今まで新興国の様々な国について検証して参りました。今回は今までの集大成として各国又は新興国全般に投資する投資信託やETFについて、ランキング形式に纏めました。
これで完成というわけではなく、日々の市場観察から各国を分析し随時更新していきます。
評価基準
1.今後の成長力
株式市場は今の成長力ではなく、今後の成長力から評価をしていきます。人口動態と人材の質と共に、現状の1人あたりGDPの水準を元に評価します。
2.経済的安定性
エネルギー産業等の特定の産業に偏っていないか、貿易相手国に偏りはないか、GDPが投資や貿易中心で構成されていないか、という観点から経済的安定性を評価します。
3.政治的安定性
政権は安定しているか、各国との関係性はどうかという観点から評価します。
4.株式市場の魅力度
株式市場は割安な水準であるのか配当利回りは高いのかという観点から評価していきます。
- 第1位:オリエントマネジメント
- 第2位:フロンティア・キャピタル
- 第3位:MSCIフィリピンETF
- 第4位:HSBCインドオープン
- 第5位:ベトナム株オープン
- 第6位:MSCI インドネシア ETF
- 第7位:MSCI Russia Capped Index ETF
- 第8位:MSCI Brazil UCITS ETF
- 第9位:VWO (バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF )
- 第10位:EEM(i シェアーズ・MSCI・エマージング・マーケットETF)
- 第11位:eMAXIS新興国株式インデックス
- 第12位:HSBC BRICS オープン
- 第13位:MSCI チャイナ・インデックス ETF
- 一口メモ①:ETFと投資信託の違いって何?
- 一口メモ②:為替ヘッジを行う必要はあるか
- 一口メモ③:毎月分配型投資信託について
第1位:オリエントマネジメント
総合 93点 |
成長力が高く尚且つ正に株価が上昇するフェーズに差し掛かる新興国の厳選銘柄に投資して大きなリターンを狙う最も期待できる新興国ファンド。高成長が期待できるのに配当利回りが10%を超える銘柄を狙い撃ちして安定して高いリターンを実現している。 |
経済成長力 95点 |
新興国の中で経済成長だけでなく企業の収益成長率が大きく期待できる中国株式市場に投資。ゼロコロナ政策によって沈んでいた経済の回復期にあり急激なリバウンド成長が期待できる。 |
経済的安定性 87点 |
現在米国を追い抜き世界1位の経済大国になるために習近平政権の元で固まっており経済成長率、政治的安定という意味でも安定している。 |
株式市場魅力 100点 |
現在の中国はまさに日本の1980年代のバブル前の水準。ここから本格的な上昇が見込まれる地点に到達している。 |
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オリエントマネジメントは今正に旬な中国株式市場に投資をするヘッジファンドです。
中国について皆さんどのような印象を持たれているでしょうか?
人によって様々だとは思いますが以下のような印象の方が多いと思います。
✔︎ 遅れている。まだまだ発展途上国。
✔︎ 技術力は低い。
✔︎ 一人っ子政策等でもう成長力は低い。
しかし、残念ながら上記のネガティブなイメージは全て誤りです。
中国は既に日本のGDPを追い抜かして10年以上が経過し2028年には米国を追い抜くことが想定されています。
成長力は依然として高水準を維持しています。
更に、実はイノベーション国家として変貌を遂げており最もイノベーションに優れた企業ベスト10に中国は3つもランクインしています。
日本はソニーだけという悲しい結果ですね。
そして何より現在中国の経済水準に着目してほしいのですが中国は1人あたりのGDP水準は日本のバブルが発生した1980年代中盤の水準に到達しています。
国民がある程度豊かでないと株式に投資する余裕は生まれませんからね。そして、中国株は中国経済が飛躍したこの10年間で横ばいとなっていました。
ほとんど成長していない日本の日経平均と比べると如何に現在の中国株が割安に放置されているからは歴然かと思います。
そして肝心の2021年10月から運用が実施されているオリエントマネジメントのリターンを見ていきましょう。
リターン | |
2021年10月-12月 | 5.7% |
2022年1月-3月 | 5.2% |
2022年4月-6月 | 6.2% |
2022年7月-9月 | ▲8.9% |
2022年10月-12月 | 4.2% |
2021年10月〜2022年12月 | 12.1% |
地味なリターンに見えますが、これは同期間の中国に吹き荒れていた逆風を考えると凄まじいリターンです。
中国はゼロコロナ政策で上海総合指数は同期間で▲20%となっていたので実質的に32%のアクティブリターンを叩き出したことになります。
そして、2023年に入りゼロコロナが撤廃となり中国株がリバウンドを開始しています。
逆風でも結果を残したファンドが追い風でどれだけ伸びてくれるか期待したいところです。
第2位:フロンティア・キャピタル
総合 80点 |
魅力的な新興国を厳選し、他社に先駆けた投資で高い利益が期待できる。 |
成長力 80点 |
新興国の中でも特に成長が著しく見込まれる国を選定。 |
経済的安定性 75点 |
特定の産業や国に依存している国は投資対象から除外。 |
株式市場魅力 90点 |
他社が投資できない開拓者として圧倒的な割安市場に投資を行っている。 |
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成長力が高く尚且つ割安な新興国に投資を行い大きな利益獲得を目指すヘッジファンド。他に先駆けた地域に投資を行い、同社しか行えない投資を行っている。
同社が投資を実行している新興国の例としてイランの株式市場がある。同社は2016年のイランの制裁解除を受け迅速にイラン当局からの投資許可の取得に動き、恐らく日本で唯一イラン株式市場への投資を行えるファンドとなっている。
イランは2016年度は制裁の解除・緩和を受け成長率は12.5%で世界第1位。主要銘柄のPERは4倍~7倍、平均配当利回りも10%と非常に高く、中には20%超の銘柄も存在している。
同社は日本株でのバリュー株投資で毎年20%程度の運用利回りを出している実績あるファンドで、割安銘柄の宝庫となっているイラン株を更に厳選して投資することにより、更に高い投資成果が期待出来る点も特筆に値する。
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第3位:MSCIフィリピンETF
総合 78点 |
東南アジアのライジングサンであり成長力は非常に高いが、株式市場は既に割高水準である。 |
成長力 95点 |
今後最も期待される東南アジアの雄。 |
経済的安定性 80点 |
東南アジアには珍しく中国依存度が低いのが特徴。 |
株式市場魅力 65点 |
投資信託やETFが既に組成されており、既に株式市場は割高。 |
世界的にETFを蘇生することに定評あるMSCI (Morgan Stanley Capital International)社がフィリピンの株式指数との連動を目指して組成したETF。
フィリピンは人口構造も逆三角形の綺麗な形をしており、現在一人当たりGDP3,000USDと中所得国の罠である10,000USDまでは距離があり、労働集約的な産業を行うことにより成長していく余地が高い。
またASEAN諸国の中では、中国や中国の影響を受けるASEANとの貿易が少なく、米国や日本のような安定した先進諸国ともバランスよく貿易を行っている。
唯一惜しいのは既に株式市場が成長を織り込んでおり、PERは20を超える毎柄が多く割安という水準ではないという点のみ欠点として挙げられます。国自体は魅力的であることには変わりないので、長期投資又は次回株式下落時点で仕込んでいきたい。
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第4位:HSBCインドオープン
総合 77点 |
BRICSの中で唯一今後も勢いのある成長が期待出来る将来世界市場を席捲する可能性がある新興国。 |
成長力 90点 |
現状依然として経済水準は低く、今後の成長可能性大。 |
経済的安定性 80点 |
モディ政権は安定政権だが、以前として不安な国内情勢。 |
株式市場魅力 60点 |
投資信託やETFが既に組成されており、既に株式市場は割高。 |
HSBCがS&P IFC Investableというインドの非居住者がインド株式の投資を行うことを前提として、時価総額、流動性、非居住者投資制限等を加味して設定された加重平均インデックスに連動するよう運用を目指した投資信託。
インドは言わずと知れた眠れる巨人で、人口動態は綺麗な三角形で、教育の質は数学を中心に高く、一人当たりGDPは1000USD台と低く成長余地が非常に大きい。
懸念点としては、銀行の不良債権が大きく、融資に勢いがなくなることが懸念される。更にモディ政権も長期政権でGST(物品・サービス)税導入や高額紙幣の廃止など経済成長を加速させる政策を実現している。
株式市場はフィリピンと同様に既にインドの株式市場も市場全体が成長を織り込み平均PERが20を超えていること。並びに外国人は直接個別銘柄を購入できず、ADR(米国預託証券)という仕組みを使って構成銘柄を購入している為、高い手数料が発生し実際のインド株との連動率も低くなってしまう点が難点である。
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第5位:ベトナム株オープン
総合 77点 |
東南アジアの有力な成長国であるが、株式市場に難点がある。 |
成長力 90点 |
現状依然として経済水準は低く、今後の成長可能性大。 |
経済的安定性 75点 |
中国への依存度が高いことが難点。 |
株式市場魅力 65点 |
魅力的な銘柄がETFの中に組み入れることが出来ず、市場平均に連動できない。また株式市場も割高なものが多い。 |
三井住友アセットマネジメント社がベトナム取引所上場銘柄並びにベトナム関連銘柄に投資をする投資信託。
ベトナムはCLMV諸国というASEANの中で、今後大きく成長が期待できる国の一角をなし、他のCLMV国々が株式市場が黎明期で投資できる環境がないなか唯一外国人が投資できる環境にある市場。
人口動態は今後人口ボーナスを迎える形をしており、一人当たりGDPも低く成長余地は大きい。内需主導の成長をおこない産業構造もバランスが取れているが、貿易における中国の依存度が大きいのが唯一の難点。
株式市場についてはPERが30を超えるような銘柄がある一方、10以下の銘柄もぱらぱらではあるが存在している。
更にETFは外国人投資規制(外国人が50%以上投資保有出来ない)の関係で有望なのに投資出来ない銘柄が多数存在しておりベトナム株式市場とベトナム指数連動のETFの乖離が非常に大きいことから、敢えてこの投資信託を選定した。
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第6位:MSCI インドネシア ETF
総合 75点 |
東南アジア最大の人口を誇り成長力は高いが経済構造に難。 |
成長力 90点 |
今後も人口拡大を伴って経済成長力は高い。 |
経済的安定性 65点 |
投資比率が高く、中国への依存度が高いことが難点。 |
株式市場魅力 70点 |
既に投資信託やETFが組成されていて、平均PERも20と割安とは言えない水準。 |
MSCI(Morgan Stanley Capital International)社がインドネシアの株式全般で構成される指数と同等の運用成果を目指すETF。
インドネシアは東南アジアで最大の2.6億人の人口を誇り、今後若年層の増加に伴い3.2億人にまで増加することが見込まれており人口ボーナスと、現状の低い1人あたりGDPも相まって成長力は非常に高い。
然しながら、経済構造における投資の割合が35%と非常に高く、更に中国への貿易依存度が高いこともあり安定性には欠ける。
また株式市場の平均PERも19と今後の成長を織り込んだ数値となっており、妙味がある水準とはいい難い。
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第7位:MSCI Russia Capped Index ETF
総合 75点 |
成長力は乏しいが株式市場は割安 |
成長力 60点 |
人口は増えず勢いある成長は期待できない。 |
経済的安定性 70点 |
エネルギー産業に偏った不安定な構造 |
株式市場魅力 95点 |
平均PERは9倍とイラン程ではないが魅力的な水準 |
ドイツ銀行がMSCI ロシア インデックスへの連動を目指して運用している。ロシアは1990年代の混乱を乗り切り2000年代は順調な成長を遂げたが、2010年代は資源価格の下落により中盤から大きな痛手を蒙っている
人口構造も人口ボーナスを迎えるような形ではなく、一人当たりGDPも中所得国の罠に近い水準かつ産業構造も資源に偏重しており安定しているとは言い難い。
然しながら、2018年という観点では中央銀行のインフレ鎮静化に伴う利下げの効果や、エネルギー価格の底打ちという観点から一定程度のリバウンドが期待できる。
更に、株式市場は平均PERが9倍と低い水準にあり、仕込み時としての投資妙味はある。政治面ではプーチン大統領の長期政権が依然として安定していることも見逃せない。
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第8位:MSCI Brazil UCITS ETF
総合 73点 |
これまでの難局からのリバウンドが期待される |
成長力 80点 |
人口増加によるポテンシャルは高いが中所得国の罠目前 |
経済的安定性 70点 |
資源偏重型の産業構造であり、安定的とはいえない |
株式市場魅力 70点 |
PERは19倍と割安とは言えない水準 |
MSCI(Morgan Stanley Capital International社)がMSCIブラジル・トータルリターン・ネット・インデックスに対する連動を目的として組成しているETF。
このインデックスは世界各国の投資家が投資可能なブラジル株のパフォーマンスを配当を再投資したと想定した上で時価総額毎に加重平均したインデックス。
ブラジルはBRICSの中で、負け組として2010年代を過ごしてきました。
然し、そもそもの成長ポテンシャルは高く成長に影を落としてきた泥沼の政治も漸く落ち着きを取り戻しつつある状況。
更に資源価格も底打ちとなっている為、今後のリバウンドを取り込むという意味でも2018年の現時点においては投資妙味が一定程度あると考えられる。
PERも現状は20程度と多少割高感はあるが、資源価格下落による収益が凹んだことが要因であり、今後の業績改善が期待される為、それほど割高と感じる水準ではない。
然し、人口動態や中所得国の罠である10,000USDを目前とした一人当たりGDPのレベルを考えるとASEAN諸国のような成長力はなく、資源偏重の経済から依然脱却できていないことを考えると、長期投資を行う場合は別の国を選定した方がよいであろう。
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第9位:VWO (バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF )
総合 70点 |
新興国市場全体に投資できるが、中国を始めとした魅力度が低い国が中心に組み込まれている。 |
成長力 60点 |
中国を含むロシア、ブラジル等成長力が低い新興国市場が多く含まれている。 |
経済的安定性 75点 |
経済的には比較的に安定しているが、独裁国の中国の政変には注意を要する。 |
株式市場魅力 75点 |
割安とはいえない市場への投資が主である。 |
外資系のバンガード社が新興国全体に連動するように設計したETF。 FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックスへの連動を目指している。
新興国全体に一括で投資できるのは手軽でよいが、時価総額加重平均である為、中国32%や台湾14%と東アジアの成長が減速することが必至である国やブラジル8%やロシア4%といった低成長が続く新興国が多く組み込まれている。
本当に成長力の高い新興国の比率が小さく新興国投資の妙味を享受できない構図となっていることが難点である。
手数料は年率0.14%と非常に低い為、新興国全体に一括で投資するETFとしては9位のEEMや10位のeMAXISを抑えて最も有力な投資先となるが、上記理由によりおすすめは出来無い。
第10位:EEM(i シェアーズ・MSCI・エマージング・マーケットETF)
総合 68点 |
新興国市場全体に投資できるが、中国を始めとした魅力度が低い国が中心に組み込まれている。 |
成長力 55点 |
VMOに比べ韓国が含まれていることが低い理由。 |
経済的安定性 75点 |
経済的には比較的に安定しているが、独裁国の中国の政変には注意を要する。 |
株式市場魅力 75点 |
割安とはいえない市場への投資が主である。 |
外資系のブラックロック社が新興国全体に連動するように設計したETF。 MSCI エマージング・マーケット・インデックスへの連動を目指している。
VMO同様に新興国全体に手軽に投資できるという利点はあるが、バンガードが連動を目標としている指数に加えMSCIエマージング・マーケット・インデックスは更に韓国を組み入れている点がVMOより評価が低い要因である。
中国と韓国と台湾で実に全体の60%をしめており、これにロシアとブラジルを加えると70%に達し、真に成長力の高い国に投資出来ているとはいえない。
更に手数料がVMOの0.14%に比して0.69%と高いこともVMOに比して劣っている点といえる。
第11位:eMAXIS新興国株式インデックス
総合 66点 |
新興国市場全体に投資できるが、東アジアを中心とした魅力度が低い国が中心に組み込まれている。 |
成長力 50点 |
成長力の低い東アジアだけで50%が占められている。 |
経済的安定性 80点 |
経済的には比較的に安定している。 |
株式市場魅力 70点 |
割安とはいえない市場への投資が主である。 |
第8位のVMOと第9位のEEMと同様、eMAXISは日本の三菱UFJ信託によって新興国全体に投資する投資信託。
新興国全体に一括して投資できるというのは手軽でいいのですが、構成比率が香港19%、韓国13%、台湾11%、中国10%と東アジアだけで50%を占めており、本当にこれから成長する新興国ではなく、成長力が今後鈍る又はある程度成長しきった国に多くのポーションを割いてしまっているという難点があります。
管理人的には成長力が高くて割安な株式市場に分散投資するのがおすすめですが、一々管理するのは億劫だという方に向いている投資信託になります。
第12位:HSBC BRICS オープン
総合 63点 |
BRICSの個別株・ETFに分散投資するファンド |
成長力 60点 |
インドを除き成長力が低い |
経済的安定性 60点 |
経済的には比較的に安定しているが、ブラジルと南アフリカは不安定である。 |
株式市場魅力 70点 |
割安とはいえない市場への投資が主である。 |
BRICSの個別株並びにETFを都度決定して投資を行うファンド。
BRICSについてはインド以外、成長力は弱く投資妙味は少ないが、HSBCの運用チームによって都度各国の組み入れ比率や銘柄を入れ替えており、比較的安定的な成績を生み出している。
現在は金融セクターやエネルギーセクターに重点的に配分しており、特にエネルギーセクターでの資源価格底打ちからの復調が期待できる。
第13位:MSCI チャイナ・インデックス ETF
総合 56点 |
中国株指数への連動を目指すETF。成長力に乏しく減速が予想される。 |
成長力 50点 |
在はカンフル剤を打っているが将来の原則は必至 |
経済的安定性 60点 |
経経済的に投資偏重であり、過剰生産能力・過剰債務を抱えている。 |
株式市場魅力 60点 |
割安とはいえない。 |
このETFはMSCIチャイナ・インデックスに連動するようにブラックロック社が運用しているETF。
中国は2000年代後半のリーマンショック以降世界経済の成長を索引してきましたが、その時に打った財政刺激策の影響で、過剰生産能力、過剰労働力、過剰債務を抱えており、本来であれば一旦経済停滞する状態です。
然し、2020年の2010年比での所得倍増計画を達成する為に、無理矢理投資してGDPを押し上げている為、他国に比べGDPに占める投資の割合が以上に多い状況となっており、ショックが起こった時は日本の失われた20年を経験することになると言われています。
更に人口動態も人口ボーナス期は終わり、人口が減少し始める構造となっており、今後の成長力という観点ではインドや東南アジアに遠く及びません。
現段階で中国を新興国の代表として投資することに対する旨味はないといって過言ではないでしょう。
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中国の株式市場への投資はおすすめできる?なぜ上がらない?今後の見通しは?魅力的な個別銘柄やファンドを買い方も含めてわかりやすく解説!
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一口メモ①:ETFと投資信託の違いって何?
今回ETF (Exchange Traded Fund)と投資信託を同列にランキング形式で纏めましたが、ETFと投資信託何が違うの?という方もいらっしゃると思うので簡単に説明させて頂きます。
ETFとインデックス連動型投資信託は、ある日経平均のような指数に連動させているという点については同じなのですが、ETFが上場しているのに対して投資信託が非上場というのが最大の相違点です。
つまりETFは取引時間つまり朝9時から昼3時の日本市場がオープンしている時にいつでも時価で取引できます。
一方投資信託は一日に一回基準価格が算出される為、本日購入申し込みを行ったとしても実際購入できるのは翌日の基準価格ということになります。
更に基本的にETFの方が、投資信託よりも手数料が安いという利点があります。
例えば第二位のMSCI フィリピン ETFは年間の経費は0.62%ですが、同様の投資信託であるフィリピン株ファンドの場合は1.87%となっており3倍くらいの差が出てきます。
投資信託のETFに対するメリットというのは最低購入金額が低いくらいです。例えば普通の株だと100株単位、1000株単位で取引可能という感じになってますが、投資信託であれば1000円単位とかで買えますからね。
ただ資金があるならば、投資信託よりETFの方が手数料、流動性の面からメリットが大きいのでETFを多めにランクインさせています。
ETF | 投資信託 | |
上場・非上場 | 上場 | 非上場 |
取引時間 | 市場オープン時いつでも | 翌日の基準価格で取引 |
手数料 | 投資信託より低い | ETFより高い |
最低購入金額 | 最低取引単位毎 | 100円又は1000円から可能 |
ただベトナムのように、外国人投資規制があり外国人が49%までしか買えないような国の場合、
ETFが人気銘柄を組み込むことが出来ずETFのパフォーマンスがインデックスに対して著しく悪くなる為、敢えて成績のよい投資信託をランキングさせています。
一口メモ②:為替ヘッジを行う必要はあるか
今回ランキングで紹介したETFや投資信託は為替ヘッジを行っていないものが殆どです。
為替ヘッジしなくて大丈夫なの?と疑問に思われる方がいらっしゃると思います。
コストがなく為替ヘッジが出来れば良いのですが、通常成長力の高い国の金利は高く設定させているので、為替ヘッジを行うことによりこの高い金利コストを支払わなければなりませn。
例えば10%の金利の国で為替ヘッジを行った場合、株式市場が20%値上がりしたとしても結局最終的な利回りは10%となってしまいます。
これでは折角の新興国投資の旨味が半減してしまいますよね。
またそもそも成長力が高く、海外からの資金が入ってくるような国では為替ヘッジを行う必要性はありません。
直接投資にせよ、株式投資や債券投資といった証券投資が海外から流入すれば、自然と当該国の通貨自体も強くなります。
米国人が日本株に投資する場合、まず米USDを日本円に変換した上で、日本株に投資することになりますよね。
日本円は特殊な通貨な為、日本円の強さと日経平均の強さは逆相関しますが通常の新興国では株式市場の強さと通貨の強さは基本的には連動します。
その為、為替ヘッジを行わないことにより、株式値上がり益に加えて、為替益と二倍で利益を獲得することができるのです。
一口メモ③:毎月分配型投資信託について
日本株の投資信託でもそうなのですが、毎月分配型投資信託というのは毎月お小遣いが入ってくるので、日本人に人気のある投資商品です。
然し、その配当金の原資というのは投資信託の基準価格の中から支払われます。
例えば、基準価格が1,000円の投資信託があり毎月の配当金が10円の場合、もし仮に運用利回りが0%とすると100カ月経ったら基準価格が0円になってしまいます。
先程と同様に基準価格1,000円で毎月分配金が10円の新興国投資信託があったとします。
税引後だと8円となります。
この投資信託の利回りが年率5%の場合、1000万円投資した場合に毎月分配金型と分配無し型でどのように資産が変わるかシミュレーションしてみます。
配当有りの場合と配当無しの場合で1000万円投資した時の資産推移は以下のようになります。
分配無し | 毎月分配 | |
現在 | 1,000 | 1,000 |
1ヶ月後 | 1,004 | 1,002 |
2ヶ月後 | 1,008 | 1,004 |
3ヶ月後 | 1,012 | 1,006 |
4ヶ月後 | 1,016 | 1,008 |
5ヶ月後 | 1,021 | 1,010 |
6ヶ月後 | 1,025 | 1,012 |
7ヶ月後 | 1,029 | 1,014 |
8ヶ月後 | 1,033 | 1,017 |
9ヶ月後 | 1,037 | 1,019 |
10ヶ月後 | 1,041 | 1,021 |
11ヶ月後 | 1,046 | 1,023 |
12ヶ月後 | 1,050 | 1,025 |
13ヶ月後 | 1,054 | 1,027 |
14ヶ月後 | 1,059 | 1,029 |
15ヶ月後 | 1,063 | 1,031 |
16ヶ月後 | 1,067 | 1,034 |
17ヶ月後 | 1,072 | 1,036 |
18ヶ月後 | 1,076 | 1,038 |
19ヶ月後 | 1,080 | 1,040 |
20ヶ月後 | 1,085 | 1,042 |
21ヶ月後 | 1,089 | 1,044 |
22ヶ月後 | 1,094 | 1,047 |
23ヶ月後 | 1,098 | 1,049 |
24ヶ月後 | 1,103 | 1,051 |
25ヶ月後 | 1,107 | 1,053 |
26ヶ月後 | 1,112 | 1,056 |
27ヶ月後 | 1,116 | 1,058 |
28ヶ月後 | 1,121 | 1,060 |
29ヶ月後 | 1,125 | 1,062 |
30ヶ月後 | 1,130 | 1,065 |
31ヶ月後 | 1,134 | 1,067 |
32ヶ月後 | 1,139 | 1,069 |
33ヶ月後 | 1,144 | 1,072 |
34ヶ月後 | 1,148 | 1,074 |
35ヶ月後 | 1,153 | 1,076 |
36ヶ月後 | 1,158 | 1,079 |
37ヶ月後 | 1,162 | 1,081 |
38ヶ月後 | 1,167 | 1,083 |
39ヶ月後 | 1,172 | 1,086 |
40ヶ月後 | 1,177 | 1,088 |
41ヶ月後 | 1,181 | 1,091 |
42ヶ月後 | 1,186 | 1,093 |
43ヶ月後 | 1,191 | 1,095 |
44ヶ月後 | 1,196 | 1,098 |
45ヶ月後 | 1,201 | 1,100 |
46ヶ月後 | 1,206 | 1,103 |
47ヶ月後 | 1,211 | 1,105 |
48ヶ月後 | 1,216 | 1,108 |
49ヶ月後 | 1,220 | 1,110 |
50ヶ月後 | 1,225 | 1,113 |
51ヶ月後 | 1,230 | 1,115 |
52ヶ月後 | 1,235 | 1,118 |
53ヶ月後 | 1,240 | 1,120 |
54ヶ月後 | 1,246 | 1,123 |
55ヶ月後 | 1,251 | 1,125 |
56ヶ月後 | 1,256 | 1,128 |
57ヶ月後 | 1,261 | 1,130 |
58ヶ月後 | 1,266 | 1,133 |
59ヶ月後 | 1,271 | 1,135 |
60ヶ月後 | 1,276 | 1,138 |
配当金を分配しなかった場合
5年後の資産は1276万円つまり+276万円となっております。
配当金を分配した場合
基準価格は毎月の利回りよりも分配金が多い為、元本h減少し598万円になります。一方配当金は60カ月分つまり480万円入ってくるので合計1138万円となり+138万円となります。
つまり確りとプラスの利回りが出る国に投資するのであれば、分配金は受け取らず複利で運用していった方が最終的に資産が増えるという結果になります。
目先のお金に拘らず、長期目線で資産形成を行っていきましょう。