三井住友DSアセットマネジメントが運用するテトラ・ネクストの実態を見ていきたいと思います。
投資信託には日本株、世界株式、米国株、テクノロジーや5Gなど特化テーマ型など色々とありますが、今回は米国の指数でトレードをするテクニカルなファンドです。
指数でどんな局面でもリターンを出すというファンドなのでヘッジファンドに近い理念を持っていますね。
つまり、下落局面でもリターンを出していくということで今年に関しては米国株が大きく下落し、テトラネクストの価値が発揮される局面ということです。
それでは具体的に見ていきましょう。
テトラ・ネクストの特徴?
まずは、テトラ・ネクストの特徴についてみていきたいと思います。
設定・運用を行なっている三井住友DSアセットマネジメントとは?
株主構成を見るとわかるんですが、SMBC、大和証券、三井住友海上火災保険、住友生命保健、三井住友信託銀行の連合軍です。かなり大きなアセットマネジメント会社ですね。
社名 | 三井住友DSアセットマネジメント株式会社 | |
英文社名 | Sumitomo Mitsui DS Asset Management Company, Limited | |
所在地 | 〒105-6426 | |
東京都港区虎ノ門一丁目17番1号 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー26階 | ||
Tel. 03-6205-0200(代表) | ||
資本金 | 20億円 | |
事業内容 | (1)投資運用業に係る業務 | |
(2)投資助言・代理業に係る業務 | ||
(3)第二種金融商品取引業に係る業務 | ||
役員 | 代表取締役社長 兼 CEO | 猿田 隆 |
代表取締役 兼 副社長執行役員 | 澤野 隆之 | |
取締役 兼 専務執行役員 | 今井 真吾 | |
取締役 兼 専務執行役員 | 新保 一久 | |
取締役(社外) | 程 近智 | |
取締役(社外) | 柳川 範之 | |
取締役(社外) | 新井 純 | |
取締役(社外) | 佐々木 裕子 | |
監査役 | 河原崎 充也 | |
監査役(社外) | 白井 敏克 | |
監査役(社外) | 田川 利一 | |
監査役(社外) | 廣本 文晴 | |
監査役 | 村中 貴一 | |
役職員数 | 1,009名 | |
(2022年4月1日時点) | ||
株主構成 | 三井住友フィナンシャルグループ50.1% | |
大和証券グループ本社23.5% | ||
三井住友海上火災保険15.0% | ||
住友生命保険10.4% | ||
三井住友信託銀行1.0% |
運用残高が10兆円は凄まじいですね。メガファンドですね。たくさんファンドを設定してどれか当たればいいという運営ができる規模です。テトラネクストが当たらなくても他ファンドが当たれば十分に利益を出せる運営でしょう。
代表的な設定ファンド(販売中)は以下のようにリートから日本インデックスのTOPIX、外国株式、米国株式など全世界へ投資する投資信託を有しています。
- SMDAM 東証REIT指数上場投信
- SMDAM トピックス上場投信
- 大和住銀DC外国株式ファンド
- 外国株式指数ファンド
- 米国小型ハイクオリティファンド(資産成長型)
テトラ・ネクストの投資戦略
戦略としては米国の株価指数でスワップ取引を行います。ロング(買い)とショート(売り)を併せてリターンを出していくことになります。レバレッジは200%まで行うとのことで、先物トレーダー、ということですね。
実質的な運用にあたっては、米国株式市場におけるトレンドを捉えることを目的とする参照 指数のリターン(損益)*を享受する担保付スワップ取引を行います。
当該株価指数先物の実質的な買建総額または売建総額が、最大で信託財産の純資産総額の 200%程度となる場合があります。
以下4つの戦略を組み合わせています。トレンド追随型ですね。
- 日中トレンド戦略(買建て・売建て)
- 月初トレンド戦略(買建て)
- 月中トレンド戦略(買建て・売建て)
- 月末トレンド戦略(買建て・売建て)
詳細は以下ですが、この戦略を淡々とやっていくという感じでかなり機械的ですね。個人トレーダーでしたら自分を律してこのルールだけやるのは難しいのかもしれません。
投資信託のアセマネ部門であれば上司に怯えているファンドマネジャーであれば規律を守って運用できそうです。
ファンドの手数料(買付手数料と信託報酬)
購入時手数料は2.2%(税抜き2.0%)です。
信託報酬は年0.759%(税抜き0.69%)です。売る際(信託財産留保額)の手数料はかかりません。
テトラネクストの運用実績とは?
では肝心の運用実績についてみていきましょう。
上記は2023年3月末時点の基準価額ですが、ボラティリティが非常に高いですね。
為替が20%円安に進んだにも関わらず運用開始以降10%下落しているということは単純にマイナスリターンということになります。
基準価額は約9000円となっています。設定は2021年2月となっており、約2年の運用で資産が10%減っているということになります。
以下はテトラネクストの2023年3月末のレポートコメントです。
<株式市場動向>
⽉初に公表された経済指標の上振れから景気の底堅さが確認される⼀⽅、⾦融引き締めが継続するとの観測が重 ⽯になる中、⽶国株式市場は⽅向感なく始まりました。その後、3⽉の利上げ観測が後退したことや欧州PPI(⽣ 産者物価指数)の下振れを受けて、グロース株(成⻑株)中⼼に株式市場は堅調に推移しました。しかし、シリ コンバレー銀⾏が8⽇引け後に増資及び保有有価証券の損失を公表すると、⾦融システム危機懸念から銀⾏セク ターを筆頭に急速に市場は下落しました。⽉半ばを通じては、⼀部の⽶地銀や欧州⾦融機関への波及、各国政府 や中央銀⾏による対応を⾒極める中で前⽉末⽐マイナス圏で⼀進⼀退の展開となりました。その後、FRB(⽶連 邦準備制度理事会)は0.25%の利上げを⾏いましたが、シリコンバレー銀⾏の買収、企業好決算、PCEコアデフ レーターの下振れ等を材料に、グロース株を牽引役として市場は⽉末にかけて⼒強く上昇しました。
<戦略指数の動き> ⽉初戦略はプラス寄与、⽇中戦略、⽉中戦略、⽉末戦略がマイナス寄与でした。⽉中戦略、⽉末戦略はショート ポジションを構築し、株式市場の上昇トレンドを受けて⼤きくマイナス寄与しました。⽇中戦略についても、⽇ 中の株価トレンド反転が散⾒されたため、マイナス寄与しました。
⽉末戦略の⼩幅プラス寄与以外は不調のようですね。⽉中戦略派ショートを仕掛けてのマイナスです。
トータルリターンは以下の通りです。円安がなかった場合はさらにマイナス幅は大きくなっていたと思います。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | |
---|---|---|---|---|
2023年 | 0.87% | -- | -- | -- |
2022年 | -2.91% | -0.13% | 14.91% | -8.21% |
2021年 | -- | 0.94% | -5.50% | -2.94% |
テトラネクストファンドがトレードしている指数「ナスダック100」との比較
実際に指数をガチャガチャといじってリターンを目指すのがテトラネクストなわけです。
しかし、指数を握っているだけの場合と比較してどのようなパフォーマンスとなっているのでしょうか?
eMAXIS NASDAQ100インデックスとの比較を見てみたいと思います。
- eMAXIS NASDAQ100インデックス(円建て)
- テトラ・ネクスト
大きくアンダーパフォームしてしまっています。ナスダック100を握っていたら、指数自体はマイナスですがリターンは15%出ているのですね。
そしてテトラネクストに投資するとホールドしていれば利益が出るのに、わざわざトレードしてマイナスリターンとなっています。

https://finance.yahoo.co.jp/quote/79312212/chart?compare=0331A211&trm=3y&styl=lne&frm=w&scl=stndrd&evnts=ntAsstBlnc,rinvstmntPrc&addIndctr=&ovrIndctr=
かなり辛い現実ですが、それだけ指数のトレードとは簡単そうに見えて難易度が高いということです。
筆者もトライしたことがあるのでよくわかります。生半可な実力のファンドマネジャーではリターンは出ないと思います。
テトラネクストの掲示板での口コミ評判
かなり口コミは厳しいものが多いです。リターンを出さないと、ファンドは批判が集まるのも当然ですね。
掲示板の口コミ
このファンドを解約してだいぶ経つけど、先日、
平然と「担当者が変わった。いまはキャンペーン中である。」
などと新しい投信の売り付け勧誘と思われる電話があった。
これだけ損をさせておいて、なめているのか。
掲示板の口コミ
なんでこんなファンドを買ってしまったのか…
後悔してます。
掲示板の口コミ
投資は自己責任と言うが、このファンドを勧めた銀行担当者つまりプロに責任はないのか?と不思議に思う。
どんなに下がっても、顧客に対して何のフォローも情報共有もないところをみると、プロに責任はないということか。
三井住友銀行とはもう付き合わないことにした。
掲示板の口コミ
銀行から御守りファンドとして設定時に購入して、一度も購入価格を上回ることなく、先週捨てました。10%の損失、数十万が消えました。
これでアホみたいに下がることに一喜一憂しなくて済むのが救い。とんだ御守りでした。
掲示板の口コミ
今が捨て時と先週金曜日売った。解約日から2営業日後の価格で契約解除となり、今日300円も下げよってまた数十万消えた。ゴミグズファンド!
掲示板の口コミ
月初、月中、月末戦略がことごとくハズれています。設定来基準価格を越えたことがなく、姉妹品のテトラエクイティもコロナショックの時に売りで儲けただけで後はじり貧で、全ての儲けを吐き出しています。ファンドマネージャー、チームがどうしよいもない集団であると同時に、運用ルールが今の米国機関投資家戦略に合ってないのでは? 先物を宛にしてもことごとく外れてますよ。VICS指数が高くても全く益を稼げないんだから本来のコンセプトとは
全然異なっています。ある程度回復したら即Exitします
掲示板の口コミ
どこまでも意味不明な投信。
こんなものを売りつける銀行の見識を疑う。
テトラネクスト: テトラエクイティが売れたことで作られた後発商品。同じくJPMが提供。ナスダック100を投資対象にしている。テック株投信が売れまくっていることで併せ持ちのニーズは強いと思われる。ただしhttps://t.co/9R7HotiqNe
— マルチアセットストラクチャらー (@financialll) June 1, 2021
先日テトラネクストというNASDAQで同じ形の投信を届出されていますが、仰る通りその他の流動性のある資産であれば原理上成り立つトレード戦略です。ただ日経は日銀の買い入れがある影響なのか、あまりうまく戦略がフィットしないですね、それだけ市場を歪めてしまっているというべきか…
— PRDC @別所 (@PRDC231) January 15, 2021
今後の見通しとまとめ
正直、米国株が好調でも不調でもリターンを狙っていくというファンドですので、好調な時はどんなファンドでも利益が出ます。
テトラネクストの場合は市場が不調の時に実力を発揮してほしいのですが、指数をそのまま持っていればプラスのところを、テトラネクストに任せた結果マイナスになるという辛い現実がそこにはあります。
このようなどんな局面でも利益が出せるというファンドに関しては1年目からきつめに評価していくべきであり、実際に2年ほど経ってまだ結果が出ていません。できるだけ近づかない方が良いでしょう。