投資信託を今回も分析していきます。
本日は「ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンド」を取り上げていきたいと思います。
2021年末より運用を開始しているファンドですが、非常に若いファンドなのであと最低でも実際の投資をするには5年は待ちたいところです。実力が全くわからないからです。
とりあえず、下落相場が始まった2022年の米国株の下落が直撃しているので、ここからどう巻き返せるかは見ものです。
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドの特徴
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドはどのようなファンドなのでしょうか?基礎情報を見ていきましょう。
運用はアセットマネジメントOne株式会社(ファンドスミス・インベスト メント・サービシーズ・リミテッド)
アセットマネジメントOne株式会社が運用を行います。
会社名
アセットマネジメントOne株式会社
(英)Asset Management One Co., Ltd.所在地
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-8-2 鉃鋼ビルディング
資本金
20億円、発行済株式数 40,000株
株主構成
〔経済的持分比率〕
株式会社みずほフィナンシャルグループ 70%
第一生命ホールディングス株式会社 30%〔議決権保有比率〕
株式会社みずほフィナンシャルグループ 51%
第一生命ホールディングス株式会社 49%
みずほフィナンシャルグループと第一生命の合弁なんですね。
The大手金融機関です。アセットマネジメントOneのOneは「One MIZUHO」のOneでしょうか。
アセットマネジメントOneで人気のファンドは以下となります。
などはこのブログでも分析したことがあります。リターンを見る限りはなぜ人気なのか全くわかりません。
実質、運用はファンドスミス・インベスト メント・サービシーズ・リミテッドが行うとしています。
ファンドスミス社は、2010年にロンドンで設立された独立系運用会社です。イギリスの運用会社に運用を委託しており、外国企業に我々投資家の資産を運用してもらうことになります。
投資哲学や投資対象となる銘柄
世界の株式に投資をするという、ざっくりとしたファンドです。
運用プロセスとしては、以下の通りとなっています。
1.優良企業に投資する“Buy good companies”
2.割高*な水準は避ける“Don’t overpay” *ファンドスミス社が合理的ではないと判断した価格
3.頻繁な売買を行わない“Do nothing”
優良企業に投資をする、割安な企業に投資をする、長期投資前提ということがわかります。
株式の需給ではなく、その銘柄の真の価値を見極める力があるということですね。実際のパフォーマンスは後続で見ていきましょう。
組み入れ銘柄
2022年12月末のポートフォリオは以下となっています。
No. | 銘柄名 | 業種 | |
1 | マイクロソフト | 米国 | 情報技術 |
2 | ノボ・ノルディスク | デンマーク | ヘルスケア |
3 | ロレアル | フランス | 生活必需品 |
4 | フィリップ・モリス・インターナショナ ル | 米国 | 生活必需品 |
5 | アイデックスラボラトリーズ | 米国 | ヘルスケア |
6 | エスティローダー | 米国 | 生活必需品 |
7 | ストライカー | 米国 | ヘルスケア |
8 | ペプシコ | 米国 | 生活必需品 |
9 | LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン | フランス | 一般消費財・ サービス |
10 | マコーミック | 米国 | 生活必需品 |
ほとんどが米国企業ですね。全体では27銘柄ありますが、既に上位10銘柄のうち8銘柄が米国企業となっています。
マイクロソフト、ロレアルなどは2022年は株価の暴落がひどいことになっています。長期投資なので、ファンドスミス社はここは気にしていないのかもしれません。短期的な反発は、下落幅が大きすぎるのであるかもしれませんが、まだまだ長期的には厳しそうですね。
運用成績、利回り
それでは運用実績を見ていきましょう。まずは基準価額の推移を見てみましょう。運用開始からなんとマイナスです。
2021年の12月に運用を開始しているので、まさに金融引き締めが始まった時点と一致しています。
つまりファンド組成する時期としては最悪です。この時期にテクノロジー企業へ投資をするのは、投資を勉強したことがある人からすれば絶対にあり得ません。
下落するとわかっている上で投資しているとしか思えないです。パフォーマンスが悪くても投信は手数料で儲かるので、それはそれでいいのかもしれませんが、金融機関の窓口で営業された投資家からしたらたまったものではないですよね。
以下はここ1年のリターンです。S&P500指数が20%下落している中、-8.40%は健闘していると言えそうですが、実はこれは円安の影響です。ドル建てでは指数よりパフォーマンスが悪いのではないでしょうか。
1カ月 | 3カ月 | 6カ月 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) | 設定来 | |
トータルリターン | -4.28% | -0.41% | -0.84% | -11.63% | -- | -- | -- | -8.78% |
また、現在は円高が進んでいますので、株価が短期的に反発してもファンドスミスのリターンはそこまで改善しないという落とし穴があります。
他ファンドとの比較(キャピタル世界株式ファンドなど)
似たファンドであるキャピタル世界株式ファンドと円建てのS&P500を比較します。
- 青:ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンド
- 赤:キャピタル世界株式ファンド
- 緑:S&P500
いずれもインデックスであるS&P500を下回っています。ベンチマークを下回っていますので、アクティブファンドとしては失格です。
わざわざファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドやキャピタル世界株式ファンドを買う理由が見つかりません。
掲示板での評判や口コミ
パフォーマンスを見る限り良い口コミはなさそうですが、チェックしてみます。
Yahoo Financeの口コミ
こりゃ当分ダメだ
Yahoo Financeの口コミ
9月22日以降の投稿が全く無し😱
所有者から見放されたかな⁉️
不安ドスミス、頑張ってくれよ‼️
Yahoo Financeの口コミ
とうとう7月は、水面下のままだったぁ😱でも6月の¥8000代は、なかったので、未だ救われている😅
頑張ってくれよ❗️不安ドスミス‼️
いつかは正式名称、ファンド スミスだぁ😘(笑)
円建てでは年初来-8%ですから、そこまで酷い評判ではありませんでした。
しかし、英国ファンドなのでエリザベス女王関連の荒らしが多かったです。
今後2022-2023年以降の見通し
ファンドスミスは世界株式に投資をすると言いながらも、情報技術セクターへの株式銘柄が多数ポートフォリオに組み入れられており、また筆頭銘柄が今後は厳しいのではないかと言われるGAFAMの一角、マイクロソフトであることなどからも、あまり期待はできません。
期待ができない理由は、2022年以降は米FRBが金融引き締めを行っており、情報技術セクターは集中的に売られる対象であり、上昇するには利下げが必要だからです。
まだまだ米国のインフレは収まりませんし、2023年いっぱいは流石に利下げ転換することはないのではないかと思います。まだまだ利上げのペースを下げるかどうか、という議論を行っているだけです。
明確な利下げが、ファンドスミスのポートフォリオには必要です。