カンボジアはASEANの中でも今後成長が期待されるCLM諸国とし注目を集めています。
C:カンボジア、L:ラオス、M:ミャンマー
本日はカンボジアの現在のファンダメンタルを分析した上で、株式投資が魅力的な水準なのか?株式投資より魅力的な投資はあるのか?という点についてお伝えしていきたいと思います。
カンボジアのファンダメンタル(政治経済)のおさらい
簡単に国としてのファンダメンタルズのポイントをまとめると以下となります。
- カンボジアは一人あたりGDPが1,653ドルと今後発展のポテンシャルを秘めるアジア最貧国の一つだけあり、成長余地が高いことが伺える。
- 経済成長率の推移は2000年代後半は10%以上のGDP成長率を誇るも、リーマンショックを機に落ち込み、今は7%ほどの成長で推移、その後Covid-19パンデミックの影響もあり2022年は6%ほどと予想されている。
- カンボジアの人口ピラミッドは理想に近い形とも言えるが、ボリュームゾーンが0-4歳、5-9歳、25-29歳、35-39歳に集まっている。
- カンボジアの労働賃金は、格差が大きいASEANの中でも最底レベルであり、今後この低賃金に目を付けた外資企業が進出してくる。
- 新興国の特徴として、まだ農業のGDPに占める割合が25%と高く、農業人口の都市部への移動も見込まれ、豊富な人的資源を有している。
要約すると、まだまだ貧しいけども、今後大きな成長が期待できるポテンシャルの高い新興国であるということができます。
それでは注目の株式市場の動向についてみていきたいと思います。
カンボジアの株式市場(CSX取引所)の現状は?
カンボジアの証券取引所は2009年3月に承認されました。
2.1 CSXの歴史2009年3月、カンボジア政府は韓国証券取引所と共同出資を行うため、CSX 市場設立の 覚書 (MOU) を締結した。当覚書により同取引所に対してカンボジア政府が 55%、韓国証券取引所が44%を出資し、カンボジア証券取引所 (CSX) は 2010 年 2 月 23 日に商業登録を承認された。
その後様々な要因で延期し、2012年にカンボジア株式市場は本格的にスタートし、上場企業第一号はブノンペン水道公社。
現時点での上場数は8社であり、2022年には8社の上場が予定されています。つまり、8社のみ(上場数は倍になりますが)が新規上場するようなとても小さい市場ということです。
その中で1日あたりの取引量は増加中であり、CSXの平均取引量は1日当たり23万4628株、取引額は10億KHR超となり、過去最高を記録したと発表しています。
CSX sees that the trading volume in 2019 was more than $150,000, and in 2020, the year of Covid-19, the trading volume decreased to $110,000 per day on average, and in 2021, it increased to more than $250,000, he said.
“Despite the small number of companies registering, the market activity has increased, the number of trade volumes per day and the opening of 5,000 to 6,000 trading accounts have increased,” he said.
One of the expected eight companies is scheduled to launch an IPO in February, he said.
In 2021, the CSX had its first Growth Board listing designated “DBDE” and first corporate bond listing of Telcotech, a subsidiary of the Royal Group. DBDE listing had raised over KHR 1.5 billion while Telcotech raised KHR 80 billion. The CSX said in a statement issued on January 17 that the average trading volume and value at the CSX had reached an all-time high of 234,628 shares and over KHR 1 billion respectively per day in 2021.
引用:Eight more companies mulling to list in securities market this year
経済成長が維持される限り、これから毎年のように過去最高を記録するようになるでしょう。
そこに期待をしつつも、当然ですが現時点では市場のPER、PBRなどを調べるにもデータがなくて分析ができない状況です。つまりあまりにも手を出すには早すぎるということです。
ミャンマーとラオスに似たような状況になっています。
カンボジア株式・ETFの買い方、証券口座はどこで開く?
もしカンボジア株にどうしても投資したいと考えているのであれば、カンボジア現地で「銀行口座」と「証券口座」を作成する必要があります。
「アシレダ銀行」と「アシレダ証券」であれば両方を同時に開設できますので、手続きを済ませましょう。
私としてはカンボジア、ミャンマー、ラオスのような小さい株式市場規模への投資はおすすめしません。チャンスなのかもしれませんがあまりにも手間がかかりすぎ、リターンと労力が合っていません。
リターンは爆発的なのではないか?と期待してしまいそうですが、そのアイデアは間違っているとここで説明していきたいと思います。
ちなみにETFはまだ組成されていないので買えません。
なぜカンボジア株式に手を出すべきではないのか?
チャートから見る、株価が適正評価されない現実
まだまだカンボジアの株式市場は規模が小さく、外国人投資家もいない状況です。つまり買いの「需要」が足りないということです。2020年に世界的金融緩和の影響で一瞬、CSX指数は上昇していますが、結局取引所が開いた時期以下の株価となっています。
カンボジアのような新興国である株式市場は間違いなく証券取引に無知な国民が、売買をしています。かなり博打に近く、投機的要素が強く、投資は難しいです。
また上記でも触れた通り外国人投資家の参入も足りないため、指数が上昇しない中での博打になってしまうので非常に分が悪い投資になってしまいます。
株式投資の基本は、需給が活発な市場で、将来的にも上昇する確率の高いところに資金を預けることが重要になります。
実際に、カンボジア株式市場がオープンした日に、唯一上場されたプノンペン水道公社は、初日に6300リエルで取引されましたが、その後はズルズルと値を下げ横ばいが続いていました。現在は7480リエルとなっていますが、2012年の上場からわずか19%しか株価が上昇していません。
博打にしてもリターンがなさすぎますね。
そもそもの企業のリリース、財務諸表が信頼できない
株式投資をする上で重要なのは、企業業績の分析です。日本の株式市場で慣れている人は企業のIRを見て、財務諸表を読み解き投資先を決定していくと思います。しかし、カンボジアではそんな当たり前なことが当たり前ではない世界が広がっています。
現段階でカンボジア株式市場はとても小さく、また盛り上がりを見せていないため、株式取引のインフラがあまりにも脆弱です。
脆弱な市場において、情報の精度には大きく不安が残ります。
企業の株主向けのリリースについても手探り段階である為、企業が提出する財務諸表にも信憑性が個人的にはあまりありません。
企業を分析する唯一の手掛かりが信頼できないとなれば、これは投資というより「投機」と言えるでしょう。つまり博打ということです。
資産を飛躍的に伸ばすには投機も可能性はありますが、不利な投機を行う必要はありません。
口座開設の煩雑な作業・手間とそれに係る不安
上記で口座開設は現地で可能と書きましたが、現地で口座を開設するにも、理解が難しい発音の英語で銀行員、証券社員と手続きを進めなくてはなりません。
開設まで辿り着いても、本当に送金して問題ないのか、接収される可能性はないかなど常に不安がつきまといます。
海外で口座を開設するのであれば、香港やシンガポールのHSBC等信頼のおける金融機関に限定するのが賢明ですね。
HSBCに開いたところでカンボジア株を買えるわけではないのですが。
まとめ
カンボジアには株式市場は存在しているが、まだまだ黎明期であり投資参加するにも博打になるのでおすすめはできません。
ただし、経済の成長力は強く、数年後にはさらに魅力的な国となり、また株式取引のインフラが整う可能性が高いです。
本格的に外国人投資家が参入する時期の初期段階に投資参加することで十分すぎる果実が取れると思います。では現在魅力的な市場はどこか?という話は以下の記事でしていますので、興味があれば参考にしてみてください。