本当の意味でバリュー株投資を実践する投資信託は存在しない?バリュー株投資を謳う投信がおすすめできない理由をわかりやすく解説する。

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本当の意味でバリュー株投資を実践する投資信託は存在しない?バリュー株投資を謳う投信がおすすめできない理由をわかりやすく解説する。

2022年4月25日

バリュー株投資はグロース株投資と並んで双璧となっています。

グロース株(成長株)投資とバリュー株(割安株)投資とは?両者の違いをわかりやすく解説!

 

ただ、一言でバリュー株といっても様々な手法があります。

低PBRや低PERのような指標をベースとした手法もあれば、先日筆者が取り上げたベンジャミングレアム流の本格的なバリュー株投資も存在しています。

最近ネット証券で投資信託に目を通していたのですが、日本でベンジャミン・グレアム(ウォーレンバフェットの師匠)が実践していたような投資信託は存在しないことに気づきました。

彼の手法はバランスシートを詳細に解析して圧倒的に割安な銘柄に投資し長期的に収益を得るという、もっとも優れた投資手法です。

 

今回は本物のバリュー株投資についての軽い説明と日本のバリュー株投資信託の現状について解説した後に、

なぜ “本物のバリュー株投資を実践する投資信託” が存在しないのかを解説していきます。最後に、日本で真のバリュー株投資を行うファンドについて紹介していきたいと思います。

 

関連記事>>> 日本中の投資信託を分析

 

本物のバリュー(割安)株投資とは?

まずはベンジャミン・グレアムのバリュー株投資を軽く振り返っていきたいと思います。

先程から頻発しているベンジャミン・グレアムとは、あのウォーレン・バフェットの師です。

彼の名著「賢明なる投資家」は投資家を志すものであれば必読の書となっています。

 

 

彼は将来の利益を予想することは難しいと考えます。将来の利益を評価して投資を行うと失敗する可能性が高いとしています。

そのため、今現在の企業の財務諸表を参考にして不当に過小評価されている銘柄を発掘して投資するバリュー株投資の有効性を提唱しました。

彼の手法を少し改良した現在の本格的なバリュー株投資は以下のようなバランスシートの企業に投資するという手法です。

本格的なバリュー株投資の条件

 

 

つまり企業が保有している現金・受取手形・売掛金・有価証券等の現金または換金性が高い資産から全ての借入金等の負債を支払った後に残る保守的純資産だけで株式価値である時価総額を上回るという銘柄に投資する手法です。

簡単に言うと、「実は現金や土地等をたくさん持っている優良企業なのに、何かしらの要因でイメージが悪く株価がなぜか低い、そんな銘柄を買う!」という投資法なのです。

詳しくは以下でお伝えしています。

→ ベンジャミン・グレアムの投資対象『ネットネット株』を分かり易く解説

 

日本の投資信託のバリュー株銘柄の現状

それでは次に、日本の投資信託の現状はどうなっているかを見ていきたいと思います。

ネット証券で取引できるバリュー株投資信託とは?

代表的なネット証券である楽天証券の投信スーパーサーチ機能を活用してみてみましょう。

 

日本の人気バリュー株投信10選

 

何故かバリュー株で検索しているにも関わらず、成長株しか出てきませんね。一応この下の検索も行いましたが、同じような結果でした。

※成長株(グロース):上で説明したバリュー株とは違い、成長性の高そうな株式のこと。一方で、値下がりのリスクも高い。

つまり、ネット証券には、バリュー投資を行っている投資信託は存在しないということです。

 

 

野村日本割安低位株オープン

次に、直接Googleで「バリュー株 投資信託」と打ち込み検索すると、以下のような投資信託の名前が出てきました。

 

・野村日本割安低位株オープン
・DIAM割安日本株ファンド
・日本割安株オープン
・割安株ジャパンオープン

 

全て中身を見てみると、ほぼ同じ投資手法だったので、一番最初の野村日本割安低位株オープンを例にみてみましょう。

理論としては日本はPBRとPERが低いので、低PER・低PBR銘柄に投資していきますという投資信託です。

実際に経産省の資料によると、PBRは欧米に比べて低い水準となっています。

 

日米欧のPBRの推移

 

ただ、低PBR・PER低位株投資はこの10年はグロース株が優位な市場であったことから、TOPIXと殆ど同じ成績になってきています。

 

割安低位株とTOPIXの比較

 

然し、ただ単なる低PBR・PER投資には以下のような欠点があります。

単なる低PBR・PER投資には以下のような欠点

 

つまりリーマンショックや東日本大震災のような、市場全体が大幅な暴落をする時にも一緒に大幅に暴落してしまうのです。

 

特に低PERで投資をしていると、大恐慌時は利益が大きく凹み時にはマイナスになってしまいます。

今時点で低PERでも恐慌時には高PERとなってしまうわけです。

これでは、ベンジャミングレアムが実践していたような真のバリュー投資とは到底言えません。

 

 

何故日本に真のバリュー株投資信託が存在しないのか

上で見てきたように、日本で本物のバリュー株投資を行っているような投資信託は存在しません。

これはベンジャミン・グレアムが提唱したような条件を満たすような銘柄が、東証二部や地方証券取引所といった時価総額の小さい企業にしか存在しないことが要因であると考えられます。

経済規模が日本の3倍の米国の上場企業数は5000あまりなのに対して、日本の上場企業数は3500社もあります。

日本の上場企業数

 

 

非常に多くの企業が上場しているので小さな銘柄に対しては証券会社のアナリストの目が行き届かないのです。

投資信託として資金を集めると、聞いたこともないような銘柄に投資しているだけで非難を浴びそうですし、そもそも資金規模が大きいので流動性が高い大型銘柄への投資に限定されてしまうわけです。

実際、先ほどの野村日本割安低位株オープンの投資銘柄は以下のような大企業群となっています。

野村日本割安低位株オープンの構成上位銘柄

 

 

そもそも東証一部のような銘柄でグレアムが提唱したような条件を満たしていたら、株主から確りと投資をして利益を上げよと野次が飛んできそうですね。

真のバリュー株銘柄は創業一家や地方の日本人が株を保有しているので、そのような非難の対象にはならないわけです。

今まで本当に発見した試しがありませんので、実際に真のバリュー株投資を行っている投資信託が御座いましたら、管理人までお問い合わせください。検証致します。

 

 

真のバリュー株投資を実践する手法

このような投資信託がない以上、自分で発掘するということが考えられるのですが、

自分の聞いたことのないような企業の財務諸表を分析するのは非常に骨がいりますし、なかなかこのような銘柄は存在しません。

以前分析した丸八ホールディングスは条件を満たしているのですが、条件を満たしていたとしても欠点があるのです。

 

それはベンジャミン・グレアム自体も言及していることなのですが、下落する可能性は低い反面、このような銘柄は注目度が低いのでなかなかきっかけがないと上昇しないんですね。

 

その為、グレアムは自分でファンドを立ち上げ資産を集めて大きく株を買い、経営陣に株式価値を上昇させる自社株買いや増配を提言して能動的に株価を引き上げていったのです。

つまり真のバリュー株投資は個人で行うのは抑々手間がかかるし、見つけたとしても株価がなかなか上がらない為に、ある程度資金を集めたファンドという形で行う方が効率が良いというわけです。

でも、投資信託はないんだよね?ということなのですが、投資信託は存在しなくても真のバリュー株投資を実践しているヘッジファンドなら存在しています。

 

ヘッジファンドとあって預け入れにハードルはありますが、優れた運用手法により資産を増やしたいという方は検討してみても良いのではないでしょうか。

本格的なバリュー株投資を実践しているヘッジファンドについては以下ランキングの中でも紹介していますので参考にしていただければと思います。

最後に:資産を飛躍的に増やす方法は明確に決まっている

積み重ねる運用

 

 

資産を大きく増やすにはどうすれば良いのでしょうか?

上場小型ベンチャー株に力一杯、資金を投入。一か八か、株価の急騰を願ったり、信用取引でレバレッジを思いっきりかけてみるのも良さそうです。仮想通貨の草コインも人生一発逆転があるかもしれません。

断言します。上記のような思考の方は一生資産が増えません。

そもそも一発の取引で大儲けを狙えるというのは、同じく容易に資金を溶かす可能性も高いということです。そんなものは投資とは言えません。投機と考えても質が低いです。もう少し丁寧に資産の扱い(延いては人生)を考えてみましょう。思考をガラリと変えてみましょう。

 

大事なのは「リターンが小さくても確実にプラスを、時間をかけて積み重ねていく(複利を生かす)」ことです。世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏も投資で最も大切なのは以下の2つのルールとしています。

 

  1. 絶対にお金を損しないこと。
  2. 絶対にルール1を忘れないこと。

 

 

この「損をしない」「プラスリターンを確実に積み重ねていく(複利を生かす)」という重要性を理解したところで資産運用は始まります。好きな企業の株、高配当・優待目当てなど、あなたの資産を減らしてしまう運用はやめましょう。「Classic」且つ「質実剛健」な資産運用を行なっていくべきです。

 

私も資産運用歴は既にかなり長いです。そしてこの思考に辿り着き、プラスリターン×複利運用を実施してからの資産増加スピードは圧巻でした。この哲学を実践している、私のポートフォリオに入っているファンドも今回まとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。

 

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