新興国株式

2022年以降のMSCIエマージング・マーケット・インデックス(投資信託・ETF)を株価チャート・新興国(構成国)情勢から考察、評価。パッシブ運用は中途半端な大型株が足を引っ張りリターンが限定的

2022年6月27日

新興国株の代表的なインデックス(株価指数)である「MSCIエマージングマーケットインデックス」についてわかりやすく紹介していきたいと思います。

 

「MSCIエマージングマーケットインデックス」は「FTSEエマージングインデックス」と並んで、新興国全体に投資する投資信託が連動を目標として採用されており非常に重要なインデックスとなっています。

新興国の個別株式銘柄を買うにはリスクが高いけれど、新興国の成長はポートフォリオ内で取り込みたいと考える人が、新興国インデックスへ投資しますよね。

しかし、2022年以降は新興国株式は上昇に向かうのでしょうか?

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【新興国株式市場】途上国に投資するならタイミングは今?見通しを考察 。おすすめのインデックスは?emaxis slimインデックス/インドネシア市場の株価見通し

今回は新興国株式投資について、「リターンは大きそうだがどれくらいリスクがあるのか?」「今後の経済成長はどうなっているのか?」「まだ間に合うのか?」という方向けに記事を書いていこうと思います。 &nbs ...

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そもそもMSCIとは?

MSCI」はMorgan Stanley Capital International社の頭文字をとったもので、世界的に有名な指数算出会社です。

名前にMorgan Stanleyと入っていることからも分かる通り、超一流米銀のモルガン・スタンレー社の子会社となっています。

Morgan Stanley

 

 

因みに、日経平均株価指数を算出している日本経済新聞社も指数算出会社でもあるので、同業他社ということになりますね。

現在世界ではMSCI社の指数をもとに9.5兆ドル(約1000兆円)というとてつもない規模の資金が運用されており、世界最大の指数設定会社となっています。

 

 

MSCIエマージングマーケットインデックスの位置づけ

MSCI社は様々な指数をグループ毎、国毎、また組み入れている企業の規模毎で分類しています。

まずは以下のグループ分けをご覧ください。

MSCI指数の構成国分類

 

 

 

  • 所謂先進国に分類される国はMSCI World (23カ国)
  • 新興国のうち発展途上の国はMSCI Emerging (23カ国)
  • 新興国のうち今後発展が見込まれる国はMSCI Frontier (23カ国)

上記の具合に発展の度合いに応じてカテゴリー毎に分けられているのです。

2015年時点ではMSCI Frontierは32カ国でしたが、減少していますね。World、Emergingの数は変わりません。

 

MSCIエマージングマーケットインデックスはMSCI Emergingに分類されている全てを網羅しているように見えます。

しかし実際は、MSCIエマージングマーケットインデックスが網羅している範囲は、大型株(70%)と中型株(15%)で全体の85%になっているのです。

MSCIエマージングマーケットインデックスのカバー範囲

 

 

 

銘柄としては832銘柄で、小型株については指数に組み入れていないということです。

 

 

ポートフォリオ構成方法(時価総額加重平均とは?

MSCIエマージングマーケットインデックスは先程の位置づけで説明した通り、対象範囲の約800銘柄を時価総額加重平均に組み入れた指数となっています。

 

時価総額加重平均

加重平均とは、平均値を算出する場合に、単純に平均せず、量の大小を反映する計算方法のことで、時価総額加重平均株価指数は、組入銘柄の時価総額合計を、基準となる一時点での時価総額合計と比較することで求められます。

 

日本でいうとTOPIXと同じ仕組みで構成されているということです。時価総額加重平均についてもう少し簡単にわかりやすく説明していきたいと思います。

 

時価総額というのは発行済株式数×株価で算出されるもので、企業を丸々購入しようとした場合にいくら必要であるかという指標です。

因みに日本のトップはトヨタ自動車で36兆円となっています。トヨタ自動車を丸々買うには36兆円が必要になるということです。

 

2位のソニーグループ16兆円や3位のキーエンスも14兆円なので、ダブルスコアを付けています。

 

ではここで、簡単のためにトヨタ自動車とソニーグループ、キーエンスの3銘柄で、日本株巨大株指数なるものを作るとします。

ここで時価総額が、他の二つの二倍あるトヨタ自動車とソニーグループ、キーエンスを同じ比率つまり1:1:1で組み入れると違和感がありますよね。

 

大きさはトヨタ自動車が大きいので、トヨタ自動車の影響力を高めて、トヨタ自動車:ソニーグループ:キーエンス= 2 : 1 : 1 の割合で組み入れるのが適切となります。

この3銘柄で説明したことを、Emerging市場に分類される大型中型の約800銘柄で行ったものが、MSCIエマージングマーケットインデックスということになります。

 

 

ポートフォリオの国別比率

それでは時価総額加重平均を行った結果の国別の構成比率(2022年5月31日時点)をご覧ください。

MSCI Emerging Markets Index

 

 

今後も成長加速が確実な中国、インドと、既に高度成長が終焉を迎えて先進国と同様の成長を行っている韓国と台湾といった国が組み込まれています。玉石混合ですね。

 

ブラジルやここには載っていませんが南アフリカ・ロシアを加えると60%以上が、経済成長が失速している国で占められております。

何故上記のような構成比率になっているかは簡単で、時価総額が大きい企業が組み入れられるので、

 

既にある程度成長した国の大規模な企業が多く組み入れられる為、結果的に新興国の中でいち早く発展したBRICSや韓国・台湾の割合が大きくなってきてしまうのです。

因みに同じく新興国インデックスとして有名なFTSEエマージングインデックスは韓国を先進国として扱っており、若干東アジアの割合が低まりますが、時価総額加重平均で指数が構築されている為、ほぼほぼ同様の構成となっております。

FTSE emerging index

 

FTSE構成国

 

 

 

中国、インドの成長を取り込める点は良いのですが、わざわざ足を引っ張るであろう新興国も組み入れられているインデックスに投資する意義はあまりないように思われます。

寧ろ、魅力的な国を狙い撃ちする方が2022年時点では効率的だと考えられます。

 

 

 

構成銘柄

MSCI社が発表しているMSCIエマージングマーケットインデックスの上位構成銘柄をご覧ください。(2022年5月31日時点

TOP 10 CONSTITUENTS Country Sector Wt.(%)
TAIWAN SEMICONDUCTOR MFG TW Info Tech 6.89%
TENCENT HOLDINGS LI (CN) CN Comm Srvcs 3.86%
SAMSUNG ELECTRONICS CO KR Info Tech 3.77%
ALIBABA GRP HLDG (HK) CN Cons Discr 2.70%
MEITUAN B CN Cons Discr 1.41%
RELIANCE INDUSTRIES IN Energy 1.40%
VALE ON BR Materials 1.08%
CHINA CONSTRUCTION BK H CN Financials 1.04%
INFOSYS IN Info Tech 0.94%
JD.COM (HK) CN Cons Discr 0.84%
TOTAL 23.93%

 

なんと上位10銘柄だけで全体の4分の1弱を占めていることが分かります。台湾セミコンダクターは2020年〜2021年に大幅上昇した注目銘柄でした。現在は半導体ブームも過ぎ去り、次の飛翔には時間がかかるものと見ています。

TSM株価チャート

 

台湾の組入が16%程度の中で、台湾セミコンダクターが大きな割合を占めていることがわかります。その他は中国企業のアリババ、テンセント、韓国のサムスンなどが続きます。

テックカンパニーに偏っているので、2022年以降は数年、金融引き締めの時期なのでリターンを見込むのは難しいでしょう。

 

金融引き締めの時期に輝くセクターといえば重厚長大な、国家的セクターであり、その中で割安銘柄を仕留めるのが効率的なリターンのあげ方かと思われます。

 

 

リターン(利回り)

では肝心のMSCI指数のリターンを確認していきましょう。

CUMULATIVE INDEX PERFORMANCE — NET RETURNS (USD) (MAY 2007 – MAY 2022)

 

 

上記の通り完全に先進国(MSCI World)にボロ負けしています。15年間で1.6倍程度にしかなっていません。すぐに2008年にリーマンショックを被弾したとはいえ、年平均利回りが3%程度とリスクを取っている割にリターンが見合っていません。

 

因みにMSCI ACWIはMSCI All Country Word Indexの意味で、全ての国の大中型銘柄を時価総額加重平均で組み入れたもの、MSCI Worldは先進国の大中型銘柄を時価総額加重平均で組み入れたものです。

 

いずれにしても先進国が10年間で米国が堅調であったこともあり、時価総額は年率6%程度で成長していたにも関わらず、新興国は3%程度しか時価総額が成長しなかったことになります。

たしかに、米国はパンデミック前より異次元な金融緩和で紙幣ばら撒きを続けており、人災のようなインフレが起きるほどに株式市場を上げてきましたが、新興国ももう少し伸びて良かったのではと無念を感じますね。

 

新興国インデックスは構造的に急成長が終わった国の大型株を組み込んでしまっていることも足を引っ張っている要因かと思われます。

 

 

リスク(=標準偏差)

リスクリターンを考える必要があるとよく言われますが、リターンは簡単ですね今後1年間で見込まれるリターンを過去の成績から予測するものです。

ではリスクは何かというと若干複雑になります。

リスクというのは価格がどれだけぶれるのかというもので、投資を考える上では価格がどれだけ激しく上下動をするかということをリスクととらえています。

 

簡単な例ですが、平均リターンが30%でリスク(=標準偏差)が20%の場合、統計学的に68.27%でリターンは20%~40%の範囲内に95.00%でリターンは10%~50%の範囲内に収まるということを意味します。

標準偏差

 

MSCIのリスク(=標準偏差)を確認すると以下のようになり、リスクは先進国・世界平均に比べて高くなっています。ANNUALIZED STD DEV (%)部分です。

MSCIエマージングマーケットインデックスのリスク(=標準偏差)

 

 

つまり先進国や世界全体に比べて、Low Return High Riskの指数であるということが言えます。

10年平均のリターン4.17%とリスク16.79%を用いると、統計学的に今後1年間のリターンは

68.27%でリターンは▲12.62%~20.96%
95.00%でリターンは▲29.41%~37.75%の範囲内に収まることが予測されます。

 

特に数字面からも魅力を感じられません。

 

 

MSCIエマージングマーケットインデックスに連動することを目標とした投資信託

日本でMSCIエマージングマーケットインデックスに連動する投資信託で有名なものは以下のものがあります。

指数に連動を目標とするだけのパッシブ型の投資信託であれば信託報酬は低い方がよいでしょう。

  • 三井住友・DC新興国株式インデックスファンド(信託報酬0.56%)
  • たわらノーロード新興国株式(信託報酬0.50%)
  • eMAXIS新興国株式インデックス (信託報酬0.19%)

 

 

まとめ

MSCIエマージングマーケットインデックスは世界最大の指数算出会社であるMSCI社によって算出されている指数で、新興国の中でも発展している又は発展途上の国々23カ国の大中型銘柄を組み込んでいます。

指数は時価総額加重平均で算出される為、時価総額が大きい企業を多く保有するBRICSや韓国・台湾といった東アジア諸国が多く組み入れられており、成長力が乏しいという致命的な欠陥を抱えています。

 

実際リターンは先進国に大きく劣後しており、尚且つ価格の変動幅(=リスク)は高くなっています。つまり、Low Return High Riskの指数となってしまっています。

 

新興国への投資で大きなリターンを獲得したい方はMSCIエマージングマーケットインデックスや同様のFTSEエマージングインデックスに連動する商品への投資は控えたほうがよいでしょう。

寧ろこれから旬が来るであろう国、割安感溢れるセクターで効率的に投資することをお勧めします。

 

最後に:資産を飛躍的に増やす方法は明確に決まっている

積み重ねる運用

 

 

資産を大きく増やすにはどうすれば良いのでしょうか?

上場小型ベンチャー株に力一杯、資金を投入。一か八か、株価の急騰を願ったり、信用取引でレバレッジを思いっきりかけてみるのも良さそうです。仮想通貨の草コインも人生一発逆転があるかもしれません。

断言します。上記のような思考の方は一生資産が増えません。

そもそも一発の取引で大儲けを狙えるというのは、同じく容易に資金を溶かす可能性も高いということです。そんなものは投資とは言えません。投機と考えても質が低いです。もう少し丁寧に資産の扱い(延いては人生)を考えてみましょう。思考をガラリと変えてみましょう。

 

大事なのは「リターンが小さくても確実にプラスを、時間をかけて積み重ねていく(複利を生かす)」ことです。世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏も投資で最も大切なのは以下の2つのルールとしています。

 

  1. 絶対にお金を損しないこと。
  2. 絶対にルール1を忘れないこと。

 

 

この「損をしない」「プラスリターンを確実に積み重ねていく(複利を生かす)」という重要性を理解したところで資産運用は始まります。好きな企業の株、高配当・優待目当てなど、あなたの資産を減らしてしまう運用はやめましょう。「Classic」且つ「質実剛健」な資産運用を行なっていくべきです。

 

私も資産運用歴は既にかなり長いです。そしてこの思考に辿り着き、プラスリターン×複利運用を実施してからの資産増加スピードは圧巻でした。この哲学を実践している、私のポートフォリオに入っているファンドも今回まとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。

 

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