REITの仕組み

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分配金が高いと評判のフィデリティUSリートファンドB(為替ヘッジなし)を徹底評価!2024年以降の今後の見通しは?

2022年10月23日

高い分配金が見込める米国のリートに対する投資熱は日本でも高く様々な投資信託が組成されています。

以前当ブログでも取り上げたゼウス投信も米国リートに投資する投資信託です。

→ 【ゼウス投信】売り時はいつ?配当金が下がり続け評判と評価額が下がり続ける「新光US-REITオープン」の今後の見通しを考察!

 

本日紐解くのはフィデリティUSリートファンドB(為替ヘッジなし)です。

今回お伝えするポイントは以下の通りです。

 

今回のポイント

  • ダフィデリティUSリートファンドの特徴
  • 分配利回りが高い罠とは?
  • 今後のUSリートの見通しとは?

 

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フィデリティUSリートファンドB(為替ヘッジなし)の特徴

フィデリティUSリートファンドB(為替ヘッジなし)の特徴は以下となります。

そもそもリートとは?

まずリートがどのようなものがおさらいしたいと思います。

REITは以下のとおり投資家から集めた資金や銀行からの融資を元手に不動産に分散投資を行う仕組みです。

REITの仕組み

得られた賃料収入や値上がり益を投資家に分配するのですが、得られた利益を90%以上投資家に分配することで免税となる仕組みが整えられています。

リートは90%以上を投資家に分配することで免税に

利益の殆どを分配するため、分配利回りが通常の株式投資に加えて高い傾向にあります。

フィデリティUSリートファンドは、このようなリートに分散投資をしている投資信託ということになります。

 

リートファンドの仕組み

 

FIAM LLCの運用指図により米国リートを選定

フデリティUSリートファンドではフィデリティがリートファンドを選定するわけではありません。

FIAM LLCという米国の所在地をおいている公的年金、企業年金、基金、保険会社などの機関投資家を対象とした資産運用サービスを提供しているアセットマネジメント会社の支持に基づいて運用をおこなっています。

つまり、委託しているわけです。後でお伝えするとおり手数料が高いのも納得できますね。

 

フィデリティUSリートファンドB(為替ヘッジなし)とは?Aコースとどちらがよい?

フィデリティUSリートファンドには為替をヘッジするAコースとヘッジを行わないBコースが存在します。

Bコースの場合は為替をヘッジしていないので、ドル円が上昇するとリターンが上昇しますし、反対にドル円が下落するとリターンが低下します。

 

Aコースは為替ヘッジをしているのでドル円の変動の影響はうけません。ただ、ヘッジしていることで金利コストを支払うことになるのでリターンは毀損します。

特に現在の米国の金利は高騰しているので3%-5%のリターンの毀損要因になる点は特筆すべき点です。

 

2024年3月時点でドル円は日米金利差の拡大を背景に150円まで急激なドル高円安が進行しています。

ドル円は日米金利差に連動

 

ただ、この流れは一旦小休止となります。今後、本格的に景気後退となる局面ではさらに金利差は縮小するので110円に向かっていることが想定されます。

つまり、2023年にフィデリティUSリートファンドに投資をするのであればAコースの方をおすすめしたいと思います。

 

組み入れ上位銘柄と業種別構成比率

フィデリティUSリートファンドの構成上位銘柄の推移は以下となります。

2024年1月末 2023年9月末 2023年7月末 2023年5月末 2023年3月末 2022年12月末 2022年10月末
1 プロロジス プロロジス プロロジス プロロジス プロロジス プロロジス プロロジス
2 エクイニクス エクイニクス エクイニクス エクイニクス エクイニクス エクイニクス エクイニクス
3 ベンタス ベンタス デジタルリアルティー デジタル・リアルティ ウェルタワー ウェルタワー ウェルタワー
4 パブリック・ストレージ ウェルタワー ウェルタワー ウェルタワー ベンタス デジタル・リアルティ・トラスト クラウンキャッスル
5 デジタル・リアルティ デジタル・リアルティ ベンタス ベンタス クラウンキャッスル ベンタス デジタルリアルティー
6 ウェルタワー UDR クラウンキャッスル クラウンキャッスル デジタルリアルティー クラウンキャッスルインターナショナル エクストラスペース
7 キムコ・リアルティー ミッド・アメリカ・アパートメント キューブスマート キューブマート キューブスマート ミッド・アメリカ・アパートメント ベンタス
8 キューブスマート キューブマート UDR UDR エクストラスペース UDR UDR
9 サン・コミュニティーズ サン・コミュニティーズ ミッドアメリカアパートメント ミッド・アメリカ・アパートメント UDR エクストラ・スペース・ストレージ ミッドアメリカアパートメント
10 NNNリート キムコ・リアルティー エクストラスペース エクストラ・スペース・ストレージ ミッドアメリカアパートメント キューブマート キューブスマート

 

バランスよく業種を組み入れているのが読み取れますね。全体の業種別構成比率は以下の通りとなっています。

 

業種 比率
住宅 23.70%
小売 17.10%
データセンター 14.60%
物流 13.60%
ヘルスケア 11.60%
倉庫 5.30%
特殊 4.70%
ホテル・リゾート 2.80%
インフラ 2.60%
ゲーミング 1.90%
オフィス -

 

住宅が多くなっています。住宅価格は不況でも好況でもさほど価格に変動がないので、安定的なことが特徴となります。

 

手数料(購入手数料と信託手数料)

購入手数料と信託手数料は以下の通りとなります。

購入手数料:税込3.85%
信託手数料:年間税込1.54%

 

フィデリティUSリートファンドB(為替ヘッジなし)の運用実績

では肝心の運用実績について見ていきましょう。

以下はフィデリティUSリートファンドBの基準価額と配当金再投資基準価額(累積投資額)となります。

 

フィデリティUSリートファンドBの運用実績

フィデリティUSリートファンドBの運用実績

1-3月期 4-6月期 7-9月期 10-12月期
2023年 1.60% 12.81% -4.89% 10.88%
2022年 3.33% -5.43% -7.06% -2.29%
2021年 17.47% 12.20% 3.29% 16.32%
2020年 -22.00% 6.72% 1.28% 3.95%
2019年 16.88% -1.67% 7.98% 0.14%
2018年 -12.82% 12.93% 1.90% -8.36%

 

上記の濃く太い青色の線は分配金を再投資した場合の基準価額です。つまり分配金をださなかった場合の基準価額の推移です。

実際には分配金を出した瞬間に20.315%の税金がとられ、投資する時には3.85%の購入手数料が発生するので実現は不可能です。

 

分配金をだすことで大きくリターンを毀損していることになるのです。実際には濃い青線と薄い青線の真ん中程度のリターンとなります。

ちなみにフィデリティUSリートファンドは赤の点線「FTSE NAREIT Equity REITS インデックス(円建)」に大きく劣後しています。

アクティブファンドとしては不十分な成績と言わざるを得ません。

→ アクティブ運用型投資信託とパッシブ(=インデックス)運用型投資信託のどちらが優れている?リターンに加えシャープレシオや手数料水準から徹底比較!

 

安定的な運用を目指すのであれば、不動産やコモディティなど、状況によって柔軟にポートフォリオを組み替えられるヘッジファンドなどが優秀です。

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分配利回りが高すぎる?特別分配金をだしつづけ配当利回りは下がりつづけている

フィデリティUSリートファンドは基準価額は3000円になっています。運用開始時は10,000円でした。

つまり、運用リターン以上の分配金を出してきたことになります。これが特別分配金です。

 

特別分配金とは?

 

 

特別分配金を受け取っているということは手数料を払って投資信託から自分の預け入れ資金を引き出していることを意味します。

つまり、手数料を払って預金から引き出しているのと同義なのです。分配利回りが高いからと喜んでも、それは蜃気楼でしかないのです。

 

現在3000円の基準価額に対して毎月の分配金は35円となっています。年間になおすと420円ですね。

 

年累計 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2024年 70円
(2月末)
35
(01/15)
35
(02/15)
--
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2023年 420円 35
(01/16)
35
(02/15)
35
(03/15)
35
(04/17)
35
(05/15)
35
(06/15)
35
(07/18)
35
(08/15)
35
(09/15)
35
(10/16)
35
(11/15)
35
(12/15)
2022年 420円 35
(01/17)
35
(02/15)
35
(03/15)
35
(04/15)
35
(05/16)
35
(06/15)
35
(07/15)
35
(08/15)
35
(09/15)
35
(10/17)
35
(11/15)
35
(12/15)
2021年 420円 35
(01/15)
35
(02/15)
35
(03/15)
35
(04/15)
35
(05/17)
35
(06/15)
35
(07/15)
35
(08/16)
35
(09/15)
35
(10/15)
35
(11/15)
35
(12/15)
2020年 420円 35
(01/15)
35
(02/17)
35
(03/16)
35
(04/15)
35
(05/15)
35
(06/15)
35
(07/15)
35
(08/17)
35
(09/15)
35
(10/15)
35
(11/16)
35
(12/15)

 

つまり基準価額に対して約14%の分配金を出していることになります。

14%以上のリターンを出しているのであれば14%の分配利回りも正当化されます。しかし、実際ははるかに低い利回りとなっています。

つまり特別分配金が出ているということになります。

 

特別分配金をだしているので基準価額は下落しつづけ、そのうち分配金は下がります。

もともと分配金は100円でしたが、現在では35円になっています。分配金は低下しつづけているのです。

最初に基準価額が10,000円の時に投資したからすると現在の分配利回りは4%程度になってしまっているのです。

 

掲示板での口コミや評判

掲示板での口コミは以下となります。下がり続ける基準価額で苦しんでいる方が多く見受けられます。

 

Yahoo掲示板①

コロナ暴落当初に買ったここですが、
3000円切ったら売ります。
切ることはなさそうだとのんびり構えていましたが、最近の下落でいよいよ考えなければと

安く買ったので、ここはたいへん儲けさせてもらいました。
まもう少し持っていたいので上がってほしいです。

 

Yahoo掲示板②

まだまだ下がるかもね!今日も3%前後は下がるから。12月には利上げがまだ有るから、不謹慎かも知れないけど3000は下回る可能性大だと思う。

やっぱり金利が上がるとREITは下がるって言われてるからね。もうアメリカ人も賃貸上がりすぎて安心して借りれないとも。

 

2つ目にも示されている通り、今後の見通しも暗いものとなっています。

 

フィデリティUSリートファンドの今後の見通しは?

重要なのは今後の見通しです。フィデリティUSリートファンドの見通しが厳しい理由は2つあります。

 

住宅ローン金利が急騰している

1つ目は米国金利の急騰があります。

現在、米国では1970年代以来のインフレを抑えるために急速なスピードで金利を引き上げて対応しています。以下はローンに影響を与える米国30年債金利の推移です。

 

米国の30年債金利の推移

米国の30年債金利の推移

 

2020年から急激に上昇していますがインフレが発生した1970年代や1980年代と比べると、まだまだ序盤という動きとなっています。

ここからさらに金利が上昇する動きを見せています。

米国の金利が急上昇すると、当然ローン金利が急上昇します。すると、当然ローンで住宅を購入できなくなるので住宅価格は下落します。

 

商業用不動産のデフォルト懸念が高まっています

また商業用不動産は高金利に加え、リモートワークの進展によって大きく下落しています。

 

米国でも商業用不動産の価格の下落が続いており、経済活動に悪影響をもたらすとともに、中堅・中小銀行の不良債権問題を生じさせる可能性が出てきている。

グリーンストリートアドバイザーズが算出している米国の商業用不動産価格は、2022年4月から最新の2023年8月まで16.5%下落している。リーマンショック時以来の本格的な下落だ。

リーマンショック時には、下落局面は1年9か月に及び、下落幅は36.7%となった。今回の下落局面は、8月までで1年4か月となっており、リーマンショック時を上回る長さとなる可能性もあるだろう。

参照:野村総研

 

2024年2月時点でも下落は続いています。

商業用不動産の価格推移

商業用不動産の価格推移

 

住宅用不動産も商業用不動産も厳しい環境になっています。

つまり米国リートも全体として下落する確度が高いです。今後、しばらくUSリートは厳しい展開が想定されます。

 

資産運用を行う上で重要なのは、いかなる局面でも安定したリターンを獲得することです。

市場環境によらず安定したリターンが獲得できたら、資産を安定的に増やすことができますからね。

以下では安定した資産運用に適したファンドを筆者が投資しているものも含めてお伝えしていますのでご覧いただければと思います。

 

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まとめ

フィデリティUSリートファンドは米国リートに分散投資を行う投資信託です。

ただ、ベンチマークであるインデックスに劣後した成績となり、特別分配金をだしています。

長期投資をすると、自分の資産を手数料を支払いながら取り崩していく結果となります。

また、今後の見通しも暗く投資先としておすすめすることはできません。

 

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最後に:資産を飛躍的に増やす方法は明確に決まっている

積み重ねる運用

 

 

資産を大きく増やすにはどうすれば良いのでしょうか?

上場小型ベンチャー株に力一杯、資金を投入。一か八か、株価の急騰を願ったり、信用取引でレバレッジを思いっきりかけてみるのも良さそうです。仮想通貨の草コインも人生一発逆転があるかもしれません。

断言します。上記のような思考の方は一生資産が増えません。

そもそも一発の取引で大儲けを狙えるというのは、同じく容易に資金を溶かす可能性も高いということです。そんなものは投資とは言えません。投機と考えても質が低いです。もう少し丁寧に資産の扱い(延いては人生)を考えてみましょう。思考をガラリと変えてみましょう。

 

大事なのは「リターンが小さくても確実にプラスを、時間をかけて積み重ねていく(複利を生かす)」ことです。世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏も投資で最も大切なのは以下の2つのルールとしています。

 

  1. 絶対にお金を損しないこと。
  2. 絶対にルール1を忘れないこと。

 

 

この「損をしない」「プラスリターンを確実に積み重ねていく(複利を生かす)」という重要性を理解したところで資産運用は始まります。好きな企業の株、高配当・優待目当てなど、あなたの資産を減らしてしまう運用はやめましょう。「Classic」且つ「質実剛健」な資産運用を行なっていくべきです。

 

私も資産運用歴は既にかなり長いです。そしてこの思考に辿り着き、プラスリターン×複利運用を実施してからの資産増加スピードは圧巻でした。この哲学を実践している、私のポートフォリオに入っているファンドも今回まとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。

 

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