新興国株式

評判の良い「野村インド株投資」は印度投資信託の中でもパフォーマンスが優秀?網羅的に解析し評価。新生・UTIインドファンド/ムンバイSENSEX30/高成長インド・中型株式ファンド/MSCIインド・インデックスと比較

2022年6月27日

インドの株式市場が世界中から注目を集めていることは、投資家であれば誰しもが知るところでしょう。

経済成長率も高く、人口爆発の大国に期待を持たない人はいません。

しかし、2020年に突如訪れたCovid-19パンデミックにより、先進国、新興国問わず世界中の国が経済打撃を被りました。

 

たまらず世界銀行もインドの成長率見通しを引き下げましたが、それでも長期目線では上ではないかと筆者は思っています。

[ニューデリー ロイター] - 世界銀行は13日、インドと南アジア地域の成長率予想を引き下げた。ウクライナ危機によるサプライチェーン(供給網)のボトルネック悪化やインフレ高進を理由に挙げた。

世銀、インドと南アジアの成長率予想引き下げ ウクライナ危機で

 

さて、今回はインドの経済成長を自分のポートフォリオリターンに取り込むべく、インドの投資信託を見ていきたいと思います。

今回取り上げるのは、野村インド株投資です。

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野村インド株投資の特徴

まずはファンドの特徴を見ていきましょう。

目論見書はこちらです。

 

ファンダメンタルを重視したアクティブ運⽤を⾏なう

野村インド株投資が選定する投資対象は収益性、成長性、安定性、及びバリュエーション等を総合的に勘案とのことです。

つまりは、マーケットの動向にはあまり調査に時間を掛けず、とにかく企業の魅力を深掘りしていく投資スタイルということですね。

 

ベンチマークはMSCIインド・インデックス(税引き後配当込み、円換算ベース)となっています。

ポートフォリオ構築プロセス

 

 

 

銀行・金融サービス、情報技術サービスに重きを置いたPF

ポートフォリオは銀行・金融サービス、情報技術サービスに比重を置いています。

成長国であり、重厚長大セクターが基本的には株価上昇を見込めるのがかつては通説でした。

しかし、時代は変わり収益効率の良い金融、情報技術サービスが国の成長を牽引するようになった表れとも言えるでしょう。

 

ちなみにポートフォリオの業種比重は以前に分析した新生UTIインドファンドと同様です。

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以下は野村インド株投資ファンドの組入業種比率(2022年5月末時点)です。

 

業種 純資産比
銀行 25.9%
情報技術サービス 20.0%
石油・ガス・消耗燃料 10.9%
貯蓄・抵当・不動産金融 6.8%
不動産管理・開発 6.6%
その他の業種 25.0%
その他の資産 4.9%
合計 100%

 

以下が具体的なポートフォリオです。

 

組入上位10銘柄
銘柄 業種 純資産比
RELIANCE INDUSTRIES LIMITED 石油・ガス・消耗燃料 10.9%
ICICI BANK LTD 銀行 9.2%
INFOSYS LTD 情報技術サービス 8.1%
HDFC BANK LIMITED 銀行 6.6%
AU SMALL FINANCE BANK LTD 銀行 6.4%
MARUTI SUZUKI INDIA LTD 自動車 4.3%
AXIS BANK LIMITED 銀行 3.7%
HOUSING DEVELOPMENT FINANCE 貯蓄・抵当・不動産金融 3.6%
MACROTECH DEVELOPERS LTD 不動産管理・開発 3.4%
ULTRATECH CEMENT LTD 建設資材 3.3%
合計 59.5%

 

ポートフォリオ1位のリライアンス・インダストリーズは業種上位の銀行や情報技術セクターではなく、石油・ガス・消耗燃料セクターからですね。この銘柄が石油・ガス・消耗燃料セクターの業種比率を引き上げています。

 

リライアンス・インダストリーズは石油化学品および繊維メーカーです。なんとなく日本では旭化成が同業種に当たるかなという感じです(違ったらすいません)。

同社の繊維部門では、合成繊維、テキスタイル、混紡糸、ポリエステル・ステープルファイバーを製造、販売。石油化学部門では、ジャムナガルに石油精製工場を所有し、ガソリン、灯油、液化石油ガス (LPG) などの幅広い製品を製造しています。

 

直近の株価を見ると、金融緩和とインドの経済成長も手伝い、株価が大幅に上昇しています。2022年に入っても、同社はコモディティ業種でもあり、株価は引き続き続伸です。しかし、今後はどうなるのでしょうか?

 

リライアンス・インダストリーズの株価推移

 

リライアンス・インダストリーズはかなりインフレの影響を受けているように見受けられますが、今後は株式市場が低迷すれば、強く上昇した分、下落も激しいものとなるので注意です。

株式市場の見通しについては、新生UTIインドファンドの記事の「インド株式市場の見通し」を確認してください。簡単に言えば、すでに高インフレなので今後は中央銀行の引き締めが始まり、株式市場はしばらく軟調になるという内容となっています。

 

新興国投信ならではの高い手数料水準

野村インド株投資の手数料は以下となっています。

 

購入手数料:3.30% (税込)
信託手数料:2.2% (税込)

 

国内の投資信託よりは高水準ですが、新興国の株にアクセスするのはコストもかかるので致し方ない側面もあります。

 

野村インド株投資の基準価額の推移(ベンチマークのMSCIインド・インデックスに敗北)

野村インド株投資の基準価額の推移を見ていきましょう。

運用実績の推移

 

 

リーマンショック以降低迷していた運用実績も、2014年から復活し、2020年の金融緩和により飛翔しています。ベンチマークには負けていますね。ベンチマークはMSCIインド・インデックスです。

これでは手数料が限りなく低いインデックス投信で良かったじゃないかと考え込んでしまいそうです。

 

以下は他の投資信託との比較です。

黄色:野村 インド株投資
青色:新生・UTIインドファンド
赤色:ムンバイSENSEX30
緑色:高成長インド・中型株式ファンド

 

新生・UTIインドファンドと他ファンドとの比較

 

新生・UTIインドファンドムンバイSENSEX30に惨敗しています。高成長インド・中型株式ファンドよりはマシかな、という運用成績となっています。

 

ファンド名 野村 インド株投資 新生・UTIインドファンド 高成長インド・中型株式ファンド
トータルリターン1年 14.75% 7.68% 18.97%
トータルリターン3年(年率) 9.91% 16.64% 15.93%
トータルリターン5年(年率) 7.35% 13.22% 8.83%
トータルリターン10年(年率) 14.23% 19.35% 17.93%
シャープレシオ1年 1.05 0.46 1.34
シャープレシオ3年 0.4 0.62 0.55
シャープレシオ5年 0.33 0.56 0.35
シャープレシオ10年 0.64 0.85 0.74
標準偏差1年 14.07 16.7 14.16
標準偏差3年 24.61 26.81 29.04
標準偏差5年 22.14 23.72 25.12
標準偏差10年 22.24 22.85 24.26

 

10年平均リターンでも、野村インド株投資は最下位ですね。特にインド株に投資するファンドで野村インド株投資を検討する必要はないと思います。

 

まとめ

今回は野村インド株投資についてまとめました。

 

ポイント

  • ファンダメンタルを重視したアクティブ運⽤を⾏なう(ベンチマークはMSCIインド・インデックス)
  • 銀行・金融サービス、情報技術サービスに重きを置いたPF
  • インド投資信託の中でも劣等生
  • インドは高インフレの真っ最中、今後金融引き締めを考えると投資タイミングは今ではない

 

最後に:資産を飛躍的に増やす方法は明確に決まっている

積み重ねる運用

 

 

資産を大きく増やすにはどうすれば良いのでしょうか?

上場小型ベンチャー株に力一杯、資金を投入。一か八か、株価の急騰を願ったり、信用取引でレバレッジを思いっきりかけてみるのも良さそうです。仮想通貨の草コインも人生一発逆転があるかもしれません。

断言します。上記のような思考の方は一生資産が増えません。

そもそも一発の取引で大儲けを狙えるというのは、同じく容易に資金を溶かす可能性も高いということです。そんなものは投資とは言えません。投機と考えても質が低いです。もう少し丁寧に資産の扱い(延いては人生)を考えてみましょう。思考をガラリと変えてみましょう。

 

大事なのは「リターンが小さくても確実にプラスを、時間をかけて積み重ねていく(複利を生かす)」ことです。世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏も投資で最も大切なのは以下の2つのルールとしています。

 

  1. 絶対にお金を損しないこと。
  2. 絶対にルール1を忘れないこと。

 

 

この「損をしない」「プラスリターンを確実に積み重ねていく(複利を生かす)」という重要性を理解したところで資産運用は始まります。好きな企業の株、高配当・優待目当てなど、あなたの資産を減らしてしまう運用はやめましょう。「Classic」且つ「質実剛健」な資産運用を行なっていくべきです。

 

私も資産運用歴は既にかなり長いです。そしてこの思考に辿り着き、プラスリターン×複利運用を実施してからの資産増加スピードは圧巻でした。この哲学を実践している、私のポートフォリオに入っているファンドも今回まとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。

 

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