日本のヘッジファンドもパフォーマンスが高いことから富裕層を中心に投資額が増えてきています。
最近では最低投資金額は海外の著名ヘッジファンドに比べて低いことから一般の個人投資家も投資し始めています。
以下のグラフがそれを指し示しています。緑色の私募ファンドがヘッジファンドです。
このように投資額が増えている背景としては、やはり運用成績が非常に良いことが要因であるのは言を待たないでしょう。以下は1990年からのヘッジファンドのリターンです。
リターンだけでみると米国株の指数であるS&P500指数と変わらない結果となっています。しかし、重要なのは安定的に資産価格が上昇している点にあります。
特筆すべきはリーマンショックのような危機発生時においても、市場平均が大きく下落している中、価格の下落をミニマイズしていることが挙げられます。
現在米国株はたまたま市場環境が良い時期が続いているだけで、今後またコロナショックのような下落がいつ起きてもおかしくないような状態です。
市場環境に影響されず自分の資産を安定的に増やしていきたい方にとってヘッジファンドは非常に魅力的な選択肢であり年々運用資産額が増えていっているのです。
現在では世界中で約350兆円もの資産がヘッジファンドで運用されています。
しかし全てのヘッジファンドが優秀な成績を上げているわけではありません。
ヘッジファンドによっては市場平均を下回る成績しか上げることが出来ず撤退していくヘッジファンドも存在しております。
中には詐欺ファンドとして投資資金を集めるだけ集めた上で蒸発してしまうようなファンドも存在しております。
今回は長期投資に適した優良なヘッジファンドの見分け方について詳しく解説していきます。
パフォーマンスは安定しているか
投資をする上で最も重要なポイントであるといえる運用利回り、つまりパフォーマンスについて考えて見ましょう。
異常に高いパフォーマンスを喧伝したファンドの注意点
よくネット証券で昨年度のパフォーマンスが異常に高い50%以上のものを宣伝していますが、その利回りは単年度のものです。
そもそもウォーレン・バフェットですら、過去の年率の平均は20%程度です。50%以上の利回りが出せるのであれば、
考えられる理由はレバレッジを取っているか、投資分野にたまたま強い追い風が吹いていたかのどちらかになります。
レバレッジを掛けることの注意点
最近は通常の投資信託でも日経平均ダブルブルやトリプルブルのような、レバレッジをかける投資信託が流行していますが、非常に危険であるといえます。
このような場合、日経平均が上昇する場合はよいですが、コロナショックのような30%の暴落が発生するとダブルであれば60%の下落、トリプルであれば90%の下落が直撃することになります。
60%の下落をしても、60%の上昇で取り戻せばよいと考えられがちです。しかし、実態は全くことなります。
例えば100万円が60%下落して40万円になったとします。すると最初の100万円に戻す為には、150%の利回りが必要になるのです。
つまり暴落を取り返すのは非常に難易度が高いということなのです。このような大きな下落を伴う可能性があるファンドは資産運用の先には適していません。
投資分野に追い風が吹いていた場合
極端な例でいうと昨年度の仮想通貨や、適度な例でいうと昨年度の米株式市場などがその例です。
投資信託では予め投資する分野が決められています。その分野が非常に堅調な場合は、そのファンドの成績もおのずとよくなります。
然し、これは陸上でいうところの追い風参考記録です。
毎年その追い風はふきません、寧ろ追い風が吹いた後には逆風が吹く可能性が増えます。
このように、投資分野があたるかはずれるかに頼る手法は継続性が問題です。
安定した運用利回りを追求しているか
資産運用を行う上で重要なのは、派手な利回りではなく順調にかつ着実に右肩上がりに成長していくことです。
理想的なのは以下の、ウォーレンバフェットの運営会社であるバークシャー・ハサウェイ社の株価の推移です。
直近は米国株式自体が堅調であった為、伸びが加速しています。
25年間を通じてリーマンショックの時など一時的に落ち込むことはありますが安定して、着実に伸びていっています。リーマンショックもたった1年間で取り返していますね。
出資を検討しているファンドには、まず過去からのファンドの運用成績がこのように右肩上がりになっているかを確認しましょう。
単年度の成績を誇張して宣伝してくるファンドは要注意でしょう。
投資理論がしっかりしているか
次に投資理論が確りしているかを考える必要があります。そもそもウォーレン・バフェットが50年以上に亘り勝ち続けているのは投資理論が確立されているからです。
確りとした投資理論がなく、その都度の流行りの投資に乗っかているファンドは、今回の仮想通貨のようにきっと大きな損失を蒙る結果となります。
管理人が大学時代からの投資の経験と、外資系金融の友人達がおすすめしているのは、
ウォーレン・バフェットの師であり投資の父ともいわれるベンジャミン・グレアムが提唱し実践していたバリュー投資です。
100年以上経過しても、未だ色褪せずに有力な投資理論として生き続けているところからみても、普遍的で確立された投資手法であることがわかります。
株式の本質的な価値を分析して、株式の本質的な価値に対して大幅に割安で市場で放置されている銘柄に投資をし、本質的な価値に再評価された時点で利益確定を行うという手法です。詳しい方法は以下の通りですので参考にしてみて下さい。
→ ベンジャミン・グレアムの投資対象『ネットネット株』を分かり易く解説
この投資手法の良いところは、値下りリスクが一番低いところです。資産運用においてマイナスをなるべく出さないことが非常に重要です。
更にファンドに預けることによって、ファンドが大株主となり、経営に提言し株価を引き上げる自己株買いや増配のような施策を実施させることができるので、
バリュー投資とヘッジファンドの組み合わせは非常に相性がいい投資理論でもあるのです。
ファンドマネージャーの経歴と実績
ファンドマネージャーはファンドに運用資金を運用する人です。そのヘッジファンドの核そのものです。
ファンドマネージャーが経験と知識を兼ね備えた優秀な人でない限り、そのファンドの運用成績がよいはずがありません。
必ずしも優秀さと相関があるわけではないですが、どこの大学を出ているのか、
著名な金融機関で研鑽を積んだ経験があるのかを確認するのがよいでしょう。
やはり管理人が在籍していた東京大学卒の方達は全員ではないですが、目を見張るほど頭脳明晰な人材が多く存在していました。
その中でも外資系金融機関に歩みを進めたものはキレもの揃いでした。
運用利回りと共に、ある程度経歴も重要なファクターであると考えます。
ロックアップ期間はどれくらいか?
ロックアップ期間??と思われたと思うのですが、これは資金拘束期間です。投資信託では、いつでも資金を預け入れたり解約することができます。
然しヘッジファンドは一人当たりの投資金額が大きいこともあり、好きなタイミングで解約をされたら、
その都度ポートフォリオの組み換えを行わざるをえず投資行動に影響が出てしまいます。
その為、解約できるタイミングを通常のヘッジファンドであれば1年に1回、良心的なファンドであれば四半期に1回解約、又は増資が出来るタイミングを設定しています。どのタイミングで資金を動かすことができるかは確認しておいた方がよいでしょう。
→ロックアップ期間の意味とは?ヘッジファンドの解約制度についてわかりやすく解説する!
ファンドの人から直接説明をうけれるか
ヘッジファンドは私募ファンドなので、詐欺ファンドという可能性もあります。
ポンジ・スキームのような、後から入ってきた人の出資分を先に入った人に分配するスキームを用いたファンドや、資金だけをかき集めて蒸発するファンドも残念ながら存在しています。
彼らの特徴として、日利数%とか年利数百%といった非常に大きな利回りを喧伝して、甘い誘い文句で投資を促すサイトになっています。
このような詐欺ファンドの人たちはなるべく人前に姿を現すのを控えます。当然直接会うことを拒むでしょう。
今まで上昇した仮想通貨関連の投資先はなかなか人前に顔を出すことがなかったかと思われます。
また当然、大切な資金を預ける先です。
詐欺ファンドかどうかを確認するだけでなく、上で説明した過去の利回りや、ファンドマネージャー、投資理論、ロックアップ期間について直接確認しましょう。
直接ファンドの営業員に会って、その営業員が信頼のおける人間か、説明は確りしているかを確認した上で出資の是非を検討していきましょう!