にリターンが著しく減少するという罠にはならないかが懸念されます。

 

最後に:資産を飛躍的に増やす方法は明確に決まっている

積み重ねる運用

 

 

資産を大きく増やすにはどうすれば良いのでしょうか?

上場小型ベンチャー株に力一杯、資金を投入。一か八か、株価の急騰を願ったり、信用取引でレバレッジを思いっきりかけてみるのも良さそうです。仮想通貨の草コインも人生一発逆転があるかもしれません。

断言します。上記のような思考の方は一生資産が増えません。

そもそも一発の取引で大儲けを狙えるというのは、同じく容易に資金を溶かす可能性も高いということです。そんなものは投資とは言えません。投機と考えても質が低いです。もう少し丁寧に資産の扱い(延いては人生)を考えてみましょう。思考をガラリと変えてみましょう。

 

大事なのは「リターンが小さくても確実にプラスを、時間をかけて積み重ねていく(複利を生かす)」ことです。世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏も投資で最も大切なのは以下の2つのルールとしています。

 

  1. 絶対にお金を損しないこと。
  2. 絶対にルール1を忘れないこと。

 

 

この「損をしない」「プラスリターンを確実に積み重ねていく(複利を生かす)」という重要性を理解したところで資産運用は始まります。好きな企業の株、高配当・優待目当てなど、あなたの資産を減らしてしまう運用はやめましょう。「Classic」且つ「質実剛健」な資産運用を行なっていくべきです。

 

私も資産運用歴は既にかなり長いです。そしてこの思考に辿り着き、プラスリターン×複利運用を実施してからの資産増加スピードは圧巻でした。この哲学を実践している、私のポートフォリオに入っているファンドも今回まとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。

 

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