当サイトは様々な投資信託を分析しています。投資信託は4000種類もあり、様々なものが運用され販売されています。
金融商品もグローバル化が進み、多くの世界の株式に投資をする投資信託が組成され販売されています。いい時代になりましたよね。
今回紹介するのはティー・ロウ・プライス世界厳選成長株式ファンドです。
その他にも当サイトでは様々な世界株に投資している投資を分析していますので興味のある方はご覧いただければと思います。(以下は一部です)
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ティー・ロウ・プライス世界厳選成長株式ファンドの特徴とは?
まずは、ティー・ロウ・プライス世界厳選成長株式ファンドの特徴についてみていきたいと思います。
そもそもティー・ロー・プライスとは?
ティー・ロー・プライスは1950年から運用を開始している資産運用会社です。現状運用資産額は約190兆円となっています。
創業者のトーマス・ロウ・プライスJrは1972年にはフォーブス誌などで成長株投資の祖と称されたとしています。
ただ、成長株への長期投資をモットーとした運用方針としており筆者は疑問を抱いています。
理由としては成長株投資で名を馳せている以下の伝説の投資家達は必ずしも長期投資を是としていないからです。
- ジェシーリバモア
- ウィリアム・オニール
- マーク・ミネルビニ
成長株というのは大きく上昇したあとに暴落する傾向にあります。
上昇し始めた時に投資をして、ある程度上昇したら利益を確定するのが成長株投資では重要になってきます。
実際、筆者は米国株の成長株投資を実施してきていますがトーマス・ロウ・プライスJrは聞いたことがないです。
正直、成長株の長期投資を謳っている時点で信頼感は筆者としてはありません。
3つのパターンの成長銘柄を組み合わせ
投資するのは以下の3つのパターンの成長銘柄としています。
特徴 | 期待する株価の値動き | |
持続成長銘柄 | イノベーションや革新的なビジネスモデルなどで創造的破壊を伴ってせいちょうする企業 | 長期的に右肩あがりの株価を期待 |
循環成長銘柄 | 価格競争力などを背景に経済サイクルを通じてシェアを拡大させ一層強固な収益基盤を実現する企業 | 不需要期になれば株価は調整するも、次の経済サイクルで前回の高値をこえることを期待 |
ターンアラウンド銘柄 | 事業再生、経営改革、業界再編、規制改革などを契機に収益の急回復を遂げる企業 | 長期低迷のあとの急登 |
それぞれの目標とする配分比率は持続成長銘柄が50%-60%、循環成長銘柄とターンアラウンド銘柄を15-25%ずつとしています。
構成上位銘柄
2023年10月末時点での構成上位銘柄は以下となります。
No. | 銘柄 | セクター | 国 | 構成比 |
3 | マイクロソフト | 情報技術 | 米国 | 4.11% |
1 | アマゾンドットコム | 一般消費財・サービス | 米国 | 5.08% |
2 | アップル | 情報技術 | 米国 | 4.52% |
4 | イーライリリー・アンド・カンパニー | ヘルスケア | 米国 | 3.59% |
9 | エヌビディア | 情報技術 | 米国 | 2.61% |
5 | ロンドン証券取引所グループ | 金融 | 英国 | 3.20% |
10 | ユナイテッド・ヘルス | ヘルスケア | 米国 | 2.27% |
7 | 第一三共 | ヘルスケア | 日本 | 3.06% |
9 | アルファベット | コミュニケーション | 米国 | 2.31% |
10 | エクソンモービル | エネルギー | 米国 | 2.27% |
情報技術セクターがトップに集中しています。2022年のナスダックの大きな下落のリバウンドを反映したポートフォリオとなっていますね。
セクター別では上位は以下となっています。情報技術セクターは不況に強く、金融セクターは好景気終盤に強くなるセクターです。
3位にヘルスケアが入っており、不況を首を長くして待っているといった内容ですね。
2023年10月末 | 2023年6月末 | 2023年3月末 |
情報技術 | 情報技術 | 情報技術 |
⾦融 | ⾦融 | ⾦融 |
ヘルスケア | ⼀般消費財・サービス | ヘルスケア |
⼀般消費財・サービス | ヘルスケア | コミュニケーション・サービス |
エネルギー | コミュニケーション・サービス | ⼀般消費財・サービス |
資本財・サービス | 資本財・サービス | 資本財・サービス |
コミュニケーション・サービス | エネルギー | エネルギー |
⽣活必需品 | ⽣活必需品 | 素材 |
公益事業 | 不動産 | 不動産 |
不動産 | 公益事業 | 公益事業 |
現⾦他 | 現⾦他 | 現⾦他 |
手数料
手数料は以下となります。
購入手数料:3.3%
信託手数料:年率1.683%
4つのコースとは?(A,B,C,Dコース)
ティー・ロウ・プライス世界厳選成長株式ファンドは4つのコースがあります。
為替ヘッジ | 決算頻度・配当拠出頻度 | |
Aコース | あり | 少ない |
Bコース | なし | 少ない |
Cコース | あり | 多い |
Dコース | なし | 多い |
為替ヘッジがあると為替の変動リスクは負いませんが、金利差分のヘッジコストを負担することになります。
一方、為替ヘッジなしの場合はドル円が上昇すると基準価額は上昇し、ドル円が下落すると基準価額は下落します。
既にドル円は頂点をうち、ここから下落する確度が高いので為替ヘッジありの方をおすすめしたいです。
また、決算頻度は少ない方が配当金を出した時に税金分を毀損する頻度が少なく済みます。
長期的なリターンを考えると分配金を出す頻度は少ない方がよいのです。つまり、Aコースがおすすめということですね。
ティー・ロウ・プライス世界厳選成長株式ファンドの運用実績
ここでは比較しやすいように為替ヘッジなしのBコースでみていきたいと思います。
青:ティー・ロウ・プライス世界厳選成長株式ファンド
赤:eMAXIS Slim 全世界株式ファンド (円建の全世界株式)
2020年からは大きくアウトパフォームしていましたが、直近は軟調な成績となり結局殆ど全世界株式と同様の成績になっています。
直近3年間でみると全世界株式に大幅に負けています。
為替ヘッジありのAコースはドル円上昇の影響をうけてないのでBコースよりは現状までは低い成績となっています。
ただし、先ほど申し上げた通り、ここからはドル円は下落する確度が高いのでAコースの方が魅力的な選択肢となります。
掲示板での口コミや評判
掲示板での口コミや評判は以下となります。直近の体たらくな成績で諦めムードが漂っています。
口コミ①
積み立て途中でやめましたが、積み立てた分はプールしてあります。ここに限らずマイナスが酷いので。安いときに買って、高くなったら売るのが鉄則ですが、どうも安くなってくると不安で売りたくなります。性格が投資に向きませんね。
口コミ②
一般NISAを毎月10万ずつこれに積み立ててます。最初すごいリターンで喜んでたけど、ここ2年マイナス。成長株ってことはグロース?大企業でも苦しんでるのにグロースに生存余地あるのかな?特に米国で?
今後の見通しは暗い?
重要なのは今後の見通しです。基本的には全世界の株式の動向に批准するとみるのが妥当です。
2022年は全世界的に株式市場にとって厳しい環境が継続しました。
これはウクライナ危機や2020年からの大規模な金融緩和の影響で1970年代以来の高いインフレが発生したことに起因しています。
欧米の中央銀行はインフレを抑えるために金利を引き上げ、市場から資金を吸収して金融引き締めを実行していきました。
結果的に2020年の相場の巻き戻しが起こり株価が下落しています。
今まではドル円の上昇のおかげで為替ヘッジなしの場合は基準価額の下落は抑えられてきました。
日米金利差によって上昇してきたドル円も、不況を見込んだ米金利の低下によって縮小に転じています。
この流れは継続します。更に来年は金融引き締めの影響で株価も下落することが見込まれています。
日本もインフレ率が米国を超えてしまいましたので、引き締めに動く可能性が非常に高くYCC撤廃が2024年後半以降はメイントピックになっていくでしょう。
遅かれ早かれ、円高に巻き戻る未来は起こると思われます。
インフレ再燃の懸念などを背景に、2023年後半は世界的に株式市場は厳しい環境となることが想定されています。
ティー・ロウ・プライス世界厳選成長株式ファンドも見通しは暗いとみています。