"億り人"――この言葉を聞いたことがある方は、おそらく投資の世界や資産運用に興味をお持ちの方々が多いことでしょう。
特に近年、仮想通貨ブームや株式市場の注目株によって、この言葉はますますメジャーになりました。
しかし、一体億り人とは何なのでしょうか?
これは一過性の富裕層なのか、長期的な資産運用の成果なのか、その真実はどこにあるのでしょうか?
この記事では、億り人の謎に迫り、彼らの成功の秘訣とその悲惨な末路について解説していきたいと思います。
億り人の経験を知ることで、投資家としてのスタンスと変化の速い社会に対応できるように準備しておきましょう。
億り人の数と資産推移
過去数年の億り人の増加傾向
近年、億り人の数が急増していることに驚かれたことはありませんか?
リーマンショックが日本経済に大きな影響を及ぼした2008年から、さまざまな経済の波乱を経て、億り人の数は急速に増加しています。
これは一体なぜなのでしょうか?
近年、億り人の数が急増している理由はさまざまな要因により明らかにされています。これらの要因には投資環境の変化があげられるでしょう。
過去数年間、投資環境が大きく変化しました。日米の低金利政策、テクノロジー分野での急速な成長、グローバル化の進展など、これらの要因が新たな投資機会を生み出しました。
インターネットで容易に株取引ができるようになったのも大きいでしょう。ネット証券は非常に画期的でした。
億り人たちは、これらの変化に敏感に反応し、資産を増やすチャンスを追求しています。
リスクテイクの機械の増加
億り人は一般的にリスクを冒すことに抵抗しない傾向があります。
特に仮想通貨やベンチャーキャピタルなどの高リスク・ハイリターンの投資に積極的に参加し、成功すれば巨額の収益を上げることができます。
このようなリスクテイクが増加していることも、億り人の数が増加する要因となっています。
以前よりFXや株もありましたが、SNSなどの発展により、FXに興味がなくともビットコインは買うという人が大勢いました。
とはいえ、リスクテイカーは資産を守りきれないという面もあります。
近年は株式市場が上昇を続けているので、まだ資産を保てている人もかつてより多いのではないかと推察できます。
S&P500もFRBの金利引き上げで株式市場は大きく下落したものの、日本が先進国で唯一金融緩和維持をしているため、金利差が開き異常な円安が続きました。
その結果、円建てのインデックスファンドは上昇を続けているのです。
しかし、米国が不況へ、日本が引き締めへ動いた時には、株価と円高のダブルパンチを被る可能性があり非常に緊張感高まる場面ではあります。
これらの要因が、億り人の数が急増する背後にある理由です。彼らは変化する経済環境に適応し、様々な投資機会を追求することで富を築いています。
リーマンショックからの資産推移
リーマンショック発生時の億り人の数と資産はどのように変化したのでしょうか?
この衝撃的な事件がどのように日本の富裕層に影響を及ぼしたのか、資産の推移は一目瞭然で、金融市場の動向と密接に関連しています。
どのようにリーマンショック以降、億り人たちは再び富を築いていったのでしょうか?
リーマンショック発生時の億り人の数と資産
2008年のリーマンショックは、世界中の金融市場に大きな混乱をもたらし、日本経済も例外ではありませんでした。
この時、多くの億り人も大幅な資産の減少を経験しました。株式市場の暴落、不動産価格の急落、そして金融機関の不安定性により、多くの富裕層は大きな損失を被りました。
当時、億り人の数は減少し、一部の個人は億を超える資産を失いました。
これは、リーマンショックが各種資産クラスにわたる市場価格に壊滅的な影響を及ぼしたためで、多くの投資家が資産の急激な減少に直面しました。
リーマンショック後の資産推移
リーマンショックからの資産推移は、その後の金融政策や経済の回復によって大きく変化しました。
政府や中央銀行の干渉により、金利が低く抑えられ、資産市場は徐々に回復しました。
特に、株式市場は急速な成長を遂げ、多くの富裕層が資産を回復しました。
また、不動産市場も回復し、一部の億り人は不動産投資によって再び富を築きました。
また、外国為替市場や新興市場への投資も増加し、多様な資産クラスへの分散投資が行われました。
さらに、リーマンショック後の経済の持続的な成長に伴い、企業の成功や新しいビジネス機会が現れたことも、億り人たちが再び富を築く要因の一つでした。
このように、リーマンショックからの資産推移は初期の損失から徐々に回復し、多くの億り人たちが逆境を乗り越え、成功への道を歩んできたのです。
億り人のイメージと現実
億り人の実際のプロフィール
億り人について想像すると、多くの人々が高級な車に乗り、高級ブランドの洋服を身にまとい、高層マンションに住むイメージを持つかもしれません。
しかし、実際にはどのような人々が億り人となっているのでしょうか?
意外にも、億り人の多くはサラリーマン出身者や一般的な生活を送る人々なのです。
これは細かいデータがなくて恐縮なのですが、筆者の周りの億り人はコツコツと長年倹約生活を続け、運用してきた人が退職間近で1億円を達成するなどがいます。
海外駐在も長く、普通のサラリーマンより所得は高いですが、所得が高いサラリーマンとは浪費家が多いものです。
その周りの誘惑にも負けず、質素な生活を続けられた人が億り人となっています。
また、仮想通貨などで一発当てた人も、サラリーマンでたまたま当たったという人もいるでしょう。
筆者の知り合いベースですが、社会人1年目で、仮想通貨のリップルを超安値でかなり購入し、気づけば2億円になっていたそうです。
投資のつもりではなく、リップルが好きで買っていたとのことで、人生はわからないものですよね。
少し脱線するのですが、筆者の肌感では、個人事業主などで年収2000-3000万円程度の人達が最もお金遣いが荒いように感じます。
年収が5000万円を超えてくると、どういうわけか堅実になります。
一生5000万円を稼げるわけではないので、できるだけ倹約し、運用に回しリスクヘッジを始めているものと思います。
毎年1億円くらい稼いでしまう経営者に関しては「億り人」という括りには入らないでしょう。
大体があっという間に超富裕層(資産5億円以上)に到達してしまっています。
生活水準と裕福さの関係
一度富を手に入れた億り人たちは、生活水準をどのように変えているのでしょうか?
高級な生活をしているのか、それとも普通のサラリーマンと同じような生活を送っているのか、その真実に迫ります。
また、生活水準と裕福さの関係についても考察します。裕福な生活を続けることが成功の鍵なのか、それとも何か別の要因があるのか、ご紹介します。
高級な生活
一部の億り人は、富を蓄えた後も高級な生活を続けることを選びます。これには高級住宅、高級車、贅沢な旅行、高級ブランド品の購入などが含まれます。彼らは贅沢な経験と高級品を楽しむことで、裕福さをアピールし続けます。
控えめな生活
一方で、他の億り人は富を手に入れた後も、あえて控えめな生活を選ぶことがあります。これは、彼らが資産を守り、将来の投資に回すことを重視する場合があります。
控えめな生活を選ぶことで、資産の増加を促進し、将来の経済的な安定を確保しようとする考え方です。
裕福さと生活水準の関係
裕福さと生活水準の関係は複雑で、単純に高い生活水準が裕福さを示すわけではありません。
高級な生活をしているようで家計は火の車というのはよくあることです。見栄とは怖いですよね。虚栄心を越えなければ億万長者への道は開かれません。
一般的に、裕福さは以下の要因に影響されます。
- 資産の増加:資産家へ成長する億り人たちは資産を効果的に運用し、増加させることができる能力を持っています。その結果、彼らの資産は時間とともに成長し、裕福さを維持または向上させることがあります。
- リスク管理:資産家へ成長する多くの億り人は優れた投資家であり、リスク管理のスキルに長けています。彼らは資産を多様化し、市場の変動に対応する能力を持っています。
- 事業の成功:資産家へ成長する億り人の多くは事業家でもあり、成功したビジネスを運営しています。事業の成功は彼らの資産を大きく構築する要因の一つです。
- ライフスタイルの選択:生活水準の選択によって、一部の億り人は資産を守り、増やすことができます。贅沢な生活を選ばないことで、資産を再投資する余裕が生まれることがあります。
特に最後の生活水準の選択は肝になる気がします。1億円稼いでも、所得で出せば5000万円しか手元に残らず、1ヶ月に300万円使っていては資産はそこまで増えず、そこで投資や事業などの失敗が重なるとあっという間に転落です。
投資や事業にリスクはつきもので、良い時も悪い時もあるもので、その悪い時に備えて、生活水準を抑えられる人は、資産家へ成長する可能性が高いものと思われます。
上記の中で3つくらいは該当しないと、やはり一発屋の億り人で終わる可能性が高いです。正真正銘のマグレというやつですね。
億り人が破綻する末路
仮想通貨投資のリスクと税金
一時的に莫大な利益を得ることができるとされる仮想通貨投資。しかし、その裏には潜むリスクと税金の問題が待ち受けています。
2017年の仮想通貨バブルで多くの億り人が登場しましたが、一部では翌年に大損し、その際に税金支払いに窮するケースも見受けられました。
例えば、高騰した仮想通貨を再び投資し、利益を確定しないまま次の相場の崩壊に見舞われると、税金支払いに差し支える可能性があるのです。
雑所得にかかる税率は以下で、例えば2023年に1億円(利益確定分)稼いでも5000万円ほどが徴収されます。
そして、2024年に再投資して、相場の大暴落で1億円を半分溶かして仕舞えばどうなるでしょおうか?
仮想通貨相場は変動が激しく50%以上のロスを出すことも少なくなく、その場合は前年度の確定利益の税金を支払うことはできなくなりす。
このような場合は悲惨です。FXなどと同様免責不許可事由で破産も出来ず、一生をかけて税金を払う羽目になるのです。
払えなかったのかどうかはわかりませんが、実際に税金を支払わず、懲役1年の判決も下されています。
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の取引で得た約2億円の利益を過少申告して起訴された石川県の会社役員に金沢地方裁判所は30日、有罪の判決を言い渡したことがわかった。懲役1年、執行猶予3年、そして1,800万円の罰金が判決として下された。
判決を受けたのは石川県小松市の会社役員の男性(56)。暴騰相場だった2017年から2018年にかけて行なったビットコイン取引で約2億円(1億9000万円相当)の利益を得ながら、税金申告では「利益120万」と虚偽の内容を申告していたという。
その後、金沢国税局は2020年3月、7,400万円相当の利益を脱税(過少申告)する所得税法違反の疑いで被告人を告発。仮想通貨関連での脱税事件としては初めての判例になっていた。
21年3月9日に行われた初公判では被告側は起訴内容を認めており、脱税直後に修正申告を行なったことから情状酌量を求めている。検察側は懲役1年と2,200万円を求めていた経緯がある。
金沢地裁の大村裁判官は、「莫大な利益を得ながら、納税義務を誠実に果たそうとする姿勢に欠ける」と指摘しつつ、修正申告を行なった際に「過少申告加算税」を納付した点を考慮して、懲役1年、執行猶予3年、及び1,800万円の罰金を言い渡した。
生活水準の急激な上昇と破綻
一度成功を収めた億り人たちの中には、生活水準を急激に上昇させるケースもあります。
高級住宅や高級車、高級ブランド品に囲まれた生活は魅力的に思えますが、これが続くことは容易ではありません。
なぜなら、生活水準の急上昇は資産の急減につながることがあるからです。
収入が減少すれば、高額な生活費を賄うことが難しくなり、破綻の危機に瀕することも考えられます。
とはいえ、人は人に尊敬されたいし褒められたいしモテたいものです。なかなか自分の衝動をコントロールするのは難しいですよね。
ただ、コントロールが難しいということは、まだそれだけの大金を扱えるほどのキャパシティを備えていないということでしょう。
資産が溶けてしまって当たり前と捉え、全部使い切った後に人生再スタートすれば良いのではないでしょうか。
次回は、大金も扱えるキャパを備えているはずです。そんなもんですよね、人生なんて。
億り人から超富裕層への道とは?
資産運用の重要性
億り人になることは素晴らしい成就ですが、それを維持し、超富裕層へと道を切り拓くためには資産運用が不可欠です。
億り人で中途半端な成金で終わるのか、資産家になるのかでは人生の満足度が違います。
完全に自己満の世界ですが、ここまできたら真の資産家を目指すべきでしょう。人生さらに切り開けるはずです。
資産家への道は、資産運用によってお金を寝かせず、成長させることが可能です。
ただし、やり方を間違えると一気に資産が増えたように、一気に資産が溶けることもあります。
資産運用における合理的なアプローチ
資産運用において、合理的なアプローチが成功への鍵となります。感情に左右されずに、戦略的な選択をすることが重要です。
短い期間でハイリターンを目指しては、たちまち大損を引き起こしてしまいます。
かのウォーレンバフェットも、「普通の人はなるべく早くリッチになりたいと思う。ゆっくりリッチになりたいと思う奴は1人もいない。」という名言を残していますね。
→ バークシャー・ハサウェイ:ウォーレン・バフェットの賢者の石
せっかく億り人までたどり着いたのですから、「ゲット・リッチ、ステイ・リッチ(豊かになり、その後も長期間豊かであり続ける)」を目指すべきでしょう。
次項で具体的な運用先を明示します。
富裕層の資産運用戦略
インデックス投資、ヘッジファンド投資が億り人の投資先としては真っ先に考えられる運用先でしょう。
インデックス投資
インデックス投資のメリットですが、これは分散投資、低コスト、時間とスキルの節約などがあります。
デメリットとしては平均的なリターンであり、また希望に沿った運用にならないなどがあります。
筆者としては個別株投資よりはリターンも時間的節約としても無難な選択と言えます。
ただ、インデックスファンドの弱点は今後もS&P500が上昇し続けるということのみに賭ける勝負であるということです。
「米国がダメになるなら、全部ダメになるようなもんだからある意味リスクもないよ」という言葉をインデックス投資家から聞いて、「なんて無責任なのだろう」と筆者はため息でした。
インデックスファンドは確かに右肩上がりで上昇してきましたが、今後は米国ではなくインドなどが右肩上がりを続ける市場になるのかもしれないし、大暴落した後に回復する保証もありません。
また、回復するにもどれくらい時間がかかるかもわからないのです。1
0年以上低迷することもありますので、その間に資産が回復しないかもしれないという不安と毎日過ごさなければなりません。
それに耐えられる覚悟はあるのかどうかも確認する必要があります。
実際に1980年台から40年も緩和してきたので、株式市場は上昇してきました。
一転して、現在は引き締めとなっており、これが続けば過去のような上昇が本当に起こるのかはわからないのです。
インターネットによるテクノロジーブームで上昇し続けてきた過去がありますが、GAFAMの成長率を見ればわかると思いますが、インフレ率以下の成長率です。
つまり、過度にインデックスファンドに期待するのはやめるべきであるという話です。
以下の記事群にさらに詳しくインデックスファンドの脆弱性について述べているので、参考にしてみてください。
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ヘッジファンドという選択肢
ヘッジファンドは富裕層にとって非常に有益な資産運用先です。億り人だからこそ、最低出資額の高いヘッジファンドへの投資が選択肢になり得るのです。
ヘッジファンドとは相場が下落局面であってもリターンを積極的に目指す「絶対収益型」ファンドです。
ヘッジファンド運用のその安定感は世界中の巨大機関投資家、富裕層に好まれ、日本はそうでもありませんが欧米では王道中の王道投資として認識されています。
何よりもそのボラティリティの少なさこそが、運任せのインデックスファンドとは一線を画しています。
日本にもヘッジファンドは複数あり、それぞれスタイルが異なります。
筆者は堅実な運用先を選んでいますが、詳しくは以下の記事を参考にしてください。ヘッジファンド選びでは失敗したくないものです。
結論
億り人として「本当の」成功(資産をキープしさらに増やす)をするには、賢明な投資、計画的な資産運用、そしてリスク管理が不可欠です。
持続可能な富を築くためには、長期的な視野を持つことが不可欠です。
億り人から超富裕層への道は、短期的な成功だけではなく、長期的な資産運用に基づいています。
資産を成長させ、保護するために、冷静な判断と戦略的なアプローチが必要です。リスクを最小限に抑えながら、資産を多様化し、安定性を確保することが、成功の秘訣なのです。