「キャピタル世界株式ファンド」は名前の通り、全世界の株式に投資をしてアクティブリターンを狙う投資信託です。
当記事では、キャピタル世界株式ファンドの特徴をお伝えした上で、
- 運用成績はどうなっているいるのか?
- キャピタル世界株式ファンドの種類
という点を踏まえてお伝えしていきたいと思います。
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キャピタル世界株式ファンドの特徴
まずはキャピタル世界株式ファンドの特徴と運用銘柄の選定方法について見ていきたいと思います。
キャピタル・グループ・ニューパースペクティブ・ファンド
キャピタル世界株式ファンドはキャピタル・グループ・ニューパースペクティブ・ファンド(LUX)に投資をして運用しています。
4種類のLUXがありますが、これは後ほどお伝えする為替ヘッジの有無、分配金を重視するか否かという違いになります。
キャピタルグループの説明は以下となっています。
- キャピタル・グループは、個人投資家のための資産運用を提供することを目的に1931年に創業されました。創業以来、85年 以上にわたり、株式非公開、資産運用業務のみを事業として、業容を拡大してきました。
- グループ全体で約224兆円、そのうち米国籍ファンドで約193兆円の資産を運用しており、米国籍アクティブ・ファンドの 純資産残高においては運用会社別ランキングで1位となっています
参照:販売資料
米国籍のファンドの運用会社としては最大となっています。
フィデリティやバンガードより多くの資産を運用しているのは驚きですね。
投資先は世界のマルチナショナル企業
キャピタル世界株式ファンドが投資対象としているのは世界のマルチナショナル企業です。マルチナショナル企業の定義は以下となっています。
- マルチナショナル企業は、グローバルにビジネス基盤を確立し、通貨や国際的な法規制、会計や物流、文化・言語などの違いに 優れた適応力を有しています。
- マルチナショナル企業は、その成長段階、成熟段階の長期にわたり投資対象となり、当運用戦略における中核的な存在です。
参照:販売資料
現在、キャピタル・グループが注目している領域は以下となっています。
- 世界的なデジタル経済の発展やIoTから恩恵を受ける企業
- 先進的な医薬品・治療法および新薬開発の実績を有する企業
- 新興国市場における消費需要の増大や消費者行動の変化を捉えれる企業
- 圧倒的な物流網を備えた企業、高い競争力を持つ独自のブランドを有する企業
構成上位10銘柄
キャピタル世界株式ファンドの2023年12月末時点での組み入れ上位銘柄は以下となります。
2020年の主役ともいえるテスラがしばらくポートフォリオのトップでしたが、現在は7位まで下落しました。
米国の大型銘柄が構成上位銘柄にひしめいています。あまり特色のあるファンドとは思えない構成ですね。
因みに270銘柄も分散しているので、正直いってアクティブファンドとしてリターンを出すのは難しいと思われます。似非インデックスといっても過言ではないですね。
因みに過去からのポートフォリオの変化は以下となっています。
殆ど構成上位銘柄が変わっていないことから長期の「Buy&Hold」戦略を実践していることがわかります。
2024年1月末 | 2023年12月末 | 2023年9月末 | 2023年6月末 | 2023年3月末 | 2022年11月末 | 2022年8月末 | 2022年5月末 | |
1 | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト | テスラ | テスラ | テスラ |
2 | ノボノルディスク | ノボ ノルディスク | ノボ ノルディスク | ノボ ノルディスク | ノボ ノルディスク | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト |
3 | メタプラットフォーム | ブロードコム | メタ・プラットフォームズ | テスラ | TSMC | TSMC | アルファベット | アルファベット |
4 | ブロードコム | メタ・プラットフォームズ | テスラ | TSMC | ASMLホールディング | ASMLホールディング | TSMC | TSMC |
5 | TSMC | TSMC | ブロードコム | ASMLホールディング | テスラ | ノボルディスク | メタプラットフォーム | メタ・プラットフォームズ |
6 | アルファベット | ASMLホールディング | TSMC | メタ・プラットフォームズ | メタ・プラットフォームズ | イーライリリー | ASMLホールディング | ASMLホールディング |
7 | ASMLホールディング | テスラ | ASMLホールディング | ブロードコム | ブロードコム | アストラゼネカ | アマゾン・ドット・コム | アマゾン・ドット・コム |
8 | アストラゼネカ | イーライリリー | イーライリリー | アルファベット | アストラゼネカ | ネスレ | アストラゼネカ | アストラゼネカ |
9 | テスラ | アルファベット | アルファベット | イーライリリー | LVMH | アルファベット | ネスレ | ブロードコム |
10 | イーライリリー | アストラゼネカ | アストラゼネカ | アストラゼネカ | AIAグループ | AIAグループ | ノボルディスク | AIAグループ |
テスラはずっと構成上位でしたが、直近株価が暴落しているので構成比率は大きく下落してきています。
キャピタル世界株式ファンドは上位10銘柄で20%程度となっています。全体で277銘柄に投資をしており、かなり分散して投資しているということができます。
分散投資をすると成績が平準化されるので、なかなかアクティブリターンを出すのが難しいという側面もあります。
組み入れ構成国ベースでみると以下の通り、概ね世界の現在の時価総額の比率に批准した割合となっています。
上位ポートフォリオを見ると全て米国株でポートフォリオを構築しているように見えますが、欧州や日本、エマージング市場の株式にも分散投資されています。
メインでグロース株、他はオールカントリーインデックスといったようなポートフォリなのではないかと思います(上位10銘柄以外は見れません)。
手数料は比較的高い
キャピタル世界株式ファンドは比較的高い手数料水準で提供されています。
- 購入手数料:3.3%(税込)
- 信託手数料:年率1.694%(税込)
確かに運用体制が充実しているので、逆にコストが嵩んでしまっているということが読み取れます。
4種類のキャピタル世界株式ファンド
一言にキャピタル世界株式ファンドといっても、為替ヘッジの方針と分配金の方針に応じて4種類存在しています。
それでは、どの種類がよいのかという点を筆者の視点で考えてみたいと思います。
為替ヘッジをつけるべきか?
限定為替ヘッジとは米ドルやユーロなどの主要国通貨に対しては為替ヘッジを行うものの、新興国通貨に対しては為替ヘッジを行わないという手法です。
現在ポートフォリオの資産は以下の通り米ドルとユーロと英ポンドといった主要国通貨で日本円を含めると70%を占めています。
そのため、限定ヘッジでほぼほぼ為替ヘッジはカバーできます。
為替ヘッジにはコストが伴うので必ずしも為替ヘッジを行う方がよいとは限りません。日本との金利差が大きい国となればスワップコストが発生しコストが大きくなります。
ただ、2024年現在、先進国金利はかなり高い水準となっており、劇的な円安が進んでしまいましたので、金利コストを払ってでも為替ヘッジを行う必要があると考えます。
為替ヘッジをつけることで5%-6%のリターンを毀損することになっていきます。
結局のところ、一番多くを占める米ドルが日本円に対して今後上昇するかどうかという点が重要になってきます。
筆者としては今後米国が不況を織り込んでいく局面が出てくる場合に、一気に円高に傾いてしまい、ドル建て資産は日本人から見れば為替のみで20-30%の下落余地があります。
つまりかなりリスクが高く、現在は高い金利を払ってでも為替ヘッジが正当化される局面だと思われます。
2022年からドル円は151円まで上昇し、2024年3月現在でも148円という状況になっています。
しかし、今後は以下の2つの理由で日米金利差は縮小することが見込まれています。
- 米国のリセッションにより米金利の低下
- 日本側の金融政策により日本の金利の上昇
2つ目について早ければ3月にでも日銀がマイナス金利を解除する公算があるという報道が流れています。
[東京 14日 ロイター] - 時事通信は14日、日銀が18─19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する方向で調整に入ったと報じた。
ここからはドル円は下方向の確度がたかまっているので、金利コストを加味しても為替ヘッジありの方が魅力的な選択肢かと思います。
分配金を重視するべきか?
それでは分配金はどうするべきでしょうか?キャピタル世界株式ファンドの分配金重視額は基準価格に2.5%を上限に分配金を年2回支払う方針としています。
2回ということは最大で5%まで分配金を出すということですね。
問題となっている毎月分配型の投資信託に比べると決して高い分配利回りではないのは評価できます。
しかし、分配金を出すことで資産運用で一番重要とも言える複利効果を毀損してしまいます。例えば5%のリターンをキャピタル世界株式ファンドが出すとします。
その全てを配当する場合と、配当しなかった場合の投資家のリターンは以下となります。
配当なし 基準価格 |
配当重視型 | |||
基準価格 | 配当金 | 税後配当金 | ||
現在 | 100.0 | 100.0 | ||
1年後 | 105.0 | 100.0 | 5 | 4 |
2年後 | 110.3 | 100.0 | 5 | 4 |
3年後 | 115.8 | 100.0 | 5 | 4 |
4年後 | 121.6 | 100.0 | 5 | 4 |
5年後 | 127.6 | 100.0 | 5 | 4 |
リターン | 27.6 | 20 |
分配金を出さない方が長期的にみると高いリターンをもたらすのです。筆者としては分配金なし型を推挙します。
実際にキャピタル世界株式ファンドの運用成績とは?全世界株式インデックスに勝っている?
それでは以下は為替ヘッジなしの分配金なしの成績で見ていきます。
大きなリターンを残しているとはいい難い
以下は運用開始をした2007年からの15年間のチャートです。16年で2.5倍にしか出来ていないのは正直物足りないですよね。それも30%程度の為替の追い風がありながらです。
では、インデックス投信と比べると成績はどうなっているでしょうか?
アクティブファンドはインデックスファンドにパフォーマンスで上回ることができなければ存在意義はないと言えます。
MSCIオールカントリーインデックスと比較するとアンダーパフォームしている
以下は全世界に投資しているeMAXIS 全世界株式とキャピタル世界株式ファンドを比較したものです。
eMAXIS 全世界株式は全世界株の時価総額加重平均指数であるMSCIオールカントリーインデックスに連動する投信です。
全世界の平均的な株式市場の動きとなります。
赤:eMAXIS 全世界株式
青:キャピタル世界株式ファンド
殆ど同じリターンですね。ただ手数料が高いだけのインデックス投信になっています。
全世界の平均的な成績に敗北しています直近3年はアンダーパフォームとなっています。
アクティブファンドとしては情けない成績となっているといえますね。
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キャピタル世界株式ファンドはインデックスファンドの手数料が高いバージョンです。つまり下位互換です。
折角、アクティブファンドに投資をするなら以下のヘッジファンドのように暴落を抑制しながら高いリターンを出しているファンドに投資をするべきです。
インデックスをアウトパフォームしながらも暴落を経験せずに着実に資産を伸ばしているファンドについては以下で詳しくまとめています。
筆者も実際に5年間投資をしているのですが、半年ベースで1度も下落することなく、年率10%以上のパフォーマンスをあげてくれており資産形成の主軸をなしています。
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投資家の評判は?掲示板やSNSをチェック!
最後に参考までですが、実際に投資をしている方々の評判を拾える範囲で見ていきましょう。
SNS:
SBI iDeCoの整理で私の投資商品において
三井住友 DC外国債券インデックスファンド
ハーベストアジアフロンティア株式ファンドが除外対象となったため商品の乗換を行った。
新興国はアクティブがなくなったのに、先進国にまだキャピタル世界株式ファンドという劣化インデックスが残ってる理不尽。
— はるかさん (@Haruka2007Toshi) August 10, 2018
本日から保険代理店業界の方にはお馴染み(?)、このファンドがつみたてNISA対象商品に入りましたね~。
キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)https://t.co/wXOhK5a4Tx
2021年10月1日現在の取扱証券会社は、いちよし証券、楽天証券、エース証券、PWM日本証券。— 永岑 和真(ながみね かずま) (@Hoken_FP_Curry) October 1, 2021
先日野村証券に行ったら、キャピタル世界株式ファンド(アクティブなやつ)をゴリ押しされたな🧐
「野村は変わった」と担当さんが言ってるが果たして。 https://t.co/ei0SLwhjmE— 🌉銀座Leeマン🌃 (@DeFi29352532) July 12, 2022
掲示板:
お付き合いで少し買っているがここだけマイナスなんだよね😁3年で見て欲しいとのことでもう少し続けてみようと思いますが手数料も高いし逆転は難しいと思うがはてさて
あまり成績良くない。今後の動向で解約も視野に入れます‼️
昨年末にみずほにすすめられて積み立てNISAを毎月2万で始めましたが10%以上下がってます…。せめて年明けにすれば良かったと後悔ですが、まあ10年後には笑ってると信じて続けます。銀行にしては手数料など悪い商品ではないみたいなので。
基本的にキャピタル世界株式ファンドは下落耐性がないので、2022年以降はしばらくよい評判は出てこないかと思います。
やめとけ!?キャピタル世界株式ファンドの今後の見通しは?
それでは重要な今後の見通しについてみていきたいと思います。結論からいうと今後10年は2008年からの金融緩和の副作用の影響で厳しい展開が想定されています。
そもそも事の発端は1980年代に遡ります。1970年代に発生した強烈なインフレを抑え込むために米中央銀行は急激な金利の引き上げを行いインフレを抑え込みました。
結果としてインフレは沈静化しました。その後の40年間は継続して金利を下げ続け、直近10年はほぼゼロ金利で推移していました。以下は米国の10年債金利の長期推移です。
金利の下落は株式にとってプラス要因です。株価はこの40年間、堅調に推移していきました。
しかし、上記の右端を見ていただければわかる通り長期金利は上昇に転じています。
2020年に発生したパンデミック対策で大量にばらまいた結果、強烈なインフレが発生しているのです。このインフレは悪夢の1970年代と同水準のものになっています。
つまり、1970年代の再来を想起させるものとなります。実際、以下の通り当時のインフレ率をなぞるような動きとなっています。
2023年に見た目上インフレは下落しましたが、主にエネルギー価格の下落によるものです。
粘着性の高いサービスインフレはまったく下がっておらず、基調的なインフレ率は高い状態を維持しています。
今後、エネルギー価格が再び上昇する局面がくればインフレ再燃が確定的になります。こうなってくると2022年をもう一度やり直すことになります。
以下は1970年代のS&P500指数です。10年間を通じて横ばいですが、局面によっては半減している場面もあります。
2024年時点でインフレはピークアウトしていますが、依然としてサービスインフレは年率5%の水準です。そして、この後に待っているのはインフレと金利引き上げによる不況です。
通常不況になると中央銀行は金利を下げないといけませんが、インフレ率が高いので金利を引き下げることができません。
景気が悪いのに金利を高い水準に据え置く結果、経済は壊れてしまうのです。実際、景気の先行指標は崩れ始めています。
仮に現在の米中央銀行の議長であるパウエルが景気悪化に耐えきれず利下げをしてしまうと1970年代の再来が確定します。
つまり、インフレが3回に渡って訪れ10年間の株式の低迷を招くのです。ドットコムバブルの時は13年間低迷しました。
いずれのケースにしても株式市場の暴落を防ぐことはできません。遅かれ早かれ米国株を中心とした世界株は一旦のリセットが必要なのです。
世界の株価指数に連動するキャピタル世界株式ファンドの見通しもしばらく暗いと言わざるを得ません。
そして、特にシリコンバレーバンクの破綻によってシリコンバレーに長い冬が来ることが確定的になったとも言えます。
キャピタル世界株式ファンドはテクノロジーにポートフォリオが偏っているので、より長期間低迷することが予想できます。
経営破綻したアメリカの銀行、シリコンバレーバンクの持ち株会社だったSVBファイナンシャルグループは17日、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用をアメリカの裁判所に申請し、経営破綻したと発表しました。
スタートアップ企業向けの融資で知られ、10日に経営破綻したシリコンバレーバンクはSVBファイナンシャルグループの傘下の銀行で、シリコンバレーバンクに続き、持ち株会社も経営破綻した形となりました。
そのため筆者は世界の株式市場に影響をうけず安定的にリターンを上げているファンドに投資を行い資産を増やしています。
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まとめ
今回のポイントを纏めると以下となります。
- キャピタルグループは世界最大の運用グループ
- 全世界株式に投資をするアクティブファンド
- 組入銘柄は300を超えており指数と変わらないレベルに分散されている
- 組入銘柄はハイテク銘柄中心
- 組入国比率は概ね世界の時価総額順に批准している
- 手数料は比較的高い水準
- リターンは全世界株インデックスに劣っている
今回分析して総括すると、敢えてキャピタル世界株式ファンドに投資する妙味はないといえるでしょう。
長期的に大きな資産を築くことができる下落耐性のある安定したリターンを叩き出しているファンドについてランキング形式でまとめていますので参考にしていただければと思います。
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