色々とヘッジファンド型含め、投資信託を見てきた中で、やはり見えてきたことがあります。
それはコンスタントに、損を出すことなく指数を超えるリターンを出してくれるファンドは稀であるということです。
今回も最近耳にした「マイウェイジャパン」について少し見ていきたいと思います。
マイウェイジャパンはマーケットニュートラル運用というヘッジファンド型の運用を行なっている珍しい投資信託です。
しかし、結論としてはリターンが物足りないファンドです。詳しくみていきたいと思います。
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マイ・ウェイ・ジャパンの特徴
「ファンダメンタル価値対比割安なバリュー銘柄」と「将来収益への成長期待が高いグロース銘柄」を中心に投資するファンドです。
絶対収益型ですので、ヘッジファンド型ですね。株式投資で勝負する類のものです。
運用元は三井住友DSアセットマネジメント株式会社となっています。
割安な成長株を見つけてリターンを出すということですね。
最初から少し疑問を感じています。バリュー銘柄は此度のコロナショック後、超割安状態になっていましたので、旅行業、ホテル業などの割安銘柄は転がっていました。
2021年初頭まで。そこで仕込めているのかどうかが一つの投資判断になるかもしれません。
グロース株とバリュー銘柄は少し意味合いが異なります。バリュー銘柄は大きなリターンが見込めるものではありません。
グロース株の選び方は人それぞれ違いますが、ファンダメンタルな要素と国債金利などマクロな知識が必要になってきます。
ファンドマネジャーの手腕が問われるところでしょう。
マーケットニュートラルで運用を実施
目論見書を一部抜粋します。
<商品分類>
- 単位型・追加型:追加型
- 投資対象地域:国内
- 投資対象資産(収益の源泉):株式
- 補足分類:特殊型(絶対収益追求型)
<属性区分>
- 投資対象資産:その他資産
- 決算頻度:年1回
- 投資対象地域:日本
- 投資形態:ファミリーファンド
- 特殊型:絶対収益追加型
ファンドの目的
当ファンドは、マザーファンドへの投資を通じて主としてわが国の株式に投資するとともに、わが国の株価指数先物取引の売建てを行うことにより、株式市場の変動リスクを低減し、信託財産の安定した成長を目指して運用を行います。
日本株でリターンを目指しつつ日経平均、TOPIXなど先物で同量のヘッジを行いつつリターンを目指していくという運用ですね。
つまり、株式市場全体の要因を排除して個別銘柄要因部分のみをとってリターンを狙っていくという投資手法です。
リターンに応じて、分配金も用意されています。
毎年3月17日(休業日の場合は翌営業日)の決算時に分配を目指しているようです。
収益を超えた支払いが行われる可能性があるとのことです。
これはREIT高配当配銘柄と同じようなリスクが顕在することもある点、投資家は認識しておかなければなりません。(配当を配りすぎて、リターン低下→元本の毀損)
分配金は、計算期間中に発生した収益(経費控除後の配当等収益および評価益を含む売買益)を 超えて支払われる場合があります。その場合、当期決算日の基準価額は前期決算日と比べて下落 することになります。また、分配金の水準は、必ずしも計算期間におけるファンドの収益率を示す ものではありません。
マイ・ウェイ・ジャパンのポートフォリオ
ポートフォリオを見ていきましょう。
どんな銘柄を選定しているのが、非常に興味があります。
銘柄の選び方は以下のようになっています。
●流動性基準・財務基準による絞り込み
●サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)について、社会的信用に関する行為等、重大な問題が生じた銘柄は除外
●「ファンダメンタル価値と対比して割安なバリュー銘柄」と「将来収益への成長期待が高いグロース銘柄」を中心に投資
●トップダウン・アプローチとアナリスト等によるボトムアップを融合することで業種別・規模別配分を決定
今流行りのESGも考慮し、トップダウンアプローチ、ファンドマネジャーの腕が本当に試される手法ですね。これといって大きな特徴は見られません。
業種別順位は情報通信、電気機器となっています。
<2022年6月末>
業種別上位 | 構成比率 |
電気機器 | 12.8% |
情報・通信 | 10.5% |
輸送用機器 | 6.5% |
機械 | 5.8% |
化学 | 4.4% |
次に実際のポートフォリオです。
銘柄 | 業種 | 比率 |
トヨタ自動車 | 輸送用機器 | 3.0% |
ソニーグループ | 電気機器 | 3.0% |
三菱UFJ | 銀行業 | 2.7% |
日本電信電話 | 情報・通信業 | 2.5% |
信越化学工業 | 化学 | 1.7% |
三菱重工業 | 機械 | 1.7% |
キーエンス | 電気機器 | 1.6% |
任天堂 | その他製品 | 1.6% |
東京海上ホールディングス | 保険業 | 1.5% |
ソフトバンクグループ | 情報・通信業 | 1.4% |
過去の上位銘柄は以下となります。構成銘柄は似ていますが、価格の上下によって変動しています。
<2022年2月末>
順位 | 銘柄 | 業種 | 組入比率 |
1位 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 銀行 | 3.70% |
2位 | トヨタ自動車 | 輸送用機器 | 3.50% |
3位 | ソニーグループ | 電気機器 | 2.20% |
4位 | ⽇本電信電話 | 情報・通信 | 1.80% |
5位 | 信越化学工業 | 化学 | 1.60% |
6位 | ⽇⽴製作所 | 電気機器 | 1.50% |
7位 | 東京海上ホールディングス | 保険業 | 1.40% |
8位 | 任天堂 | その他製品 | 1.30% |
9位 | 三菱商事 | 卸売業 | 1.20% |
10位 | キーエンス | 電気機器 | 1.20% |
<2021年6月末>
順位 | 銘柄 | コード | 業種 | 組入比率 |
1位 | 日本電信電話 | 9432 | 情報・通信 | 3.08% |
2位 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 8306 | 銀行 | 2.79% |
3位 | トヨタ自動車 | 7203 | 輸送用機器 | 2.15% |
4位 | 三菱商事 | 8058 | 卸売 | 2.08% |
5位 | ソフトバンクグループ | 9984 | 情報・通信 | 1.81% |
6位 | 任天堂 | 7974 | その他製品 | 1.70% |
7位 | 日本電気 | 6701 | 電気機器 | 1.62% |
8位 | 日本たばこ産業 | 2914 | 食料品 | 1.53% |
9位 | 武田薬品工業 | 4502 | 医薬品 | 1.46% |
10位 | 本田技研工業 | 7267 | 輸送用機器 | 1.37% |
マイウェイジャパンの実際の実績(リスクとリターン)
では、実績を見ていきましょう。税引き前分配金再投資基準価額は上昇しています。
設定来2倍くらいになるのでしょうか。しかし残念ながら分配され、課税されてしまうのでこれほど高いリターンにはなりません。
マイウェイジャパンは約120億円を運用しているファンドになります。コロナショック後の株式市場の強い上昇にそのまま乗り、ショック後を少し上回った程度でしょうか。すでに物足りません。
具体的なパフォーマンスは以下ですが、年率3%を超えないようだと厳しいですね。7%は最低ラインとして個人投資家は考えたいところです。アクティブ投信ですからね。
年 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) |
トータルリターン | 2.51% | 2.37% | 1.28% | -- |
標準偏差 | 2.76 | 2.84 | 2.48 | -- |
シャープレシオ | 0.91 | 0.83 | 0.52 | -- |
<各年の利回り>
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
2022年 | 7.5% | 1.2% | - | - | - |
2021年 | 1.41% | 1.25% | 0.20% | -0.23% | 2.64% |
2020年 | -1.36% | 0.62% | 0.19% | 1.47% | 0.90% |
2019年 | -0.89% | 0.63% | 0.60% | 0.92% | 1.26% |
2018年 | -0.77% | -0.29% | 0.29% | -1.02% | -1.77% |
2017年 | 0.93% | 0.16% | 0.91% | 1.21% | 3.24% |
3年で2.37%%。5年で1.28%。手数料でマイナスなのではないでしょうか?
購入手数料が2.2%、信託報酬が0.869%なので、初年度はマイナスですね。長期前提ですが、それでも利回りが低いですね。
2018年はマイナスも出してしまっていますし。資産が増えない年があるというのは感覚的にも厳しいですよね。
マイウェイジャパンの評判は?
評判は正直、あまり意味のない指標だと個人的には思っておりますが、見ていきましょう。と思いましたが、口コミが見つかりませんでした。
リターンに派手さがないため、やはり注目も薄いことがわかります。
投資妙味の判断
投資妙味はなしです。
相対的に見ても、著しく低いプラスリターンに、マイナスまで出してしまっている現状、投資に踏み切ることはしばらくなさそうです。
あと3年ほどの運用結果を見て、個人投資家の信頼を取り戻せるようなリターンがあれば、また再考する時がくるかもしれません。現時点ではごめんなさい、です。