<ブログ解説>コモンズ投信は赤字で破綻寸前?コモンズ投信のコモンズ30ファンドは評判に反して・・・?

日本中の投資信託を分析

<ブログ解説>評判がよいコモンズ投信「コモンズ30ファンド」を「ひふみプラス」と比較しながら徹底評価!

2022年7月20日

日本には様々な独立系投資信託が存在します。代表的なのが以下ですね。

 

その中の一つとして、コモンズ投信があります。並べてみると色々ありますね。

今回はそんなコモンズ投信が展開しているコモンズ30に特化してどのような商品なのかを解説していきたいと思います。

様々な投信をbん席した結果魅力的なファンドについて、以下でまとめていますので参考にしていただければと思います。

 

【随時更新】一番儲かる投資信託とは?2024年今買いの投資信託をおすすめ順にランキング形式で紹介!

 

 

コモンズ投信とは?赤字だけど大丈夫?

コモンズ投信とは独立系投信と冒頭で述べました。創業者会長は渋澤健氏です。

渋澤健

 

渋澤でピンときてしまうのですが、やはり渋沢栄一の子孫でした。5代目子孫であり、アメリカ育ちのUCLAでMBAを取るなど、御曹司中の御曹司です。嫉妬してしまうほど生まれた瞬間に勝ってるという方です。

 

そんな同氏が日本で創業したファンドがコモンズ投信となります。

コモンズ投信の社名の由来は「コモン・グラウンド」(共有地)とのことで、筆者は完全に顧問投信だと思っていましたが勘違いでした。

 

コモンズ投信は赤字?破綻リスクは?

コモンズ投信は赤字で危ないと噂がありましたが、これは2021年度まで利益剰余金が赤字だったことでそのような話題になったのだと推察されます。

実際に2022年度は黒字に転換しており、赤字で倒産という憶測は早とちりでしょう。2023年も黒字になっています。

 

コモンズ投信の貸借対照表

 

利益も増加しています。寧ろ、経営的にはこれからという感じではないでしょうか。(運用リターンとはまた別問題です)

損益計算書

 

 

最近のニュース:運用部門の糸島氏の解任

最近(と言っても少し前ですが)のニュースとして、運用部門の糸島氏が卒業したとのことでした。

コモンズ投信のお客様、私を応援して下さった皆様、弊社役職員を含む関係者の皆様、大変お世話になりました。

2013年2月に弊社に入社して5年6か月。今年の1月11日に、運用部(ファンドマネジャー、投資委員会メンバー)から投資情報部(社内向けストラテジスト)へ社内異動し半年が経過しましたが、この度新たな道に進むことを決断しコモンズを卒業する決断をしました。
これからも誠実に、自身の想いを貫いて生きて行きます。
皆様、本当にありがとうございました。

糸島さんが卒業

 

今はピクテ投信投資顧問に在籍しているようです。

山一證券株式会社入社。山一証券経済研究所で化学業界のシニア・アナリスト を経て、東海投信投資顧問株式会社にて国内株式のファンド・マネジャー、(社名変更後の)UFJ パートナーズ投信株式会社にて、チーフ・ファンド・マネジャー として「日本株アクティブ・ファンド(愛称:凄腕)」を運用。合併後の三菱 UFJ 投信株式会社では、株式運用部バリューグループを統括。その後、ヘッジファンドで 日本株式ロング・ショートファンドの運用経験を経て、直販を行う独立系投資信託運用会社コモンズ投信株式会社にて運用部長兼チーフ・ポートフォリオ・マネ ジャーを担う。テレビ出演や新聞掲載多数。

ピクテ投信投資顧問、糸島孝俊氏をストラテジストとして採用

 

コモンズ30ファンドとは?

本題に入っていきます。コモンズ投信が提供している金融商品「コモンズ30」とは、以下の理念を持って運用されています。

 

  • 30年の長い目線を持ってお客さまと企業と育む長期投資
  • 真のグローバル企業を中心に30銘柄へ集中投資
  • 対話で企業とお客さまをつなぎ価値の創造と楽しさを提供

 

30年、30銘柄と非常にわかりやすいですね。

 

投資先企業の評価基準

投資先は真のグローバル企業を中心に30銘柄へ集中投資としていますが、どのような基準で投資をしているのでしょうか?基本の軸は以下の5つとされています。

 

【見える価値】

  • 収益力
    営業利益率、ROEなどの財務的価値に優れ、長期的な成長または安定が見込まれる。配当などの資本政策が明確である。

【見えない価値】= 非財務情報

  • 競争力
    競争力の源泉を理解し、その強さを支えるビジネスモデルを磨き続けている。技術やサービスの開発、市場の開拓にも積極的に取り組んでいる。
  • 経営力
    経営トップが長期的な企業価値向上に対する意識が高く、それを支える持続的な経営体制の高度化に取り組み、社外取締役、株主など外部からの知見も経営に反映している。
  • 対話力
    顧客、社員、取引先、株主、社会などステークホルダーとの対話姿勢を重視している。対話を通じた持続的な価値創造に取り組んでいる。
  • 企業文化
    明確に定義された企業理念・価値観を組織内に共有し、浸透させることで具体的な行動に結び付けている。企業文化が、組織横断的な横串となり組織力を高めている。

 

かなり企業訪問をしつつ、創業者、経営者との対話を通して投資していくといった感じです。

これぞ独立系ファンドという感じですね。

 

コモンズ30の組入銘柄は?

コモンズ30ファンドの2024年1月末時点での構成上位銘柄は以下となります。

番号 銘柄 未来コンセプト 組入比率
1 味の素 ウェルネス 4.70%
2 ディスコ 精密テクノロジー 4.60%
3 東京エレクトロン 精密テクノロジー 4.10%
4 三菱商事 資源・エネルギー 4.00%
5 信越化学工業 新素材 3.90%
6 日立製作所 社会インフラ 3.70%
7 丸紅 資源・エネルギー 3.70%
8 ユニ・チャーム ライフサイクル 3.70%
9 任天堂 生活ソリューション 3.50%
10 コマツ 地球開発 3.50%

 

以下は1過去からの比較ですが順位変動はあるものの殆ど構成上位銘柄は変わっていませんね。

2023年12月末 2023年9月末 2023年6月末 2022年12月末 2022年9月末 2022年6月末
1 味の素 ディスコ 丸紅 三菱商事 信越化学工業 信越化学工業
2 ディスコ 三菱商事 三菱商事 丸紅 三菱商事 KADOKAWA
3 東京エレクトロン 味の素 味の素 信越化学工業 味の素 東京エレクトロン
4 三菱商事 信越化学工業 ディスコ 味の素 丸紅 カカクコム
5 信越化学工業 丸紅 信越化学工業 リンナイ KADOKAWA SMC
6 日立製作所 KADOKAWA KADOKAWA セブン&アイ SMC 三菱商事
7 丸紅 日立製作所 東京エレクトロン デンソー セブン&アイ 丸紅
8 ユニ・チャーム ユニ・チャーム デンソー 東京エレクトロン ダイキン工業 ダイキン工業
9 任天堂 東京エレクトロン コマツ ディスコ カカクコム ディスコ
10 コマツ デンソー 日立製作所 KADOKAWA リンナイ デンソー

 

三菱商事と丸紅は資源エネルギーとインフレ故に近年は好調でしょう。

総合商社は仲介で稼いで投資でさらに稼ぐビジネスモデルですので、他のメーカーなどとは少し毛色が違うようにも感じます。

とはいえ株価上昇する銘柄を買うのが正義ですから今の時点では正しい判断をしているように見えます。

今後米国経済が停滞し、為替が円高に転じた時の舵取りに注目したいところです。

 

コモンズ30の手数料

ノーロード型ですので、販売手数料はありません。信託報酬は出資している純資産の1.078%が毎年徴収されます。

アクティブ型の投信の中では相当低い方ですね。リターンがあれば良い投信と言わざるを得ないです。

 

コモンズ30ファンドのTwitterや掲示板上での評判や口コミは良い

コモンズ30ファンドの評判は色々ですね。投資するタイミングによって評判は分かれるのは仕方ないですが。

 

掲示板

だだ下がりですやん
買い時難しい

掲示板

せっかく最高値になったのに、今日の日経暴落で、元の木阿弥。

 

掲示板

日本郵政は楽天株で大きな損失を見込んでますが、このファンドは大丈夫でしょうか?。。

掲示板

KADOKAWAが組入れ銘柄No.2
何故なんでしょうか?
これを外せばもっと上がると思うのだが。

 

 

コモンズ30の運用実績

それでは実績を見ていきましょう。

 

コモンズ30ファンドの基準価額の推移

コモンズ30ファンドの基準価額の推移

 

すでに運用開始から14年近くが経過しています。ちょうどリーマンショック、東日本大震災を経て、アベノミクスの上昇相場に乗った形になっています。

投資を開始したタイミングとしては最高でしたね。これ以上にないです。この時期は日本株トレーダーも多くの人が億り人になりました。

アベノミクスは本当に投資家に優しい政策でした(尚、日本経済は緩和を続けていますが伸び悩んでいます)。

 

アベノミクスの緩和が終わった2018年あたりからコモンズ投信はわかりやすくリターンが減少しています。

2018年のリターンはなんと-16.92%です。筆者はマイナスを出さない運用を信条としていますから、この時点で投資先候補からは外れてしまいます。2022年も-9.47%でした。

 

その後にコロナショック後の世界中の金融緩和相場で再度上昇しました。時代に本当に恵まれた投資信託と言えるでしょう。

2010年頃から株式投資を始めた人は、これ以上ない幸運だったと思います。しかし、幸運な時期は終わりました。

2022年以降金融引き締めに入ってから再びリターンは下落しています。2021年の10-12月期からずっと1年間マイナスが続いています。

2023年は劇的な円安再発で、全体的に株価は戻していますので、回復中です。

 

1-3月期 4-6月期 7-9月期 10-12月期 1-12月期
2023年 11.28% 15.78% -3.39% 4.35% 29.88
2022年 -3.35% -7.61% -0.14% 1.52% -9.47%
2021年 9.93% 3.35% 3.59% -0.05% 17.64%
2020年 -15.50% 13.84% 7.24% 12.00% 15.54%
2019年 7.15% -0.88% 3.06% 8.92% 19.23%
2018年 -2.09% 1.14% 4.67% -19.84% -16.92%

 

以下は日経平均(赤)コモンズ30ファンド(青)の比較ですが、やはりアベノミクス効果で株価は上昇していたので日経平均とリターンが一致してしまいます。

ちなみに以下の日経平均は配当金を拠出したあとの価格なので実態は日経平均の方がリターンは高くなります。

もはや手数料の低い日経平均連動ETFの方が妙味がある結果となっています。

コモンズ投信と日経平均のリターンの比較

コモンズ投信と日経平均のリターンの比較

 

まだ日本は緩和中ですが、世界中の中央銀行が引き締めに走っており、不確実な世界が広がっています。

日経平均を明確にアウトパフォームできるようになってくると、真の実力と言えそうです。

 

コモンズ30ファンドとひふみプラスを比較

最後にひふみ投信とも比較しておきます。

コモンズ 30ファンドとひふみプラスを比較

 

緑色がひふみプラスですが、コモンズ30、日経平均に対して非常に高いパフォーマンスを叩き出しています。

流石は人気ファンドですね。しかし、このひふみ投信も近年は投資成績が振るわず、解約が増えているとの話をよく聞きます。

以下は5年の推移ですが、ひふみのリターンが著しく悪くなっています。

ひふみプラスのリターン悪化

 

これはカンブリア宮殿などでひふみはかなり人気を集め、投資家が増えファンド規模が大きくなってしまった故に小型銘柄で勝負に出れなくなったことが起因します。

この点については以下の記事で詳しくまとめています。

 

 

 

今後の見通しは景気後退で厳しい展開が想定される

先ほど見た通りコモンズ30ファンドは日経平均と殆ど同じ推移をたどっています。つまり、今後の日経平均の見通しがコモンズ30ファンドの見通しとなります。

そして世界経済はグローバル化によって連携しています。

日経平均は米国のS&P500指数とドル円を掛け合わせたものと殆ど同じ動きをしています。

日経平均はSP500とドル円の掛け合わせと近似

日経平均はSP500とドル円の掛け合わせと近似

 

つまり、以下の点を考えればよいことになります。

米国株が今後どうなっていくのか?
ドル円が今後どうなっていくのか?

 

2024年現在、2022年から始まったインフレに対応するために世界的に金融環境が引き締めとなっていることもあり景気は後退することが見込まれています。

景気が後退すると当然、人々の消費が低下するので、企業の売上や利益が下落します。実際、既に景気の先行指標は暴落しています。

景気の先行指標は暴落

 

景気後退になると、当然株価も下落していきます。今後、世界的に株式市場は厳しい展開が想定されるのです。

さらに景気後退になると米金利も下落します。すると、今まで日米金利差拡大を背景に上昇してきたドル円も下落に転じます。

コモンズ30ファンドもまだまだ浮上するのに時間がかかるでしょう。

 

筆者としては市場環境にかかわらず、下落を回避しながら堅実なリターンをあげるファンドの方が魅力的であると考えています。

以下では筆者も投資している安定したリターンが狙えるファンドについてお伝えしていますのでご覧いただければと思います。

 

日本国内のおすすめヘッジファンドを一覧にしてランキング形式で掲載!

 

 

まとめ

コモンズ投信のリターンはこれまで悪いものではありませんでした。

しかし、どうしても時代に助けられた側面が強く、緩和が薄くなった2018年あたりからリターンが縮小しているのが気がかりです。

本来の実力が見えてくるのは、アベノミクス、世界金融緩和が終わった現在のタイミングかと思います。

直近の下落を見ると、下落耐性に問題があるように見え、筆者としては見送る判断をします。

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