ハイ・イールド債ファンドが流行しているという話を聞きました。
イールドというのは利回りのことなので、直訳すると高い利回りの債券に投資しているファンドということになります。
名前からして、高い利息を得られそうな気配がただよっていますね。
そこで、一番人気ファンドとなっているフィデリティ・USハイ・イールド・ファンド(資産成長型)について今回は分析してみたいと思います。
フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド(資産成長型)とは
概要と特色
その名の通り、フィデリティ投信で、内容は米国のハイイールド(高利回り債券)で運用を行なっています。
特徴としては、ハイイールドですからリスクの高い先の債券で運用しているということです。
格付けに関しては、主に、Ba格(ムーディーズ社)以下またはBB格(S&P社)以下の 格付けの事業債に投資を行ない、一部、格付けを持たない債券や、米国以外の国 の発行体の高利回り事業債を組入れることもあります。
https://www.fidelityinternational.com/legal/documents/JP-ja/spr.JP-ja.JP.F-217016.pdf
BB格ですから、以下の通り信用リスク中程度ではありますが投資不適格(ジャンク債)となっています。リスクはかなり高いと言えます。
組み入れ銘柄(ボンド)
2024年3月時点の構成上位銘柄は以下となります。
ちなみに以下は2023年5月31日時点の構成上位銘柄からの変です。あまり変わっていませんね。長期保有していることがわかります。
2024年3月末 | 2023年5月末 | |
1 | DPL | スプリント・キャピタル・コーポレーション |
2 | スプリント・キャピタル・コーポレーション | フォード・モーター・クレジット |
3 | フォード・モーター・クレジット | ウーバー・テクノロジーズ |
4 | ウーバー・テクノロジーズ | アリー |
5 | ティッシュ・ネットワーク | ティッシュ・ネットワーク |
6 | チャールズ・シュワブ | JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー |
7 | アリー | パシフィック・ガス&エレクトリック |
8 | JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー | パシフィック・ガス&エレクトリック |
9 | パシフィックガス&エレクトリック | フォード・モーター・クレジット |
10 | パシフィックガス&エレクトリック | トランスダイム |
スプリントなどはソフトバンクグループの投資などで日本でも非常に有名になりましたよね。
しかし、やはり高いクーポン(利息)が並んでいますね。中には信用リスク中の下の銘柄も入っています。
非常に恐ろしい内容となっていますが、JPモルガンだけは安全な気がしますね。筆者であればJPモルガン単騎がけをしたいところです。
高いクーポンといえば、日本でもソフトバンクグループやソフトバンク、楽天グループや楽天カード株式会社などもハイイールド債を個人投資家に売り出していましたよね。
筆者の感覚でいえば、上記のような社債で運用するなど狂気の沙汰に感じます。
同じような文脈で、クレディスイスのAT1債がプライベートバンクなどで過去に売り出されていたようですが、今回のクレディスイスの倒産懸念で価値はゼロになりました。
上記ポートフォリオ内のハイイールド債やソフトバンク、楽天などもいつこうなってもおかしくないと筆者は思っています。なぜわざわざゼロになるようなリスクを背負うのでしょうか。
3月にスイス金融大手のクレディ・スイスがライバルのUBSに買収される際、170億ドル(約2兆2,600億円)相当のクレディ・スイスのAT1債(その他AT1債)が無価値化されたことは、世界の投資家、金融市場に大きな衝撃を与えた。
大手金融機関が発行するAT1債は、普通社債よりも金利が高い一方でリスクは低い安全商品と考えられ、低金利環境下で積極的に購入されてきた。クレディ・スイスのAT1債無価値化によってそうした神話が崩れたため、AT1債の金利は一気に跳ね上がり、プレミアムが乗ってしまったのである。
運用実績は?基準価額チャートから確認
運用実績を見ていきたいと思います。ここがインデックスを下回っていたりすると、検討の余地がありません。
一応プラス運用です。以下が数字で見た時の運用利回りです。2013年5月から運用開始していますのでちょうど10年ですね。10年で88%資産が増えています。
1カ月 | 3カ月 | 6カ月 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) | 設定来 | |
トータルリターン | 3.17% | 2.94% | 2.83% | 8.53% | 13.57% | 8.11% | 6.79% | 88.09% |
10年で88%のリターンということは、年率で6.5%程度です。インデックスファンドが10%ほどの数字を残していることから、やはりハイイールドというリスクを取りながらこのリターンでは厳しいということですね。
→ 年間利回り5パーセントの難易度とは?インデックスでは無理?安定的に狙える選択肢も含めて紹介!
ちなみに資産成長型ではなく、通常盤のフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドのリターンは以下となっています。
年率は25年運用で5%ですので、資産成長型の方が10年という運用期間ではありますが、少し高めの利回りを提供していますね。
1カ月 | 3カ月 | 6カ月 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) | 設定来 | |
トータルリターン | 3.16% | 2.92% | 2.83% | 8.46% | 13.44% | 8.02% | 6.67% | 268.35% |
ベンチマーク | 3.25% | 3.68% | 3.62% | 8.83% | 41.94% | 48.37% | 102.25% | 336.09% |
掲示板での口コミ評判は?
それでは掲示板での口コミや評判についてみていきましょう。
評判
景気後退なら、この投資信託こそ買いですネ🤗
評判
円高に傾いてきて、逆風ですよね?
評判
ここは今、強風が吹いている。そろそろ脱出せねば。
評判
上がってください。
ある意味冷静に、そして少し認識がずれているかなという人が多い印象を受けました。以下で詳しく解説します。
今後の見通しとは? 不況織り込みの利下げでハイイールド債もチャンス?
債券利回りが上昇している時は債券価格が下がりますので、金融引き締めを急ピッチで進めた2022年は債券は暴落でした。
安定運用として債券を組み入れていたファンドは大きく損失を出しました。
シリコンバレー・バンクなども債券を長期ホールドの予定が想像以上に債券価格が下落してしまい、それが倒産の引き金になってしまいました。
今後ですが、2024年4月現在でインフレは沈静化しているどころか、再燃の可能性が高まっています。
このまま高金利が続くと、格付けの低い会社は倒産をする可能性が高くなります。
倒産となれば元本が毀損するわけなので、金利が高くても元本割れとなってしまいます。
ついでに、ドル建てなので日本投資家は利下げによる円高で為替損も被ります。
そう一筋縄ではいきませんよね。
それなりのリスクがある商品であると理解した上で、今後のフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドに投資するのであれば止めません。
しかし、セクターローテーションなどに惑わされることなく着実にリターンを積み上げるファンドも存在しますので、筆者自身はそちらを選んで資産を飛躍していきたいと思います。