インドは成長力の高い魅力的な新興国ということもあり、
目をつけられている方も多いのではないでしょうか。
成長著しいインドを徹底解剖!なぜ経済は高成長を継続しているのか?政治や財政面も含めて今後の見通しをお伝えする。
インドは法律で利益獲得を狙う不動産事業の外国人の参入を禁止しているので、
個人投資家の現実的な投資先としては株式投資になります。
個別銘柄を選ぶのは難しいと考えられる方は、投資信託を選択肢として考えられている方も多いのではないでしょうか?
前回は話題の高成長インド・中型株式ファンドについて特集してきました。
本日は同じアクティブ型の投資信託であるHSBCインドオープンについて分析していきたいと思います。
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HSBCインドオープンの目標とするインデックスは??
HSBCインドオープンは名前から分かる通り世界最大のメガバングHSBC系列のHSBC投信株式会社によって運営されています。
アクティブ型の投資信託ですが目標とするインデックスはS&P/IFC Investable Indiaとなります。
S&P/IFC Investable Indiaとは、インドの非居住者がインド株式への投資を行うことを前提として、時価総額、流動性や非居住者に対する各種投資制限(個別株、業種等)等を考慮し算出された時価総額加重平均インデックスです。
ベンチマークに対する成績について見ていきましょう。
HSBCインドオープンのベンチマークに対して低いパフォーマンス
HSBCインドオープンはアクティブ型の投資信託なのでベンチマークに対してプラスの成績を収めているかが非常に重要になります。
以下手数料控除後のHSBCインドオープンのS&P/IFC Investable Indiaとの比較なんですが大幅にアンダーパフォームしています。
ベンチマークが5倍になっているにも関わらず分配金再投資した場合のパフォーマンスでも2.5倍にしかなっておらず半分の実績になっています。
データとしてみても常にどの期間で見てもベンチマークを下回っています。
またここで、悪い意味で重要なのは分配金を出しているということです。
分配金を拠出した後の基準価格が20,000円なのに対して分配金再投資した場合の基準価格は25,000円となります。
一方拠出された分配金は4,570円となります。
つまり分配金4,570円と基準価格27,876円を足し合わせても32,476円にしかならず、分配金再投資後の38,000円には及ばないのです。
毎月分配をだすことで都度20.315%の税金が拠出され、更に再投資される時に購入手数料が発生し、再投資による複利運用を実現することができません。
毎月分配型投資信託という形態は金融先進国の欧米では組成されておらず日本特有の仕組みです。
これは投資家を集めるためだけの宣伝で、結果的に最終利益が凹んでしまうという結果となり、
本当に投資家目線での仕組みとはなっていないのです。
HSBCインドオープンの他の投資信託とのパフォーマンス比較
先程HSBCインドオープンの成績が芳しくないことを見てきましたが、
他のファンドも全て指数を下回っていたら、相対的にはましな投資信託ということになります。
以下が、前回分析を行った高成長インド・中型株式ファンドと、
インド投資信託で優秀な成績を集めている新生・UTIインドファンドとの比較です。
項目 | HSBC インドオープン | 新生・UTIインドファンド | 高成長インド・中型株式ファンド | MSCIインド(配当込、円ベース) |
トータルリターン1年 | 16.29% | 7.68% | 18.97% | 20.26% |
トータルリターン3年(年率) | 10.89% | 16.64% | 15.93% | 16.28% |
トータルリターン5年(年率) | 7.26% | 13.22% | 8.83% | 12.05% |
トータルリターン10年(年率) | 11.63% | 19.35% | 17.93% | 15.24% |
シャープレシオ1年 | 1.01 | 0.46 | 1.34 | -- |
シャープレシオ3年 | 0.38 | 0.62 | 0.55 | -- |
シャープレシオ5年 | 0.29 | 0.56 | 0.35 | -- |
シャープレシオ10年 | 0.46 | 0.85 | 0.74 | -- |
標準偏差1年 | 16.13 | 16.70 | 14.16 | -- |
標準偏差3年 | 28.39 | 26.81 | 29.04 | -- |
標準偏差5年 | 25.01 | 23.72 | 25.12 | -- |
標準偏差10年 | 25.25 | 22.85 | 24.26 | -- |
MSCIインド指数のみならず、新生UTIインドファンド、高成長インド・中型株式ファンドに対しても大きく劣った成績となっていますね。
特にこの1年~3年の成績が芳しくないですね。
チャートからみても特に2018年に入ってから特に軟調に推移していることが見て取れます。
HSBCインドオープンの低パフォーマンスなのか産業別配分から考察し今後の見通しを分析する
HSSBCインドオープンの産業別構成比率をMSCIインド指数と比較してみてみましょう。
S&P/IFC Investable Indiaは業種別組入銘柄は非公開です。
一般的にベンチマークとして使用されるMSCIインド指数を比較対象として用いています。
左側がHSBCインドオープン、右側がMSCIインド指数なのですが、
HSBCインドオープンの方が銀行の割合が多く、ITセクターの比率が少なくなっています。
この間インドの銀行は不良債権処理に追われて、弱含んで推移したことが重しになったと考えられます。
今後の見通しとしては2016年末に行われた高額紙幣の廃止の影響で国民が銀行口座を持ち始めたことを考えると、
今後銀行収益が続伸していくことが想定されます。
ベンチマークに対して挽回基調となっていくのではないかと考えております。
しかし、インドの株式市場自体が誰の目から見ても魅力的な市場なのでPERが25倍ということもあり割高水準となっています。
一旦の調整が起こり得ることは十分に考えられます。
→ 今後インド株式市場への投資は魅力的なのか?おすすめ銘柄を含めてわかりやすく解説する!
HSBCインドオープンの手数料
HSBCインドオープンに限った話ではありませんが、
HSBCインドオープンは購入手数料・信託手数料ともにアクティブ型投資信託の中でも高い水準となっております。
ファンド名 | HSBC インドオープン | 新生・UTIインドファンド | 高成長インド・中型株式ファンド |
販売手数料 | 3.85% | 3.85% | 3.85% |
信託報酬 | 2.20% | 1.95% | 2.05% |
販売手数料3.85%で信託報酬が2.2%(年率)であることを考えると、初年度は合計で5.94%と実に6%近い手数料が発生することになります。
これだけの手数料を払って指数や他の投資信託よりも、低いパフォーマンスしか出せていないことを考えると投資する価値はなさそうですね。
新興国の投資信託が高い理由として、現地市場へのアクセスに費用が発生することや、取引するたびに発生する為替手数料が高いことも影響しています。
インドの投資信託より大きなリターンを狙うことが出来るおすすめ新興国投資法
HSBCインドオープンはアクティブ型の投資信託として高い手数料が発生するにも関わらず、
ベンチマークを大きく下回る成績しか出せていない投資妙味が少ない投資信託です。
インド投資信託の中には新生UTIインドファンドのように指数を上回る投資信託もありますが、
そもそも先ほども申し上げた通り、インドの株式市場自体が割高となっており現時点で投資を行うと高値掴みとなってしまう可能性があります。
新興国投資で大きな利益を狙うことができる投資先については以下で詳しくお伝えしていますので参考にしていただければと思います。