日本株に投資をする投資信託は非常に多く存在しています。
有名なものとしては「ひふみ投信」や「さわかみ投信」、「ジェイリバイブ」などがありますね。
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当サイトでもこれかのファンドについては紹介してきました。
今回は世界的にも有名な運用会社であるフィデリティが運営する日本株ファンド「フィデリティ・日本成長株・ファンド」について紐解いていきたいと思います。
フィデリティ・日本成長株・ファンドの特徴とは?
それではフィデリティ・日本成長株・ファンドの特徴についてお伝えしていきたいと思います。
日本株を厳選してアクティブリターンを狙うアクティブファンド
投信には大きく分けて2種類あります。1つはTOPIXや日経平均に対して連動する動きを志すインデックス型の投資信託です。
一方、インデックスに対してプラスのリターンを出すことを目指して運用されているのがアクティブ型のファンドです。
フィデリティ・日本成長株・ファンドはアクティブリターンを狙うアクティブ型の投資信託として運用されています。
確かに以下の通り東証一部の成績を索引しているのは一部の銘柄です。実はマイナスリターンとなった銘柄が60%以上を占めているのです。
指数全体に投資をしてしまっていては下位7割の劣等生にも投資をすることになります。
分類 | 銘柄数 全体に占める割合 |
平均騰落率 |
50%以上上昇した銘柄 | 122銘柄 5.7% |
+102.5% |
TOPIXを上回った銘柄 | 579銘柄 27.1% |
+40.3% |
TOPIXを下回った銘柄 | 1,554銘柄 71.5% |
▲17.3% |
マイナスリターン銘柄 | 1,335銘柄 62.5% |
▲20.7% |
上位30%だけを選択することができればリターンを大きく向上させることができますね。ただ、言うは易し行うは難しです。
以下、金融庁の集計の通り残念ながら平均的な成績はアクティブ型投信よりインデックス型投信の方が圧倒的に高いと言う結果になっているのです。
コラム①:運用会社「フィデリティ」とは?
フィデリティは1969年から日本での活動を開始していますが、本家は米国のフィデリティ・インターナショナルで1946年に設立されている資産運用会社です。
フィデリティ・インターナショナルのルーツは1946年に米国ボストンで誕生した資産運用会社にあります。設立以来、常にお客様の利益を最優先し、その経営の独立性を大切にするため株式を公開しておらず、世界有数の独立系資産運用グループとなった今でも変わることはありません。
外部株主のために働くことを余儀なくされることなく「顧客第一主義」を貫く、それがフィデリティ・インターナショナルの強みです。参照:フィデリティ証券
米国籍の運用会社としては前回「キャピタル世界株式ファンド」でお伝えしたキャピタルグループに次ぐ規模を誇っています。
コラム②:日本の企業の実力は順調に伸びている!?
日本の株式市場というとバブル以降冴えない動きばかりしていると落胆している方もいらっしゃると思います。
しかし、企業の1株あたりの純利益であるEPSは着実に上昇してきており、EPSに合わせた形で株価も堅調に推移しています。
また、現在PERは欧米に対しても低い水準で、割安度が高い日本株はこれからまだまだ上昇する余地がある魅力的な株式市場となっているのです。
日本株に投資して素晴らしいリターンを残しているファンドを筆者の目線でまとめていますので以下参考にしていただければと思います。
注目している産業や事業領域
フィデリティ・日本成長株・ファンドは以下の事業領域に注目しています。
省エネ・省資源 | エネルギー資源を効率的に活用できるようにする製品やサービスを出している企業軍 |
自動化・省人化 | 日本、中国、ドイツといった製造大国の生産労働人口急減を補ういオートメーションサービスを出している企業群 |
新興国需要 | 成長の勢いが止まらない新興国の需要を取り込める企業群 |
ヘルスケア | 高齢化に伴い高度な医療への需要は高まるため、この需要を満たす企業群 |
デジタル革命 | IoT化が進む現在においてデジタル革命を牽引する企業群 |
構成上位10銘柄
以下は2022年6月30日時点での構成上位10銘柄です。
組み入れ銘柄は200銘柄程度と非常に多くなっていますが、以下の銘柄で30.2%を占めるに至っています。
銘柄 | 業種 | 比率 | |
1 | オリンパス | 精密機器 | 3.90% |
2 | ソニーグループ | 電気機器 | 3.80% |
3 | キーエンス | 電気機器 | 3.50% |
4 | 日立製作所 | 電気機器 | 3.40% |
5 | ミスミグループ | 卸売業 | 3.30% |
6 | 東京海上ホールディングス | 保険業 | 3.00% |
7 | 村田製作所 | 電気機器 | 2.40% |
8 | 三井ハイテック | 電気機器 | 2.30% |
9 | オリエンタルランド | サービス業 | 2.30% |
10 | 味の素 | 食料品 | 2.30% |
構成トップのオリンパスは光学機器・電子機器などを製造・販売する企業です。医療事業が最大の事業分野で、中でも消化器内視鏡は世界トップシェアとなっています。
オリンパスの株価推移は以下の通り右肩あがりとなります。
因みに以下はフィデリティ・日本株・成長ファンドの2022年2月末時点での構成上位10銘柄です。
多くの構成上位銘柄の顔ぶれは変わっていません。
銘柄 | 業種 | 比率 | |
1 | ソニーグループ | 電気機器 | 5.90% |
2 | キーエンス | 電気機器 | 4.90% |
3 | ミスミグループ本社 | 卸売業 | 4.80% |
4 | リクルートホールディングス | サービス業 | 3.10% |
5 | オリンパス | 精密機器 | 2.90% |
6 | Zホールディングス | 情報・通信業 | 2.60% |
7 | 東京海上ホールディングス | 保険業 | 2.40% |
8 | 三浦工業 | 機械 | 2.30% |
9 | SMC | 機械 | 2.20% |
10 | マキタ | 機械 | 2.10% |
さらに遡って最初に分析した2021年2月末時点での構成上位10銘柄です。1年で上下動していますね。
入れ替わっている銘柄もあります。平均的に1年から2年が投資期間であることが推察されます。
銘柄 | 比率 | テーマ |
ミスミグループ | 4.4% | 自動化・省人化 デジタル革命 |
キーエンス | 4.2% | 自動化・省人化 デジタル革命 |
三浦工業 | 3.1% | 省エネ・省資源 |
シマノ | 2.7% | 省エネ・省資源 新興国の消費拡大 ヘルスケア |
オリンパス | 2.7% | ヘルスケア |
マキタ | 2.4% | 自動化・省人化 |
リクルートホールディングス | 2.3% | デジタル革命 デジタル革命 |
日本電産 | 2.2% | 省エネ・省資源 |
島津製作所 | 2.2% | 省エネ・省資源 |
TDK | 2.1% | 省エネ・省資源 デジタル革命 |
全般的にデジタル革命、自動化・省人化の銘柄を多く組み入れているのが読み取れますね。それでは肝心のリターンについてみていきたいと思います。
ノーロードだが信託手数料は平均的なアクティブファンドと同水準
フィデリティ・日本成長株・ファンドは購入するときに手数料がかからないノーロード型の投資信託です。
ただ、毎年発生する信託手数料は年率1.683%と一般的なアクティブ型投信と同水準になっております。
フィデリティ・日本成長株・ファンドのリターン
それでは肝心のフィデリティ・日本成長株・ファンドのリターンについてみていきましょう。
以下は運用開始となった1998年4月からのフィデリティ・日本成長株・ファンドの基準価額です。
未だに2004年の純資産総額を下回っており、基準価額も20年を超えてようやく3倍程度となっています。運用成績に不安が残ります。
以下がデータとなっています。直近1年はマイナスに落ち込んでいます。
年 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) |
トータルリターン | -10.97% | 9.37% | 5.43% | 11.61% |
標準偏差 | 15.07 | 16.92 | 16.99 | 16.69 |
シャープレシオ | -0.73 | 0.55 | 0.32 | 0.70 |
投資におけるリスクである標準偏差も非常に大きな値を示しています。
つまり、かなり値動きの幅が大きいということがいえますね。
因みにTOPIXと日経平均には一見するとアウトパフォームしています。
しかし、下記の図は配当金を出した後の日経平均となりますので、配当金を加味すると大きく劣後する成績となってしまっています。
フィデリティ・日本成長株・ファンドの評判や口コミ
実際にフィデリティ・日本成長株・ファンドについてどのような口コミがあるのかをTwitter上から引用していきたいと思います。
どうやら企業版DCに組み入れられているそうで、その中では比較的評判がよいようです。ただ、あくまで「まとも」や「まし」といった表現ですが・・・。
フィデリティ・日本成長株・ファンドとかいうやつですね。 選べる中で1番まともそうだったやつ。。笑
また、手数料水準に対する不満の声も聞かれました。
こんにちは!フィデリティ・日本成長株・ファンドを調べたのですが信託報酬が年1.683%(税抜1.53%)とめちゃくちゃ高いですね(^_^;)
まとめ
今回のフィデリティ・日本成長株・ファンドのポイントは以下となります。
- 日本株に投資するアクティブファンド
- フィデリティは米国籍で2番目の規模のファンド
- 投資銘柄は300銘柄以上で過度に分散されている
- リターンはTOPIX以上日経平均未満
- 価格の値動きが激しく暴落局面に弱い
資産運用で重要なことは資産価格をできる限り落とすことなく、安定的に資産価格を上昇させていくことです。
フィデリティ・日本成長株・ファンドは値動きが激しすぎるので、あまり長期投資に適しているとはいえません。
以下のランキングでは長期投資に適したファンドをお伝えしていますので参考にしていただければと思います。