新興国投資を検討する上で、外せない存在がインドではないでしょうか?経済成長率も今後続くと見られ、経済を押し上げるパワーとなる人口も爆発。
ぜひ、インドにも積極的に投資していきたいところです。
しかし、2020年に突如訪れたCovid-19パンデミックにより、先進国、新興国問わず世界中の国が経済打撃を被りました。
世界銀行もインドの成長率見通しを引き下げましたが、それでも長期目線では上ではないかと筆者は思っています。
[ニューデリー ロイター] - 世界銀行は13日、インドと南アジア地域の成長率予想を引き下げた。ウクライナ危機によるサプライチェーン(供給網)のボトルネック悪化やインフレ高進を理由に挙げた。
さて、今回はインドの経済成長を自分のポートフォリオリターンに取り込むべく、インドの投資信託を見ていきたいと思います。
今回取り上げるのは、iTrustインド株式です。
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iTrustインド株式の特徴
まずはファンドの特徴を見ていきましょう。
目論見書はこちらです。
主に中長期的に成長が期待できる インド企業の株式に投資
基本的に中長期で投資していくということで、企業の決算、事業内容にフォーカスして分析を行うファンドとなっています。
ESGを考慮する点が非常に21世紀を感じる銘柄選定です。
筆者はどちらかというと、そんなものよりもリターンを優先した銘柄選定をしてほしいと思うのですが、育ちが悪いからでしょうね。
今後は環境や社会的意義の強い企業がより成長していく社会になれば、それも素晴らしいと思いますし世界は年々裕福になっていっているのでまさに時代に合った銘柄選定方法なのでしょう。
ファンドの仕組みはファンズ・オブ・ファンズとなっています。
銀行・金融サービス、情報技術サービスに重きを置いたPF
最近のインド投資信託、アクティブファンドは全て同様の業種に比重を置いています。
明らかに利益効率の良い業種でアウトパフォームを狙っていくという方針が見て取れます。
業種 | 純資産比 | |
1 | 金融 | 35.4% |
2 | 情報技術サービス | 19.7% |
3 | 生活必需品 | 13.6% |
4 | ヘルスケア | 13.1% |
5 | 一般消費財・サービス | 12.5% |
6 | その他の業種 | 3.2% |
7 | コールローン等、その他 | 2.5% |
合計 | 100.0% |
金融は35%と本当に偏っていますね。野村インド株投資、新生UTIインドファンドはそれぞれ26%でしたが、iTrustインド株式はここで差別化されています。
2022年5月末時点のポートフォリオは以下となっています。
組入上位10銘柄 | ||
銘柄 | 業種 | 純資産比 |
HDFC銀行 | 金融 | 9.3% |
インフォシス | 金融 | 8.1% |
ICICI銀行 | 金融 | 6.5% |
SBIライフ・インシュランス | 金融 | 6.1% |
トレント・ファーマシューティカルズ | ヘルスケア | 5.1% |
ゴドレジ・コンシューマー・プロダク ツ | 生活必需品 | 4.9% |
アルケム・ラボラトリーズ | ヘルスケア | 4.7% |
マルチ・スズキ・インディア | 一般消費財・サービス | 4.6% |
ユナイテッド・ブリュワリーズ | 生活必需品 | 4.4% |
HDFCライフ・インシュアランス | 金融 | 4.3% |
合計 | 58.0% |
ポートフォリオ1位のHDFC銀行はインドの商業銀行です。日本では三菱UFJ銀行が同業種となるでしょう。海外は商業銀行など区分が分けられています。
HDFC銀行はグローバル企業へも金融サービスを提供しており、資本市場部門にも近年は特に力を入れています。インドのグローバルバンクといったところです。
HDFC銀行の株価チャートを見ていきましょう。
基本的にインドの株式銘柄は、大型の安定企業であれば2020年の金融緩和でマーケットに株価が大体は押し上げられています。しかし、金融業種であるHDFC銀行は下落が比較的コモディティ銘柄よりも早いですね。
例えば野村インド株式のPF1位のリライアンスインダストリーはまだまだ株価は下がっていません。
しかし、時間の問題でしょう。というのも、インド株式市場はこれから厳しい時代を迎えると筆者は確信しているからです。
株式市場の見通しについては、新生UTIインドファンドの記事の「インド株式市場の見通し」を確認してください。簡単に言えば、すでに高インフレなので今後は中央銀行の引き締めが始まり、株式市場はしばらく軟調になるという内容となっています。
手数料水準
iTrustインド株式の手数料は以下となっています。
購入手数料:0% (税込)
信託手数料:1.4998% (税込)
インド投信の中では最も安いのではないでしょうか?
あとは、実績がついてくるかどうかですね。手数料が安くてもリターンが低ければ意味がありません。
iTrustインド株式の基準価額の推移
iTrustインド株式の基準価額の推移を見ていきましょう。
ぶち上げていますね。上記で挙げたHDFC銀行並みに上昇しています。
しかしMSCIインド、つまりインデックスには負けてしまっています。余計なことをせずに国全体をそのまま買った方がリターンが良かったことになります。ついでに手数料もかかるので悲しいものです。
以下は他の投資信託との比較です。
黄色:iTrustインド株式
青色:新生・UTIインドファンド
赤色:ムンバイSENSEX30
緑色:高成長インド・中型株式ファンド
iTrustインド株式はまだ若いファンドですので最大3年の年率リターンしかわかりませんが、この時点で新生・UTIインドファンド、高成長インド・中型株式ファンド、指数であるMSCIインド(配当込、円ベース)を下回っていますね。
購入を検討することはないでしょう。
ファンド名 | iTrustインド株式 | 野村 インド株投資 | 新生・UTIインドファンド | 高成長インド・中型株式ファンド | MSCIインド(配当込、円ベース) |
トータルリターン1年 | 10.90% | 14.75% | 7.68% | 18.97% | 20.26% |
トータルリターン3年(年率) | 13.72% | 9.91% | 16.64% | 15.93% | 16.28% |
トータルリターン5年(年率) | -- | 7.35% | 13.22% | 8.83% | 12.05% |
トータルリターン10年(年率) | -- | 14.23% | 19.35% | 17.93% | 15.24% |
シャープレシオ1年 | 0.92 | 1.05 | 0.46 | 1.34 | -- |
シャープレシオ3年 | 0.55 | 0.4 | 0.62 | 0.55 | -- |
シャープレシオ5年 | -- | 0.33 | 0.56 | 0.35 | -- |
シャープレシオ10年 | -- | 0.64 | 0.85 | 0.74 | -- |
標準偏差1年 | 11.83 | 14.07 | 16.7 | 14.16 | -- |
標準偏差3年 | 24.86 | 24.61 | 26.81 | 29.04 | -- |
標準偏差5年 | -- | 22.14 | 23.72 | 25.12 | -- |
標準偏差10年 | -- | 22.24 | 22.85 | 24.26 | -- |
まとめ
今回はiTrustインド株式についてまとめました。
ポイント
- 主に中長期的に成長が期待できる インド企業の株式に投資
- 銀行・金融サービス、情報技術サービスに重きを置いたPF
- インド投資信託の中でも一番の若手、そして劣等生でもあるのは残念
- インドは高インフレの真っ最中、今後金融引き締めを考えると投資タイミングは今ではない